MOND REPLAYV

chapter01

[ANGEL NIGHT]

イシュタル編:1

ANGEL NIGHT

たぶん。
 すべての始まりは、あの夜だったんだろう。
 星がきれいで。
 でも 『月』 にはうっすらと雲がかかってて。
 まるで羽根を広げているように見えた、あの夜。
 そう。
 すべての始まりは、「天使の夜 (エンジェルナイト)」 から……




 3月のある日のこと。某鹿児島県の、とある場所にて――
 
 

GM(ゲームマスター):「さーて、今回から新シリーズだよ。舞台も南キャンバス大陸に移り、キャラクターも一新。新たな気持ちでがんばりましょー」

一同:「はーい」

プレイヤーB:「あれ、プレイヤーAは?」

GM:「ヤツはアメリカに行ってて、今回は不参加だよ。あとプレイヤーGは次回から登場予定」

プレイヤーB:「ふーん……」

GM:「さて、今回は新しい大陸なんで何も決まってない。まずはみんなでお金の単位を考えるのだ!」

プレイヤーD:「なんだそりゃ」

プレイヤーF:「えーと、お金の単位だよな……――『タラン』てのはどうだ?」

プレイヤーE:「1タラン、2タラン、ですか?」

プレイヤーD:「『1タラン、たらん』とかって言うのか? シャレにもならん」

GM:「でも今回のキャンペーンには丁度いいかもね。では『タラン』に決定!  では次に距離の――」

プレイヤーC:「もういいって。めんどくさいから『メートル』でいいよ」

プレイヤーF:「さて、それじゃ始めていいのかな?」

プレイヤーD:「なんでプレイヤーがGMやるんだよ(笑)」

プレイヤーF:「――さて、君たちは今、村の庄屋の家にいる(笑)」

プレイヤーC:「庄屋……?」

プレイヤーB:「それは世界が違うんじゃ……」

GM:「…………」

プレイヤーF:「そこへ悪代官の使いがやってきて――」

プレイヤーE:「……もう悪代官って分かってるの?」
 

 一同、爆笑。
 

プレイヤーF:「時代劇だぞ。悪代官って分かんない悪代官がいるか?(指で目をつりあげて)みんなこんな顔してるじゃねーか。声は太いし」

プレイヤーE:(はまったらしく、まだ笑ってる)

プレイヤーF:「さて代官、そろそろ始めましょうや」

GM:「オレが代官かい。じゃあ始めるよ。もちろん時代劇じゃなくてMONDの方ね」

プレイヤーF:「そりゃそうだ。そのまま時代劇でもいいけどさ」

GM:「えーと、前回から10年が過ぎたと思ってくれい」

プレイヤーB:「前回なんて知りませーん。今回から新キャラなんだから」

GM:「そうそう、さっきも言ったように大陸も移ったから、前のキャラクターのことはすっっぱり忘れちゃってください」

プレイヤーF:「だったら『前回』とかって言うなよ」

プレイヤーE:「まったく、そのとおり」

GM:「では、まずアルバスだけ自己紹介して」

プレイヤーF:「オレ? えーと、九州の海のそばにある某国立大学の薬学部に通う――」

プレイヤーE:「それはプレイヤーの自己紹介!(笑)」

プレイヤーD:「ツッコミ入れない方がおもしろかったのに〜」

プレイヤーC:「おもしろかったのに〜」

GM:「……だってさ」

プレイヤーE:「悪かったですね。こーゆー性格なんです」

プレイヤーF:「今度箱崎4丁目に引っ越すことになりました」

プレイヤーD:「まだ続けるか?」

プレイヤーF:「お、今度のツッコミは早かったな(笑)。ま、そーゆーことでよろしく」

GM:「よろしく、じゃないだろ」

プレイヤーF(以後アルバス):「やっぱり? ――えーと、名前はアルバス=ファルバティス。『白い朝顔』って意味だ。16歳。男。職業は一応封印士」

GM:「封印士とは、魔法を特別な銃(その名も魔法銃――そのまんま(笑))の弾丸やお札に封印することができる(もちろん封印した魔法を解呪することもできる)人たちのことっス」

