ACT1.0[それがはじまり] 04

エミリー:さて、誰の本なんでしょうね? (住民リストを見て)この中だと、ヴァイスさんぐらいしかいない気が……。

GM:ヴァイス(プレイヤーEのPC)は今出張中。

ユリア:案外きこりのおじいさんかもしれないよ? 枕代わりにしてただけで。

GM:魔導書枕に教会で寝るのか(笑)。

エミリー:仕方ないですねー……、領主様のところから行ってみましょう。
 

 てなワケで、エミリーがやってきたのは領主の家。

 領主ゲイン=オルドレースは本当は副領主である。が、真の領主である村長(90歳を超えるじじい。なぜか領主ではなく村長と呼ばれるのを好む)が仕事をしないので、彼が代行として街を治めているのだ。
 

ゲイン「やあいらっしゃいエミリーさん」
 

 にこやかに挨拶するゲイン。その声に、妻のセツも奥から顔を出した。盲目である彼女は、杖をついている。
 

セツ「あなた、お客様?」

ゲイン:「ああ、教会のエミリーさんだ」

エミリー:「こんにちは、セツさん」

セツ:「こんにちは。今、お茶入れますね」

エミリー:「どうぞおかまいなく」

ゲイン:(椅子をすすめながら)「で、今日はどうしました?」

エミリー:「教会の方にお忘れ物ございませんでしたでしょうかぁ? こんな本が置いてあったんですけど」

ゲイン:「魔法の本……? (手に取って)いや、違うなぁ……。私のではないよ」

エミリー:「では誰か持ち主にお心当たりありませんか?」

ゲイン:「うーん……普通に考えれば、あなたかヴァイス君なんだろうが……」

エミリー:「そうですか……」

シュリ:仕方ないわね。──もしもしBOOKOFFさん? 本が売りたいんですけど……。

一同:売るなぁッ!

ゲイン:(小声で)「だがこの街の住民のことだから案外……」

エミリー:「何か?」

ゲイン:「いや……、そうだな……自警団の人たちに聞いてみたらどうだね? 彼らが一番魔法とは縁があるだろうから」

エミリー:実はわたしもそんな気はしてます。

ゲイン:「それからこれは全然関係ないことなんだが……頼み事があるから、後で腕の立つ者を集めてきてくれないか?」

エミリー:「腕の立つ者、ですか……?」

シュリ:あとこれも全然関係ないことなんだけどね、うち今夜、カレーだから。

レイチェル:ホントに全然関係ない(笑)。

GM:しかも食わせてはもらえない(笑)。

エミリー:「では自警団に寄りますから、そのとき声をかけてみます」

ゲイン:「ああ、頼むよ」

エミリー:心の中で、またここに戻ってこないといけないのか、面倒臭いなあ……と思いながら外に出ます。

GM:それは見栄っ張りというか……

エミリー:裏表のある性格なんです。

セツ:「あら、もう帰るの? せっかくお茶入れたのに」

エミリー:「あらあらすみません。でも、急ぎますのでわたしはこれで……。また後でお伺いしますから」

GM:(エミリー……イメージしてたのと随分違うなあ……)
 

 GMの最初のイメージと実際のPCが違うなんてのは……よくあることなのである。

GM:では酒場に場面を移そう。ユリアとレイチェルは何往復かしてやっと樽を運び終わった。

レイチェル:思った以上に時間がかかってしまった。やはりリヤカーを使うべきだったか。

シュリ:1カ月分のお酒だからね、そりゃ結構な量になるでしょ。

GM:さて、レイチェルに何かお礼をしないといけないんだけど……。

レイチェル:いい。いらない。

シュリ:レギュラー満タン入りまーす!

ユリア:ガソリンで動くんだ。それとも核?

レイチェル:(苦笑して)普通に食べ物食べて、それで動く。

GM:そうだったのか。

スティール:「では、私が焼いたアップルパイでも食べていくかい?」

レイチェル:「いただきます」

シュリ&エミリー:いただきまーす。

GM:お前ら、いないだろ。

ユリア:「ユリアは食べていいよね」

スティール:「いいよ。紅茶も入れてあげよう」

レイチェル:(アップルパイを食べて)「おいしい……」

スティール:「それはよかった。それなら、新しいメニューに加えてもいいかもしれないな」

 自警団の砦──

エミリー:「あのー、すみませーん」
 

 エミリーは簡素な扉を開け、砦の中に入った。自警団と言っても普段は別の仕事をしている者が多いため、中は閑散としている。
 

カーキ:「なんだ、エミリーか」
 

 中にいたのはカーキとシア、そして目を布で覆った背の高い青年。灰色の肌と尖った耳で、彼が『魔界』の血を引く者であることが分かる。

 魔族ハーフ、スリーアイ

 ”三つ目”という名とは裏腹に、彼はいつも目隠しをしている。それとも、布の下は本当に三つ目なのか……。
 

シュリ:「なに? まだ本の持ち主見つかんないの?」
 

 いつの間に戻ってきてたのか、シュリもそこにいた。

 根無し草の彼女は、砦や彼氏(不特定多数)の家を転々としている──という噂だ。時々教会に来て子供たちと眠ることもある。
 

シュリ:「トーゼン、あたしのじゃないわよ」

カーキ:「俺も違う。つーか、魔法キライだし。──一番可能性があるのはシアだが……」

シア:「うにゃ……はい?」

カーキ:「おめー、今寝てただろ」

シア:「寝てないです」

カーキ:「いーや、寝てたね」

シア:「寝てないですったら」

エミリー:「この本、見覚えありませんか?」

シア:「ありますよ」

エミリー:「あるの? いつ! どこで見たんやー!」(シアをつかんで、がっくんがっくん)

シア:「あわわわわ……母様が持ってたんですぅ〜」

シュリ:「かあさま? ……あ、そうか」
 

 シアの両親は、15年前に世界を救ったとされている『英雄』──盗賊キャンと、神官ウェイブ=ブランクなのである。
 

エミリー:「ではこの本はあなたのお母様のものに決定〜……ではなくてですねえ……」

GM:わっはっは、手掛かりは途絶えたね。

エミリー:うー……、ではとりあえずこの件は置いておきます。

GM:ふむ。

エミリー:「それとですね、領主様が腕が立つ者を集めてくれって言ってました。だから手の空いてる人は──」

シュリ:「ごめん、今手がふさがってる」(←大嘘)

エミリー:「手の空いてる人は領主様の家に行ってください」

シア:「くー」(寝てる)

エミリー:「寝るなー! エルボォォォー!」

シア:「むぎゅ……」



PREVNEXT

MONDF目次

リプレイTOPへ