DAY5 【思い出は消えて】 04


 アリバイを整理し、もう一度事件の流れを確認する。そして壁に赤い液体で描かれた『まじない』の意味を金太郎は知った。
 

GM:あれはおまじないの一種で、意味しているのは――愛と死。つまり、心中。

小鈴:ほー。

GM:ただ、素人かじりで、ここをこう直せば実際に呪い殺せたのに、と。

小鈴:こわこわ。

金太郎:誰をや。

チャーリー:ここまで出てきた人間関係で、心中を考えるような関係というと……やっぱあれデスかねぇ。

金太郎:誰を呪い殺すかは分からんか。

小鈴:添い遂げたい人じゃない?

利迎院:ちあり殿か。

GM:呪い殺せたのに、は半分冗談。マコなら更に手を加えてそっちの方向に持っていけるって意味ね。

小鈴:ローラさんは誰が好きだったの?

金太郎:エンジ?

GM:愛人関係だったなら、そうだろうね。

トム:心中ってことはさ、ローラ、自殺なんだろ?

小鈴:うん。

金太郎:あんな自殺はでけへんやろ。

小鈴:けど、殺されそうになった方が、防衛で殺したとか。

トム:んで、愛人関係にあったおっさんを道連れにしようとした魔術なんじゃないの?

金太郎:それはそうやろうけど。推測の域をでない。

GM:魔術自体に力はないよ。あくまでおまじないレベル。

利迎院:自殺した死体がその場に残れば名折れになる故移したか。

チャーリー:ちょっと気になったんだけど、呪い殺せたのに、は半分冗談ってのは、何がしかの効力はあったってことデスカ? ちゃんとやってれば。

GM:呪い殺せそう、というのはマコ的冗談。マコが更に違う方向に手を加えたら呪い殺せますよ、という意味。どっちかと『うまくいきますように』っていうおまじないだね、これは。

金太郎:というと?

GM:『(これから行う)心中がうまくいきますように』という、おまじない。それで呪い殺せるわけではない。

小鈴:ふむふむー。

チャーリー:なるほど〜。

金太郎:ローラが部屋で首つって自殺。エンジが見つけてこりゃヤバイと死体を移して、身元判明を恐れて首を切った。

トム:触媒として千のナイフの神隠しを使おうとして使い方を間違って首切っちゃったとか。それこそ呪いっぽい効果で首切っちゃったとか。

金太郎:呪い出て来たらお手上げや(笑)。

トム:もともと超能力ミステリだった気が。

金太郎:殺しのトリックに超能力もってくんのは反則。しかもまだでてきてない能力で。

トム:まったくだな、トリックしまもないとはこのことだ。

小鈴:話を戻して、要はローラには、誰かとそい遂げたいという思いが生前あったということでしょう?

トム:添い遂げたいというか一緒に死にたいっていうか。

小鈴:そうだね。

金太郎:そっちやね。

小鈴:で、それを実行に移そうとしたところまでは分かったんだね。

金太郎:分かってへんけど。

トム:じゃあついでで殺されそうになった愛人さんじゃね、怪しいの。

金太郎:せやから、ローラが部屋で首つって自殺。エンジが見つけてこりゃヤバイと死体を移して、身元判明を恐れて首を切った。

トム:いや、むしろエンジが殺した。

小鈴:わたしもエンジが殺した、だと思ったけど。

金太郎:前半は、エンジを殺そうとして返り討ちでも可。

チャーリー:睡眠薬かなんか飲んで死のうとしたけどエンジだけ飲まなかったとかは。

利迎院:心中を持ちかけたのが梅中どのという考え方でもよくはないか。

チャーリー:首吊りは確定だったっけ? 窒息死は。

金太郎:いや。死因不明のままや。

トム:とりあえずエンジ怪しすぎるだろう。もう、最初から。もう殴りたくてうずうずしてるよ?

金太郎:状況証拠自体も乏しい。

トム:証拠なんていらーん。

金太郎:コテージの鍵を借りた理由は……逢引とかでもええんか。

利迎院:梅中心中持ちかける→コテージ呼び出す→脱がす→殺す→首を切る、の流れでいこうや。

金太郎:部屋の儀式跡の説明は? 下着以外の服がない理由は。

利迎院:説明いるかね。「これから心中しましょう」って言われとるのに。

金太郎:あんな儀式跡残っとったら怪しまれるやろ。

小鈴:ローラが梅中と心中しようとした→コテージ呼び出す→脱ぐ→ごにょごにょ→殺人返り討ち、では。

金太郎:心中持ちかけたらローラが勝手にあんな儀式はじめたんか?

利迎院:ふたりでやるようなモンかね、あの儀式は。

小鈴:持ちかけたというか、無理心中だったんじゃ。あんた殺してうちも死ぬ、みたいな。それがうまくいくように、っていう儀式。ひとりで。

金太郎:まぁ……わいはまだ悩んでるけどな。

トム:無理心中って、そんなの無理! って感じのアクロバティックな方法で心中することだとばかり思っていた……そんな時期が僕にもありました。

金太郎:おもろい(笑)。

利迎院:あくまで推測だが、土屋家の御曹司の許婚に手をつけたことの露見を恐れて殺したかったのではないかと思うのだがね。

小鈴:でも代理のケイはいたでしょ?

金太郎:せや。土屋家の御曹司の許婚は勘当されてナユととっくに入れ替わっとったのでは。

チャーリー:儀式始めたのって、ローラなのデスかね? エンジが持ってたナイフって呪術めいたもんデスし、実はエンジがおっぱじめたんだとか。

利迎院:それはなかろう。

金太郎:そうやとしても、それで?

