ACT15.0[やわらかなきずあと] 04

 モッカシンの診療所──

GM:シュリ、病院に用があるっていうのは?

シュリ:いや、大したことじゃないんだけどね。──こういうこと聞くのは医者失格だと思うけど、死人は生き返らないよね?

GM:そう……だね。

ユリア:前世では蘇った気がしないでもないれすが……(第二部で、ティンベルが『復活』の霊薬で生き返ったことがある)気にしない気にしない。

シュリ:じゃあ……戸棚に置いておいた──ことにしておく──銃を手に取る。

GM:水晶球に封印されてた、魔法銃だね。

シュリ:それと……水晶球を2つほど。

モッカシン:「何だYO、シュリ、どーかしたのかYO♪」

シュリ:「ノリノリねー……」
 

 魔法銃をホルスターにしまう。もう一丁の、いつも愛用している銃の残弾を確かめる。

 靴紐を結び直して──シュリは立ち上がり、ぽつりと言った。
 

シュリ:「スノウが死んだ」

モッカシン:「……HA?」
 

 それ以上何も言わず、シュリは診療所を後にした。

 自警団の砦──

シュリ:レイチェルが来るのを待つ。

GM:どっちが早く砦に着くかな? ……まあ、いいや、レイチェルと合流できたことにしよう。

ユリア:(レイチェルに抱えられながら)「ロボさんを連れてきたれす」

レイチェル:連れてこられたと言った方が正しそうだ。

フウゲツ:レイチェルにも、詳しい話をしよう。

レイチェル:(一通り話を聞いて)「凶器は」

シュリ:「スノウのナイフだったらしいから、そこから犯人を特定するのは無理ね。指紋とかついてるかもしれないけど」

レイチェル:「手口は。手慣れたものだったのか?」

GM:玄人がやったようには見えなかったらしい。

レイチェル:「着衣の乱れは」

フウゲツ:「……あった」

シュリ:「あったらしいけど……実際“そういうこと”があったのかどうかは、まだ分からない。調べてないからね。同様に、死因もナイフの一撃が致命傷であることはほぼ間違いないだろうけど、断定はできない、ってとこ」

レイチェル:「調べてみるべきか」

シュリ:「そうね……できるなら、それをお願いしようと思って呼んだの。あと、過去に似たような事件があったかどうかの検索」

レイチェル:それはすぐにできる。(コロコロ)検索には成功している。

GM:5年前、スノウの姉ノエルが同じように強姦未遂に遭う事件があった。

フウゲツ:「強……姦? ノエルは強姦されかかったのか?」

レイチェル:「そのように記録されている」

フウゲツ:「それは……それはちょっと、かなりショックな話だぞ……」

シュリ:知らなかったんだ。……あたしも知らなかったけど。

フウゲツ:俺は……ノエルの死んだ背景に何があったのか知りたくてこの街に帰ってきたんだ。……そうなのか? そういうことなのか?

GM:そして、そのすぐあとにノエルは別件で死んでいる。

レイチェル:別件? そちらの方の事件に関するデータは。

GM:ノエル死亡に関するデータは、詳細はレイチェルのデータバンクにも残されていない。死んだ、ということしかね。

レイチェル:私が直接死体を見たワケでもないのだな。

GM:見ていない。フウゲツも見ていない。葬式に参列して、追い出されるように街を出たからね。

シュリ:「──じゃあ、レイチェルにスノウの方は任せて、あたしはこのままタンを探すことにする。定期的に連絡を取るようにしてるから、何か分かったらそのとき教えて」

ユリア:「ユリアはロボさんについていくれす」

フウゲツ:俺もタンを探す。エミリーをひとりにするわけにはいかない。

ユリア:見張ってるのれすね。

フウゲツ:ぶっちゃけ、そうだ。

シュリ:あたしが連れていこうか?

フウゲツ:そうしてもらえるなら助かる。なら、俺はスノウのところにいこう。

エミリー:今度はシュリに監視されるわけね。

シュリ:背後からね。いつでも撃てるしね。

エミリー:いざとなれば関節を取って……。

シュリ:両手同時にキメないと、撃つよ。それにあたしが知ってるのは暗殺術だから。しかもそのことを誰も知らないから。その気になればいつでも殺せる。……楽しみ〜♪

エミリー:……さすがに敵わないのかしら。

 オゴーレ教会──

GM:教会には、シルヴァばあさん、ゲインさん、セツさん、シアがいる。もちろん、スノウも。シアの目は真っ赤で、鼻をぐじゅぐじゅいわせている。カーキはタンを探しにいったらしく、ここにはいない。

レイチェル:遺体を調べるのは忍びないですが……事件解決のために。

ここにいないシュリ:シルヴァばーちゃんは反対はしないの?

