GM:やわらかな光に包まれ、気がつくと神殿の中にいる。壁も柱も床も凍りついてるんだけど──不思議と寒くはない。
ガルフ:氷じゃなくて水晶なんじゃないか?
GM:触ってみると冷たいよ。確かに氷だ。
フローラ:とりあえず、奥に行ってみようぜ。
GM:やがて、巨大な祭壇がある広間に出る。
フローラ:いかにも何かありそうな……。
GM:祭壇の上で青い炎が燃えているよ。で、中に人影が見える。
ラズリ:炎の中に!? ひょっとして土地神……さん?
GM:炎の中に手足を丸めて浮かんでいるのは──カレンだ。
ラズリ:「カレン!? カレンちゃん? なんでこんなところに……」
グレン:(突然)カレェェェーン!
クロヌシ:グレンはもう死んだだろ(笑)。
ラズリ:呼びかけてみるけど……反応はない?
GM:目を開けて君たちの方を見るけど、君たちだって認識していない。ぼーっとしてる。
ティンベル:そうだねぇ。──炎に触ってみる。
GM:触ると冷たいよ。炎なんだけど、冷たい。
カレン:「──炎は、熱く赤く燃えるものだと思った?」
ラズリ:「え……?」
カレン:「これがわたしの炎。火傷しそうなほど冷たい、蒼い炎……」
クロヌシ:「何を、言ってるんだ?」
カレン:「……返して……」
ラズリ:「え?」
カレン:「グレンを返して! 返してよぉ!」
ガルフ:──と、言われてもな……。
ラズリ:大体、なんでこんなとこにカレンがいるの?
GM:ラズリには、何となく分かるかな。──カレンこそが、【火】の土地神なのだよ。
一同:あ……あー、そういうことか(納得)。
フローラ:なるほどなるほど。カレンと別に【火】の土地神がいるんじゃないんだな?
ガルフ:だが、カレンは【水】の土地神じゃなかったのか?
GM:本当はそうだったの。でも、悲しみの炎がカレンを変えてしまった。──言魂(ことだま)の力もあるかな。
ガルフ:言魂?
GM:「水」のカレンの、グレンの死を「見ず」──つまり認めたくないって心が彼女をここに運び、
「紅蓮」への思いが「カレン」を「火蓮」に変えたってこと。
ガルフ:うーむ、そこまで考えていたとは……。
GM:さ、カレンを説得してくれい。
一同:うーーーん……。
ガルフ:グレンの魂に縛られてるんだから、それから解放してやればいいんだよな……。
GM:カレンはグレンが死んだと思いたくない。
ラズリ:それはよく分かるんだ。だから「グレンはどうして死んだんだと思う」系で説得すればいいんだと思うんだけど……。
ティンベル:左胸を指差して、「グレンはここにいる」ってのはダメ?
ラズリ:だから、「グレンはまだ生きている」でせめるか、「グレンはもう死んだんだ。現実を見つめろ」でせめるか……
このどっちかなんだよね。
ガルフ:そうそう。
フローラ:ところで──グレンは本当に死んだのか? 死体は?
ガルフ:死体も残らなかったんだ。全部燃え尽きた。
一同:うーーーん……。
ガルフ:殴ったりしても反応しないだろーなぁ。ばしっと殴って「グレンはもう死んだんだ!」って。
クロヌシ:それはひどすぎないか?
フローラ:カレンはグレンに惚れていたのか?
ラズリ:さっきの発言から、明らかにそうとしか思えないんだけど。
ガルフ:分からんぞ。「お兄ちゃんを返して」かもしれないじゃないか。
ラズリ:うーん、もうノリと勢いでいっちゃおうか?
ガルフ:よし!(おもむろに懐からふたつの宝玉──グレンの形見を取り出す)
カレン:(かすかに反応する)
ガルフ:グレンは…………スマン、後が続かない(笑)。
ティンベル:首にかけて「オレがグレンだ!」ってのはダメ?
