ここでは、<帝国>と<連合国>の争いが何千年に渡って続いていた。
大陸北部一帯を領土とする<帝国>
その周囲の小国が手を結んだ<連合国>
長きにわたる戦いは、そのおおもとの火種すら人々に忘れさせ、
いたずらに争いと悲劇を反復させるだけだった。
だが、あるとき大きな変化があった。
アルカディアの住民が青の世界――『人間界』の存在を知ったのである。
自分たちと違う場所に住む違う存在、人間。
彼らは人間をオゥリンと呼び、近づき、調査した。
人間界との『扉』が開くたび調査団を送り、またこちらへオゥリンを住まわせたりもした。
彼らは敵なのか、友となりうるのか、あるいは……
結論は残酷なものであった。
オゥリンは非常に利用価値の高いものである。
特に『ラーヴ』は"赤い麻薬"であり、戦士の闘争本能を高めるのにとても適している、と。
慢性的で惰性的だった争いは更に凄惨さを増すばかりで、未だ終わりは見えていない。
そして今、星そのものも、死に絶えようとしている。
それが……『アルカディア』
メーヴェたちの、偽りの楽園。
・
「息子がこの門を通るんです……」
「そこらじゅう死体だらけだ」 「これは……『ラーヴ』か」 「この先に、何があるんだ?」 「意識を取り戻したら、腹を殴れ」 「面倒だ。取っ払ってしまおう」 「ああ、これで通れます……」 |