GM:前も言ったけど、ゴーヴァは『再生』するだけだから、延命処置はできない。
リューセ:自分では、あとどれぐらい生きられるのか分からない?
ガンバ:あと15時間ぐらい。
一同:短けー!!(笑)
GM:でもそんなには長くないだろう。1年ももたないんじゃないかな。
マフィ:遺伝子組み換えちゃえ。別の生き物になろう──クックルックルーフとか。
ゼナ:それは勘弁して。――ボク、たすける方法を探してみます。……でも、その前にやらなきゃいけないことがある。

エスペルプレーナ2 食堂──
ジュースを飲んでいたユナのところに、イリスがやってくる。
イリス:「や」
ユナ:「にゅ、ども。……どーかした?」
イリス:「ん、えっと、あの……あのね……」
ユナ:「うん」
イリス:「明日……アルバスのこと、お願いね」
ユナ:「にゃ?」
イリス:「わたしとアナタって、そっくりでしょ。……わたしはたぶん、アナタの思いから生まれたんじゃないかと思うんだ」
ユナ:「え?」
イリス:「そんな気が、しただけ。……おにーちゃんのこと、よろしく!」
顔を赤くしながら、イリスは食堂から走り去るようにして出ていった。
ユナ:「……めんこい子」
ストローを口にくわえたまま、ユナはつぶやいた。

オードー:封印球は、ゼナでも解呪できるだか?
ユナ:できるよ。
GM:「ゲオルグ、君に決めたッ!」って言いながら投げればいいんじゃないの?(笑)
ユナ:足で踏んで割るんだよ。
GM:ガチャポン<そっち>の方だったか。
ゼナ:うーん……。──あ、先にゼナツーと話をしてみます。
GM:ゼナツーの封印を解くんだね。──ボゥンと魔法が解呪され、ゼナツーが君の前に姿を現す。おとなしくしてるみたいだよ。
ゼナ:「これから大きな戦いが始まる。……その前に、真実を知っておきたいんだ」
ゼナツー:(しばらく沈黙した後)「お前に真実に耐えられるだけの覚悟があるなら……話してやってもいいよ」
ゼナ:「……頼むよ」
ゼナツー:「お前も知ってると思うけど……4000年前のアールマティに、ゲオルギウスという宰相がいた。彼は『ヒーメル』の実験体の失敗作で……性的不能だった」
ゼナ:「……ゲオルギウス……」
ゼナツー:「子供を残せない彼が、自分の意志を……『ヒーメル』への復讐の意志を未来に伝えていくには…………自らのクローンを造るしかなかったんだ。ゲオルギウスがゲオルギウスを造り、造られたゲオルギウスが、またゲオルギウスを造る」
ゼナ:「記憶も、移植して?」
ゼナツー:「ああ。──己の強い『思い』を何千年も伝え続け…………ゲオルグという男が誕生した」
ゼナ:「父さんが、ゲオルギウス?」
ゼナツー:「パパは……ゲオルギウスのクローンなんだよ」
ゼナ:「じゃあ、ひょっとしてボクや君も……」
ゼナツー:「そうさ、あたしもお前も! それからゼナF−1──シェオールも! ゲオルギウスの……クローンだ……」
ゼナ:「ボクがクローンで……シェオールさんも……?」
ゼナツー:「は……はは……。スゴイ話だろ? お前には本当のイミでの『父親』も『母親』も、いない……」
高ぶった感情を抑えるように呼吸を整え、ゼナツーは言葉を続けた。
ゼナツー:「これが……お前の求めていた真実だ」
ゼナ:「………………。……どうして、父さんはそのことをボクに教えてくれなかったんだろう……」
ゼナツー:「パパは『大いなる遺産』を求めていた。……これはあたしの推測にすぎないけど…………パパは、『普通』になりたかったのかもしれない。あるいは、お前を『普通』の身体にするために。あたしは……それが少し、羨ましかったんだ……」
オードー:ゼナツーは、どうしてゲオルグになついてるだ?
GM:自分を大事に育ててくれたからだよ。
ガンバ:自分が機械だってことを知ったのは、chapter14でゼナと戦ったときだよね。
GM:そういう事実を知ってもなお、ゼナツーはゲオルグのことが好きだった……それだけのことだ。
ゼナツー:「お前はどう思ってるか知らないけど、あたしは………パパが、本当のパパだと思ってる」
ゼナ:「それは……ボクだってそうだよ……」
続いて、ゼナはゲオルグの封印を解除した。
GM:傷ついてボロボロのゲオルグが姿を現す。
ゼナ:応急処置ぐらいは、します。
ユナ:(何かに気づいて)にゅ、よかったねゼナ。パラスアテナでリルルがさらわれたとき、パパは何にもできなかったんだよ。……性的不能だから。
ゼナ:あ、そうかそうか(安堵)。
GM:でも見たり触ったりはできるよね。
リューセ:道具を使ったりね。
ゼナ:……やっぱり許せない。
オードー:あのよーう、ゼナってひょっとして、このまま成長したら……
GM:……だろうね。顔はゲオルギウスにそっくり。アソコも、ね。
ゼナ:ガ〜〜〜ン!!
GM:それがショックか(笑)。
マフィ:だからこそ『大いなる遺産』で──
ガンバ:『おいなりさん』を復活させるんだね。
一同大爆笑。
ゼナ:今のはナイスだったね。
リューセ:やめてよ、もう(笑)。
ガンバ:『大いなる遺産』があれば、みんなで人間になれるかもしれないしね。──早く人間になりた〜い!(笑)
ゼナ:「父さんも……いこうよ、戦いに」
ゲオルグ:「私にその資格はない。目的も、手段も、もうない。あとはお前が好きにすればいい。……お前に、もう『父親』は必要ない」
ゼナ:「そんなこと、ないよ……」
ゲオルグ:「生きて、帰ってこい」
ゼナ:「……言われなくても、そのつもりです」
今すぐは、ムリかもしれない。でも──
いつか……分かり合えるときがくるんだろうか……
父さんとも、ゼナツーとも、そして、シェオールさんとも……
強くなろう。
リルルのために。自分のために。みんなのために。
ボクは……強くなろうと思う。

