サリース:そうね……。あたしは……。あたしは──
こわかった
いつだって、こわかった
そんな自分がちょっとキライで、ちょっとかわいそうで……
しあわせになるのが、こわかったんだ……
そっと、おなかの辺りを押さえてみる。
ここに新しい命が、いるのだろうか……。
あたし……この子を、消してほしい
サリースはそっと心の中で願い……『願い』は、叶えられた。
GM:ビッケは?
ビッケ:寄生しなくても、生きていける身体になりたい。
他人の身体を離れ、寄生生物という宿命から離れ……『生きていくこと』を、もう一度考えてみたい
血の運命から離れ、暗殺者という立場から離れ……自分だけで、もう一度生きてみたい
自分の意志で全てを捨て、自分の意志でもう一度……
GM:ビッケはクックルックルーフ・ビッケと、G−Xに分離した。
ゼナ:あ、ガングロのクックルックルーフ(笑)。
サリース:G−Xって、そんな顔だったんだ。……どことなくあたしに似てるかも。
G−X:母親が同じだからな。……サリースは、母親似なのか?
GM:ううん、どっちかというと父親似。ツリ目がよく似てる。
G−X:おかしな話だ。
ビッケ:クルック〜♪
GM:ユナの願いは?
ユナ:アヴァロン王子に……逢いたい。……叶うかな?
GM:アヴァロンかァ……。彼は、生きてると言えば生きてるし、死んでると言えば死んでる。アヴァロンに生き返ってほしいの? 過去に戻りたいの? 幻と語り合いたいの? それとも……死にたいの?
ユナ:うーん……。
GM:どうなの?
ユナ:にゅ……どんな形でもいいから、お側にいたい。
それはもしかしたら……逆に、初恋からの解放を願ってるのかもしれない
GM:そうか……。その願い、もうちょっと待ってね。──ガンバは、やっぱ、例のアレ?
ガンバ:だわさ。もうやっちゃっていいの? 101万匹クックルちゃん大行進。
一同:101まんびき〜!?(笑)
ガンバ:実はクックルックルーフは大陸中にいるからね。
GM:その願いも、もちょっと待ってね(笑)。
GM:トパーズは……
トパーズ:ラズリおねーちゃんに、「ごめんなさい」を言いたい。
GM:そうだよね。──ではトパーズの意識は、ふうっと遠くなっていく。
ガンバ:トリップトリップ〜♪
人間界である『青の世界』
魔界である『赤の世界』
そのはざまにある、生きている空間『紫の中空』
そこは、宝石をちりばめたような色鮮やかな世界だった。
ここに、ラズリおねーちゃんがいるの……?
と──いつの間にか、目の前に赤紫の髪の青年が立っていた。腰には二本の剣を下げている。
“ようこそ、トパーズさん”
アメジストの瞳が、笑みの形に細くなる。
“こっちだよ。ラズリさんが、待ってます”
青年の後を追って、トパーズはふわふわと空間をさまよった。上も下も分からない、不思議な空間。
かなしみは薄れ、やさしさが広がっている空間。癒された、空間。
もうすぐ……会える……
胸が、どきどきする。
おねーちゃん……あたしのこと、許してくれるかな……
許してくれなくてもいい。ただ……謝りたかった。ただ……伝えたかった。
おねーちゃんのこと、大好きだよって
遠く、遠く、人影が見える。
10年前と変わらぬ姿で、ラズリはそこにいた。
乱暴に肩の辺りで切り揃えられた瑠璃色の髪。トパーズと同じ、エメラルド・アイ。
ラズリは、ふたりの赤ん坊を抱いていた。
黒髪の女の子と、瑠璃色の髪の女の子。ふたりは、よく似ていた。姉妹のように。親子のように。
「ラズリおねーちゃーん!」
トパーズの声に、ラズリが顔を上げる。
その顔を見ただけで、トパーズは涙腺がゆるんでくるのが分かった。
逢いたかった……逢いたかったよ……
「ごめん……」
ラズリの近くへ。もっと、近くへ。
「……ごめんなさい……」
トパーズの言葉にラズリはかすかに首を横に振り……
ラズリおねーちゃん……
「──トパーズ?」
「帰って、きた?」
目を開けると……そこはもう、ラズリのいるところではなかった。
「あたし……言えたよ」
誰に言うでもなく、トパーズはつぶやいた。
「ごめんなさいって、言えたんだよ……」
GM:──で、リューセとアルバスなんだけど……
リューセ:神になりたい。
一同:はいいィィ!??
リューセ:うーんとね……秘密。
サリース:で、アルバスは……
GM:今までの全部なし、とか。
一同:それはやめて〜!
アルバス:………………。そんなの、お前らに教えるワケないだろう。
サリース:やっぱりね。そうじゃないかと思った。
カー:で、これで終わりなのカウ?
GM:いや、まだだよ。エピローグが残ってる。
ゼナ:本当の悲劇はこれからだァー! ──ネバーエンド。
一同:イヤすぎる〜!
アルバス:よっしゃ、てことで、第三部完!