PROLOGUE 【天から来るもの】


 2003年6月下旬、ネット上にMNNのメンバーが集結した。

 実に3年ぶりとなる、高校生TRPGのセッションを行うためである。
 

GM(ゲームマスター):ひさびさの<ぶらへぶTRPG(Brand-new Heaven TRPG)>です。しかも今回は初の大人数ネットTRPGですぞ。

プレイヤーD(成瀬金太郎):わいは待っとった、この日を待っとったでー! 高校生名探偵、成瀬金太郎の華麗なる帰還や。

プレイヤーB(水沢小鈴):ほえー。

プレイヤーE(チャーリー土屋):HAHAHAHAHAHA〜!

GM:この3人は前回と同じキャラだね。
 

成瀬金太郎 ……2年A組。関西弁を話す、自称高校生名探偵。

水沢小鈴 ……2年C組。究極不器用な、生徒会書記。2-C委員長。

チャーリー土屋……2年A組。金髪碧眼の美形で大金持ちだが、バカ。
 

GM:彼らがどういう活躍をしたかは前回の<L.P>を読んでもらうとして──

プレイヤーA:すまん、<L.P>って読んだことがない。

プレイヤーF:俺は今読み返し中。

GM:新キャラは3人かな。

プレイヤーP:ん? てことはわしは……。

GM:ん、君は今回も浩之介。

プレイヤーP(大岳浩之介):まあ構わんが。
 

大岳浩之介……男子寮舎監。軟式野球部顧問。
 

GM:で、と。新キャラは自己紹介。

プレイヤーC(鬼無マコ):鬼無(きなし)マコ。設定はGMに送った。

GM:もらった。一部抜粋。
 

 オカルト好きだがすべての超常現象を鵜呑みにはしない。自分基準で真贋を決めている。

 異世界の住人とチャネリングできる能力を持っているが、そのアドバイスは大して役に立たない。

 将来の夢は呪い師。

 クラスでは目立たないように目立たないようにしているつもりが時々やらかしてしまうので目立ってしまうこともしばしば。

 毛唐嫌いなのでチャーリーを憎く思っており、こっそりいろいろとやる。
 

GM:──だそうだ。んじゃ、次。

プレイヤーA(トム福岡):元プロボクサーでバリバリのインファイターで超ハードパンチャー。留年してて今18歳。

GM:ちなみにトムは18歳だけど同級生、小鈴の幼馴染にでもしようかと思うんだけど。

小鈴:いいよー。

トム:俺も了解だ。
 

鬼無マコ ……2年C組。オカルト好き少女。将来の夢は呪い師。

トム福岡……2年C組。元プロボクサー。バリバリのインファイターで超ハードパンチャー。
 

プレイヤーF:で、俺が──

GM:君のキャラは登場まだだから、とりあえず涼を演じてて。

プレイヤーF(神宮寺涼):うーす。
 

神宮寺涼 ……2年C組。一見クールな、セ式茶道部部長。
 

GM:んじゃ、始めましょー。


PROLOGUE
からくるもの】

 西暦2000年12月29日(Fri.)

 低い雲におおわれた空は、ぼんやりと白く輝いてみえた。

 ひょっとしたら雪が降るのかもしれない。

 白く染まる息を凍えた手にはきかけ、金太郎は顔を上げた。
 

「成瀬くーん!」
 

 駅改札の人ごみの向こうから、手を振ってる女の子の姿が見えた。

 何とか人波をかきわけ、こちらへ近づいてくる。
 

「ごめんね、待った?」

「いや……わいも今来たとこや」
 

 少女──小鈴は、学校とは随分と雰囲気が違っていた。

 シンプルなデザインの白いコート。その下には首まわりがゆったりした薄い黄色のタートルネックセーターと、グレーのフレアスカート。

 たぶん、薄く化粧もしてるのだろう。唇は艶やかなピンク色だった。

 ……正直、ちょっと見とれてしまった。

 それに比べて自分は、ときどき学校にも着ていくダッフルコートに、下は黒ずくめのシャツとズボン。
 

  なんや……なんなんやろな……。
 

 天を見上げる。最近新しくできた駅前のショッピングモールの向こうに、白い空が見える。

 ひょっとしたら雪が降るのかもしれない。

Brand-new Heaven TRPG Second Stage

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