DAY5 【思い出は消えて】 05


トム:ほらね。

利迎院:旦那か。あとは崖だな。

GM:小鈴の推理がほぼ正解。

トム:ただひとつ違う点があるとすれば……それは……凶器がブーメランだったということだけだ。

利迎院:一発のあとの返り討ち?

GM:そう。ローラが梅中と心中しようと考える→(ローラひとりで)『儀式』→コテージ呼び出す→脱ぐ→ごにょごにょ→殺人返り討ち。

小鈴:んー、自然だね。ただ、心中しようとしたタイミングがいろいろ客が来てる時ってのがちょっとどーかなーとも思ったけれど。

利迎院:そういう儀式をする発想を持った人の存在は不自然だがな。

チャーリー:ほんとにあんだけ派手な儀式だったのに、おまじない程度の意味しかなかったのデスネー。

小鈴:思いつめて、人を殺そうとするときの心理って、何にでもすがりたくなるものなのかな……。心中を決意する為には、あれぐらいのものが必要だったのかもね。

チャーリー:実際死ぬとなったら、それくらいのことして後押ししないとできない人もいるんデショウ……。

金太郎:わいは寝とるまま。紙だけ取り上げられて。zzz……。

トム:「起こした方がいいか?」

利迎院:(刀を抜きながら)「まだ寝ておった方がよいか?」

金太郎:zzzzz……。

チャーリー:このままでは殺されてしまいそうなので、金ちゃんをいい加減起こして、と。

金太郎:「はうっ! ……な、なんやなんや!? お、なんや、描けたんか?」

GM:さて、どうするのだろう? エンジに話すの? それとも後日浅生刑事にだけ話すの?

トム:エンジが犯人だったらさ、やっぱり千のナイフは持たせておくべきじゃないよな。この場にヤツはいないんだっけ? 食堂で話してるんだよな?

GM:食堂にみんないるよ。

トム:俺らはアレか、食堂のすみで円陣組んでこそこそしてたのか。

金太郎:わいが寝たりな。

GM:気の毒なものを見るような目を向けている育郎おじさん、とかありそう。

トム:それじゃあ、今度はエンジを囲んで円陣組もう。

金太郎:ダジャレかよ!

利迎院:先にその『だがー』とやらを奪ってからがよかろう。

金太郎:証拠あれへんかったらこんな絵1枚じゃしらばっくれられるぞ。まぁ、うまく自供してくれればええんやけど。

チャーリー:あのーGM、チャーリーの能力って感情を移す、でよかったんデスよね?

GM:うん。触れたものの『感情』を移動する、だね。

チャーリー:分かりマシタ。

GM:??? ……さて、どうするのだ?

トム:とりあえず奪おうか。

利迎院:んむ。

金太郎:荒事は任せたで。

トム:「殺さない程度の手加減は出来ますかね? 御坊」

利迎院:「すべては仏の御心のままに、じゃな(笑)」

トム:これ見よがしにストレッチしつつエンジのほうを見ようかな。格下をもてあそぶ体勢で。俺の能力は超動体視力だから、身体能力で自分より劣る相手ならほぼ確実に何でも出来るよ。

金太郎:動体視力だけやと、動くことでけへんのとちゃうかったか。

トム:うん、だから、自分より身体能力が低い相手には無敵。見えてても回避できないものはどうしようもない。それこそ銃弾とか。

利迎院:その前に『技』のある人に盗んでもらう方を選択したいのだが。

トム:そんなヤツいたっけか。

金太郎:……わい?