と──視界の隅、鏡の向こうに黒い物体が姿を現した。
顔を上げる。目の前に、ビッケの姿。Gシリーズ。同じ母を持つ、兄妹。
サリース:「……なんか用?」
ビッケ:「産んではならない」
サリース:「……そう、だよね〜。産んじゃったら未練残るよね〜」
ビッケ:「『母』の力でより強力な巨人が産まれることは、望ましくない」
サリース:「分かってるわ、そんなこと。それに、どーせアンタに殺されたら子供産めないしね〜」
ビッケ:「だが……」
長い間彼女の後を追い続け……監視を続け……
だんだんと母に似てきている(とビッケは思い込んでいる)サリースを……
ビッケ:「私はもう、お前を殺すことができないかもしれない」
GM:愛だね、愛。
サリース:こんなんがいいの〜??(←自分で言ってりゃおしまいである)
オードー:クックルックルックル……あう?
マフィ:ルックが一個多いよ(笑)。
オードー:クックルックルーフ・ハーフになるだか?
GM:(……子供、できるのか?)さあ、おらにはわがんね。
サリース:「先生は『希望』があるみたいなこと言ってたけど、あたしには今までそんなモノなかったし……」
ビッケ:「………………。これからあるかもしれないではないか」
サリース:(あっけにとられた顔になる)「……は?」
ゴーヴァ:ビッケって、もっと冷徹な人かと思ってた。
トパーズ:愛ね、愛。
サリース:(苦笑いして)「そういう風にこられると、調子狂っちゃうんだけど」
GM:サリース〜いつもいつもごまかして逃げているようだが、たまにはビシッと言ってみろ〜!
トパーズ:そーだそーだ〜! 自分の意見を持てー!
ビッケ:「お前たちと行動を共にするようになる前……『鉄の棺桶』で奇妙なモノを拾った。それ以来、どうも身体の調子がおかしい」(chapter06参照)
サリース:「拾ったって、何を?」
ビッケ:「ネズミ──ユンケの、右手だ。それが身体の中に入り込んでから、様子がおかしい。……分離しそうだ」
サリース:「分離……?」
ビッケ:「私は──G−Xと呼ばれる生命体は──力が制御できないだけの欠陥品ではない。宿主に寄生<パラサイト>しないと生きていけない人型寄生生物なのだ。私は、傷ついた身体でクックルックルーフ・ビッケと融合した。その後も、何度も傷を負った。今までは『ビッケ』の生命力で死なずに済んだが……宿主を離れた後、それまで蓄積されてきたダメージが『リバウンド』してくるようなことになれば……おそらく生きてはいないだろう」
サリース:(ちょっとあわてて)だったら……分離してすぐにゴーヴァの中に飛び込むとか……。
マフィ:譲らないよ〜!
サリース:ちょっとちょっと、アンタら仲間でしょうがァ!
マフィ:そういう痛みは、自分の力で乗り越えていくものよ。
一同:そーゆーアンタは何なんだ〜!
ゴーヴァ:変なヤツに寄生されちまったな……。
ビッケ:「ゴーヴァでは無理だ。リルルという少女がいるな。彼女のように、G−Xもこの世界そのものになじめない。G−Xはひとりでは生きていけない。宿主が必要なのだ」
サリース:「宿主がいれば、いいのね?」
ビッケ:「私の身体に適応する、な」
ゼナ:ちょっといい? リルルがこの世界になじめないって、どういうこと?
GM:身体が弱いから雑菌とかが多すぎるとこでは生きていけない、ってだけの話だ。リルルの場合は、それに加えて『力』の使い過ぎってのがあるけど。
ゼナ:無菌室に入れないといけないワケだ。
GM:そういう生活が不憫で、ジャッハはリルルを連れ出したんだけどね。……もちろんリルルの了解を得て。
リューセ:リルルはね、ゼナが生きがいになってあげればいいんだと思うな。そうやって余生を送れば……
ゼナ:ボクは、そういうのイヤです。ふたりでずっと一緒に生きていたいんです。