ガルフ:(ぐっと宝玉を突き出して) これを見てもまだ分からないのか! ──分からねーよな(笑)
ラズリ:今の言葉で何が分かるのよ……。
ガルフ:「グレンは……グレンはもう死んだんだ!」
カレン:「分かってる……分かってるけど……」
フローラ:「グレンに会いたい、か……。だが、好きな人との再会というのは必ずしも喜ばしいものではないぞ」
ラズリ・ガルフ:「じーーーん……」
フローラ:「グレンは、お前を守って死んでいった。後悔しているはずがない」
ガルフ:「グレンが……グレンが何のために、誰のために戦ってきたと思ってるんだ!」
カレン:「そんなの、分からないわよ……」
ガルフ:「バカ! 全ては、全ては愛する君のためだったんだぞ!」
カレン:「どうして? どうしてそんなことがあなたに分かるの? あの人は……あの人はいつも……わたしのことなんか見てなかった……」
ガルフ:「そんなことはない! いつだって見ていたさ! オレには分かるんだ!(笑)」
ラズリ:(小声で)「なんであんたが知ってんのよ」
ガルフ:「いつも君を見ていたことを、オレは知っている!」 ──とそれっぽいことを言う(笑)。
カレン:「嘘ね……」
ガルフ:そこで説得されてくれよー(笑)。
カレン:「人の心は誰にも分からない──そうでしょう?」
ティンベル:「──ならあなたにも、グレンの心は分からないんじゃないの?」
カレン:「それは……」(言葉につまる)
ラズリ:ガルフから宝玉を受け取ってカレンに近づく。
ガルフ:「この宝玉にこめられたグレンの思いが、分からないのか!」
ラズリ:(無視して)「ねえカレン、グレンの思いは、あなたには届いてなかったの?」
ガルフ:「彼の熱い炎が、あなたには届いていなかったというのか!」
GM:なんか……なんかガルフの言葉ってウソくさいんだけど……(笑)。
ガルフ:なぜどぅあー!
フローラ:「なあ、お前はずっとグレンがしてきたことを、傍で見てきたはずだ。あいつがしてきたことを、全て無駄にするつもりか?」
カレン:「わたしも、分からなくなっちゃった……。あの人は、何をしてきたの? 何がしたかったの?」
フローラ:「分からないのか?」
カレン:「分かるもんですか! お金ばっかり稼いで、わたしをひっぱたいて、いつも無口で──分かるわけないじゃない!」
フローラ:「嫌いなら、なぜいつまでも一緒にいる必要がある?」
ラズリ:「親の敵だって、グレンを追ってたんでしょ?」
フローラ:「それでも一緒にいてくれた。そうだろ? ──再会できること、それは確かに一番いいことかもしれない。
だが現実を見つめることも大切だ。そして、あいつのやってきたことを継げるのは、お前だけだ」
ティンベル:「私が愛した人は、みんないなくなってしまった──母さん、父さん、そして唯一生き残っている妹も、どこにいるのか分からない……。
でも、人はそういった悲しみを乗り越えなくちゃいけない」
ラズリ:「あたしもね、家族にだまされて育ってきたの。──でもそれを受け入れる。そうして、生きていくことに決めたの」
カレン;「………」
ラズリ:「──ねえカレン、あなた、グレンが好きだったの?」
カレン:(コクリ、とうなずく)
ラズリ:「グレンはね、あなたのこと好きだったんだよ。気づかなかった? 走っているあなたを、眠っているあなたを、遠くにいるあなたを──見つめる瞳は、とても優しかったよ……。」
カレン:「グレン……わたし、さみしい……。わたし、さみしいよぉ、グレェン……」
カレン:(消え入りそうな声で)「ねえ、ラズリ……」
ラズリ:「ん……?」
カレン:「わたし、何ができるかな? どうすれば、グレンに喜んでもらえるかな……。もう自分じゃ、分からなくなっちゃった……」
ラズリ:「あたしたちと、一緒にいこう。
そして、【火】の土地神として、グレンが守ろうとした──ううん、グレンが守ったこの世界を、守ろう。ね?」
カレン:「ごめんね……。わたし、分かってた……。でも……さみしかったの……」
ラズリ:「……大丈夫だよ。ずっと、あたしが傍にいるから」
カレン:「ホントに?」
ラズリ:「ホントに」
カレン:「絶対?」
ラズリ:「絶対」
カレン:「ホントに絶対?」
ラズリ:「ホントに絶対!」
カレン:(顔をうずめて)「ありがと……。ごめん……ごめんね……」
ラズリ:いよいよ、だね。
GM:ラズリは服を着替えてくれ。儀式用の衣装があるから。
ラズリ:へえ、そんなのがあるんだ。
ガルフ:スケスケか?
GM:ちゃうわい。神聖な『儀式』なんだぞ。──あ、それからクロヌシ、『十六夜』をラズリに渡しといてね。
クロヌシ:あ、ああ。──ついに俺の手を離れるときが来たか(笑)。
GM:──そろそろ時間だ。ニーナから準備OKの合図があるよ。
ガルフ:「それじゃ、始めますか。エネルギー、充填開始!」
クロヌシ:「冷却装置異状なし」
フローラ:「機関正常。エネルギー、3番から5番へ」
ガルフ:「エネルギー充填率、50、60、80、100……120(笑)」
クロヌシ:「照準、誤差修正完了」
ガルフ:「セーフティ解除」
一同:(目でうなずきあって)「ジャスティスキャノン、発射!!!」
大質量のビームが、『結界』を貫いた──
【竜】の『長』:「皆の者、時は満ちた! 今こそ狂った『儀式』を止め、『命の祭り』を行う時!」
全土地神:「おおおおおおおおおおおおおお……!!!」