トム:大活躍だな。

利迎院:ワシはあんな恐ろしい刃物と切り結びたくはない(笑)。

金太郎:そんなんわいかてイヤや(笑)。

利迎院:だから、向けられる前に盗んでほしいのだ。帽子の中から石を盗んだことがあると聞いたぞ。

金太郎:今かばんにはいっとるし。わいはかばん狙って捕まったんや。

利迎院:ワシらで気を引くからその隙に何とかいたせ。

金太郎:そんならまぁ。

利迎院:作戦はこうだ。ちょうど梅中殿のとなりでワシの刀の鞘にトムが触れる。ワシとトムがそのことで口論になる。トムを斬る。以上。

トム:……それは限りなく本気に近い演技だと解釈していいのかな? それで気を引くということで。

金太郎:ほんまに斬ったらわいの方が気を引かれてまうわ。

利迎院:わしは左利きなので、向かって左側をすれ違ってくれ。

トム:分かった。……絶対避けれない攻撃だけはやめてね。行動を制限した上で避けられない攻撃とかもやばそうだから。

利迎院:うむ。では、ワシが何気なく反対側へ移動いたそう。まずは口論からだな。

トム:俺はストレッチしてるから、お先にどうぞ。いちゃもんつけるのはそちらだろうから。

利迎院:了解した。では、歩き始めるか。すたすたすた。

金太郎:わいもさりげなくエンジの傍に。

トム:ストレッチ継続中。いかにもエンジを挑発している風で。

GM:そんな挑発にはのらん。

金太郎:エンジに「ほっといたってください」と話しかけよう。傍にいても不自然じゃないように。

GM:エンジはかばんを胸に抱き、無言。金太郎も無視して文庫本に目を落としている。

金太郎:話しながら隙をうかがおうか。

利迎院:もそっとこちらに寄らんかい。

トム:もそっと。大きく右足を上げるぞ。
 

 トムの右足が、利迎院の刀に触れた。

金太郎:わいが言うのもなんかあれやけど。ローラ殺しの犯人は――エンジはん、あなたですね?」

エンジ:「な、何を言い出すんだ、君はッ」

金太郎:「いや、もう大体分かっとるですよ。すべて何もかもまるっとお見通しなんですよ」――いまいち気乗りのしていないキメ台詞。

エンジ:「バカなことを……。それより、早くかばんを返したまえ。これは立派な窃盗だ」

利迎院:窃盗を越えて強盗では。

金太郎:やな(笑)。

GM:そうだ、強盗だー! ……で?

金太郎:「あとで返しますって。それよりね。あなた、ローラさんと不倫しとったでしょ」

エンジ:「な……。……誰からそんなことを聞いた?」

小鈴:心当たりありそうないい方だね。

チャーリー:ていうか否定してないんじゃ、その言い方は。

金太郎:「そんなことは重要やあれへんのです。調べればわかることです。で、痴情のもつれかなんか知りませんが、ローラさんに無理心中されそうになって、返り討ちにしたんですね。――このナイフで!!!」

利迎院:ナイフ掴んでびしっ?

GM:ナイフ掴んだ?

トム:GMうれしそう。掴め。きっと何か起こるから掴んでポーズ決めれ。

金太郎:掴んでほしければ掴んでもええけど(笑)。指紋つくのいややからハンカチで包んで、かばんから出して、みんなに見せるかな。

GM:金太郎はダガーを天にかざした。しかし何も起きなかった。

トム:ぶーぶー。

利迎院:起きんのか。

金太郎:「さっきの赤コートの男の義手の切り口、あの死体の首の切り口とよう似とるんですわ」

エンジ:「……だからなんだ? わたしが切ったという証拠でもあるのか?」

金太郎:しらばっくれんのかよー。もうやってらんねーよー。

GM:もうやらんの?

金太郎:「ま、証拠はなんもないんですけどね。あんたが一番危ないんで、こいつは預からせてもらいます」

利迎院:「証となるものがあるかも知れんし、ないかも知れん。しかしこの国では自ら語った方が罪は軽くなるのではないのか?」

GM:「……返せ!」とエンジが飛び掛ってくるよ。

トム:足を引っ掛ける。

金太郎:避ける必要があるなら避けよう。

利迎院:刀を抜く……暇はなさそうなんで鞘ごと殴る。

GM:「それはわたしの――」と言ったところで、金太郎。

金太郎:はい?

GM:ダガーが、強烈な赤い光を放つ。

利迎院:おぉう?

金太郎:「うお、なんやなんや!?」
 

 夕日よりも血よりも赤い光を放つダガーは包まれていたハンカチを一瞬で燃やし尽くし金太郎の手の中におさまった。脈打つように明滅し、見る者の瞼の奥に赤い残滓を残し――
 

GM:そしてダガーは粉々に砕け散る。無数の小さな破片となったダガーはそのひとつひとつが光となって――金太郎の身体に吸収される。

チャーリー:……はい?

金太郎:きゅうしゅう?

GM:そ、吸収。赤い光となって粉々に砕けたダガーが、身体に吸い込まれて消えたと思いねえ。

金太郎:消えたように見えたのではなん?

GM:違うねえ。

マコ:………。

トム:やべ、証拠、つか、凶器が消えたよ。

利迎院:証拠隠滅か。成瀬どのも共犯だったとは、手の込んだ芝居だな。

金太郎:「あ、あれ? ……消えてもた?」 足元見回したり体触ったりしてみる。

トム:それを俺はスローモーションでくっきりはっきり見ているわけだな。なんか変なことはない?

GM:へん? すべてが変といえば変だ。

トム:変っていうか、常人の目に留まらないようなこととかな。

チャーリー:「金ちゃん、平気なんデスカ……?」

小鈴:「金太郎君……?」

金太郎:わいは平気なんか? そんで兵器なんか?

チャーリー:最終兵器彼氏。

利迎院:最終兵器か農場。

GM:平気だね。――今んとこ。

金太郎:「うわ、……あ、あの、……すんまへん……?」

GM:それを見て、エンジはがくっとひざをつき、なんてこったーってかんじで、嗚咽をもらす。


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