チャーリー:それだと、これからふたりで死んで一緒になろうと言って、心中する振りをしてローラだけ死なせるって流れは。

金太郎:儀式必要ないやん。

チャーリー:ローラが儀式始めてローラが死ぬって流れよりは自然かなと。

トム:そこに儀式みたいなのが入ったから時間が飛んだりしてんじゃねーのか?

チャーリー:儀式することでローラにその気にならせたとか。暗示とかでもいいけど。

金太郎:回りくどすぎる。

小鈴:二人ともが死ぬのに同意してたんなら、二人とも死んでるはず。

金太郎:ローラだけ死なせるつもりでエンジが心中を持ちかけたなら、あの儀式は不自然。

小鈴:うんうん。

金太郎:ローラが死んだ時点でエンジの気が変わったなら、片付ける暇がなかったという理由はたつかな。

利迎院:梅中どのもローラどのも一度に片がつけば喜ばしいものがおるか?

トム:梅中妻。

金太郎:エンジ死んでへんけどな。

トム:金欲しそうだし。エンジ死んだら財産とかはいってこねーか?

金太郎:全く無関係な可能性すらある。

利迎院:理由は金でも嫉妬でもなんでもよい。

金太郎:もちろん、二人が一度に死んで喜ばしいのは梅中妻かも知れんが、エンジは死んでへんし。

トム:そこが梅中妻の誤算なんだよ。千のナイフが強かったから。

利迎院:死なねば新たな策を考えねばならぬだろう。それに、両方殺してしまえば自身に火の粉が降りかかってくるではないか。

金太郎:つまりあの死体はユウミのものだと。今のユウミの首から上はすげ替えたものやと。……なアホな。

トム:DIO様っぽいな

GM:金太郎としては、どこに一番ひっかかってるの?

金太郎:証拠がないところ。

GM:そこか。警察が介入しないと、証拠は難しいだろうね。

利迎院:貴様は刑事か探偵か、どっちだ。

金太郎:似たようなもんや。

利迎院:証拠から事件を組み立てるのが刑事、推理に証拠で肉付けするのが探偵であろう。

金太郎:なんか、今回の金太郎は比較的まともに動いてきたから、あいまいな状況でヤマを張ることができん。

トム:なんかこう、テグス糸とかそういうのがないと駄目なんだな。不自然な水溜りとか。

GM:釣り糸とセロテープですべてOK。

トム:そういうのないの?

GM:ないない。

利迎院:とりあえず崖っぷちに疑わしいものを連れてゆけばよいのではないのか。崖に行くと犯人は皆真相を話しておったぞ、てれびでは。

金太郎:いつ見たんやそんなテレビ。

トム:火サスっぽい展開だな。

金太郎:とにかく、証拠が足らん。

GM:え、証拠もないのに追い詰めて、ぽろっと自白させて「みなさん……今のお聞きになりました?」とやるのが探偵なのでは。

金太郎:ひどすぎる(笑)。

利迎院:いずれにせよ、犯人は梅中妻。その罪を旦那に押し付けた上で自身がちあり殿と再婚しようという目論見で間違いはない。あと必要なのは崖だけだ。正解なら崖でしゃべるだろうし、間違ってたら崖から突き落とすもよし。

GM:主題歌とベタな後日談も必要かと思われますが。

金太郎:いや、「あなたしかいないんです」と言える状況やないと、最後の行動には出られへん。

GM:じゃあ、警察が証拠を探し出すか、自分で証拠探すしかないねえ。

トム:サイコメトラーみたいなのいないのか、ここには。

金太郎:わいが寝る? 証拠にはならんけど。

トム:この際証拠はいらんだろう。いや、最終的にはいるけどその前段階で絞り込めれば。

金太郎:今それをやろうとしとるんとちゃうん?

GM:警察が調べればこんな証拠が出るでしょうね、というのもよくある手だね。

金太郎:そのよくある手も、最強の状況証拠があってこそ、やろ。

トム:じゃあ金太郎を寝かせるか。「なぐるよー(にっこり)」

金太郎:「ちょ、待て、寝るなら自分で寝られるわい」

トム:「ち」

利迎院:(刀を抜きながら)「一応僧じゃ。あとのことは心配いたすな」

金太郎:何のや。

利迎院:彼岸だ。彼岸での新生活だ。

金太郎:何で死ななアカンねーん。……しゃーない、証拠探しに行くしかあれへんかなぁ。

トム:大丈夫大丈夫、痛くないからねー。

金太郎:「ちょ、やめ、まて、こら」

トム:「ええーい、お前が煮え切らないからだろうがー。さっさと寝ろー」

金太郎:「分かっとるがな。……ほな、おやすみー」

利迎院:嶺打ち(すなわち長さ1メートルの鉄棒で殴ること)じゃ、安心いたせ。

GM:ぎゃあ。

金太郎:紙もペンも持たずに。

GM:血で書けばいい、それこそ。ダイイングメッセージ。

金太郎:この能力死んでも有効?

GM:さあ? ……では、寝てしまうのですね?

金太郎:寝ろゆーから。

利迎院:寝たあとに死ぬ必要性はさておいて。

GM:これで犯人は誰々ですというのもなんかなーと思わんでもないけど、ここまで来たならいいか。犯人は──

利迎院:これで浩之介の顔出てきたら困るな(笑)。

金太郎:PCが犯人か。

GM:よくある話だ。んで。犯人は──

金太郎:この中にいる!

利迎院:すみません私です。

トム:これで赤いコートのヤツとかだったら笑う。

GM:……言うぞ?

利迎院:おー。

金太郎:どうぞ。

GM:犯人は──梅中エンジ。


Brand-new Heaven TRPG
<L・P COCOAMIX>
<L.P>目次
TRPG TOP
HOME