GM:反対は……できないだろうな。でも、切ったりはなるべくしないでほしいところだろう。シルヴァさんも立ち会うよ。

レイチェル:分かりました。

フウゲツ:(拳を握りしめ)「俺に力がないばっかりに……」

レイチェル:別室に運ぼう。

ユリア:ユリアもいくれす。肉の(筋肉の動きの)専門家れすから。

GM:調べた結果を列挙すると──細かい擦り傷などはあるけど、やはり致命傷はナイフによる胸への一撃。これは組み伏せられてからの、体重をかけた一撃だと思われる。それから……着衣に乱れはあったけど、強姦された形跡は──ない。

ここにいないシュリ:太ももの内側に擦り傷があったりは?

GM:それはあるね。あるけど……その、なんだ、“入れられた”形跡はない。あと……手首や足首に残ったアザから、複数犯であることが分かる。

レイチェル:複数……か。

シュリ:手が何本もあるなら話は別だけど。──魔族ハーフまで含めて、そういう人、いる?

GM:んー……、いない、かな。

レイチェル:ではやはり複数の人間による犯行か。

ここにいないエミリー:……輪姦?

シュリ:未遂なんだってば。

レイチェル:指紋は……比べるサンプルがないか。

シュリ:いや、ヴァイスの住民台帳には、指紋はもちろんのこと、掌紋、口唇紋、網膜パターン、声紋から鼻紋までばっちり載ってるから。

GM:こらこら(苦笑)。

ここにいないヴァイス:手の大きさは、分かる?

GM:どれも青年男性だね。指の太いおばさんかもしれないけど。

レイチェル:死亡推定時刻は……こちらの予想と一致してるのか。

GM:タンが呼びにきたらしき時間。そこから普通に歩いて洞窟までいって……すぐ、ぐらいか。

レイチェル:詳しくは分からないが、何時間もうろうろした後に洞窟にいったということはなさそうということだな。──分かることはこのぐらいか。衣服を着せて、スノウを運ぼう。

フウゲツ:(調べた結果を聞いて)「そうか……」

レイチェル:「複数犯だと分かっただけでも、調べた甲斐があった」

シア:「みなさん……」

フウゲツ:「ん?」

シア:「結構、冷静なんですね……」

フウゲツ:「……んなワケないだろ」

シア:「私は……殺してやりたいです」

レイチェル:「怒りに任せて行動しても、いいことなど何もない」

シア:「命の……命の価値なんて……」

フウゲツ:「………………」

レイチェル:(ユリアを見て)「ユリア、どうした」

ユリア:「どうもしない──いつも通りですよ」

レイチェル:(疑問を抱きつつも)「そうか」

フウゲツ:「シアは……スノウの傍にいてやってくれ。あとは、俺たちに任せろ」

レイチェル:スノウの遺体はお返しして……調査を続けよう。

フウゲツ:頭を下げて、教会を出るぞ。

GM:さて、タンを探して居住区をうろうろしているシュリとエミリーなんだけど……シュリ、君はだんだん感覚が鋭敏になっていくのを感じる。『できそこない』を淡々と撃ち落としていたときのように、“あの頃”の感覚を取り戻していく。

シュリ:………………。

GM:そしてその鋭敏になった視界の端に、何かが引っ掛かった──今、裏通りの方に入っていったのはタンではなかったか、と。

シュリ:何も言わずに走りだす。

エミリー:「ちょっと! どうしたのよ!」(あわてて後を追う)
 

 細い路地に入る。シュリの目が、タンの背中を捕らえた。足に力を込め、更に加速する。
 

シュリ:「止まれ! 止まらないなら撃つ!」
 

 シュリが本気だということを感じたのか、タンは走る速度を緩めた。息を切らしながら、ゆっくりとシュリの方を向こうとする。
 

シュリ:(銃を構えて)「おっと、そのままね。……そのまま、ゆっくり、壁に手をつきなさい」

タン:「ボ、ボクは……」

シュリ:「まだしゃべらない」──持ち物の確認をする。武器は持ってる?

GM:一応自警団だからね。とはいっても、大きめのナイフぐらいだけど。

シュリ:(スノウの)短剣の鞘とかは持ってない?

GM:それはない。

シュリ:さすがに捨てるか……。

エミリー:わたしは、周囲を警戒しておく。

シュリ:「何で逃げたの?」

タン:「オ……オタクらが、ボクを疑ってると思ったから……」

シュリ:「疑うって、何を」

タン:「スノウを、殺したんじゃないかって……」

エミリー:「どうしてそのことを知ってるの?」

タン:「ボ、ボクじゃないんだ……」

シュリ:「質問に、答えなさい。──なぜ、スノウが死んだことを知ってるの? 見たの?」

タン:「見た……」

シュリ:「何を見たの」

タン:「全部……」

シュリ:「全部、か。……詳しいことは砦で聞くわ。歩きなさい」──銃をしまって、タンの前を歩く。タンの後ろにエミリーね。

GM:タンはおとなしくついてくる。──そして豹変するエミリー(笑)。

エミリー:タンを後ろからサクッと。

ここにいないユリア:え、タンと一緒に逃げるんじゃないんれすか?

GM:それはありかもしれない。ふたりでシュリに撃たれて、天国への逃避行。

エミリー:いやん。



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