アルバス:「父親が名の知れた封印士で、オレも強制的にその道にほうり込まれた。はっきり言ってイヤなんだけど、オヤジが強いから逆らえない。で、今は腕を磨くために修行の旅をしている。もちろんオヤジの命令だ」

GM:「GMからの補足設定。アルバスは、簡単には帰ってこれないように自分の故郷のことだけ『記憶封印』されている」

アルバス:「それって実はすごく大変なんじゃないか?」

GM:「そだね。――では、ぼちぼち話を始めることにしよう。まずはアルバスからね」

GM:「さて、君は今走っている。誰かに追われているのだ」

アルバス:「あ、そうなんだ」

GM:「んで、道が二手に分かれている。右と左、どっちに行く?」

アルバス:(あっさりと)「左」

プレイヤーD:「即断したな」

GM:「じゃ、右に――」

アルバス:「左だ。どーしても右に行ってほしいなら右に行ってもいいぞ」

GM:「ごめんごめん。左に曲がった。で、しばらく進んで右に曲がると――なんと袋小路! で、だんだん足音が近づいてくる」

プレイヤーB:「なんで追われてるんだろうね」

プレイヤーD:「なんとなくじゃないか?」

プレイヤーB:「分かった。下着盗んだんだ」

GM:(違うって)「足音がすぐそこまで迫ったとき、突然アルバスの足元が崩れる」

アルバス:「うを!? 転送空間か?」

GM:「違うよ。ただ崩れただけ」

アルバス:「ただの落とし穴かぁ!」

GM:「足元がふわっとする奇妙な落下感。そして――君は目を覚ます」

プレイヤーE:「ひょっとして夢オチ?」

GM:(うなずいて)「ベッドの上。どうやら宿屋の一室らしい」

アルバス:「ほう……」

GM:「と、どんどんどんと扉が叩かれて、『大変です! 隣の家が火事なんです! 早く逃げてください!』とゆー声が」

アルバス:「そいつは大変だな」

GM:「火事だよ」

アルバス:「火事だな」

プレイヤーD:「ぼーとしてないで何かしろよ」

アルバス:「そりゃ逃げるさ。あえて火の中に飛び込むほどオレはおろかじゃない」

GM:「んじゃ外。結構派手に燃えている。んで、消火作業が始まったり――」

アルバス:「ほう……」

GM:「バケツリレーが始まったり――」

アルバス:「大変だね」

一同:「何かしろよー!!」

アルバス:「やじ馬の一番前で傍観してる」

 GM:(しょーがないな……)「『兄ちゃん、手伝ってくれ!』と声をかけてくるおっさんが一人」

アルバス:「頼まれたなら仕方がない。手伝ってやろう」

GM:「しばらくバケツリレーが続く。――と、誰か手元がくるったらしく、アルバスにばしゃっと水がかかる。ずぶ濡れだよ」

アルバス:「あい、やー!」

GM:「――というところで目が覚める」

アルバス:「またかよ」

GM:「んで、なんか股の辺りに濡れた感触が――」

一同:(大爆笑)

アルバス:「16にもなってかぁー!(笑)くそ、こんなときに『物質封印』ができたら、封印して遠くに投げ捨てるのに」

プレイヤーB:「証拠隠滅するのね」

アルバス:「とりあえず、着替えないといけないな」
 

 アルバス、どこまでも冷静……。
 

アルバス:「ところで今どこにいるんだ?」

GM:「宿屋の一室だよ」

アルバス:「ならさっさとチェックアウトして逃げる」

GM:「で、部屋を出ようとしたとき――目が覚める。また、夢だったみたいだね」

アルバス:「はっきり言って……ほっとした(笑)」

GM:「そんなこんなで朝である。そして、アルバスの当てのない旅がまた始まるのだった――」

アルバス:「始まるのだった――って今の長い前振りはなんだったんだ?」

プレイヤーD:「GMの好きな伏線なんじゃないの?」

GM:「寝小便のとこが?」

アルバス:「そこが伏線なのか!(笑) ――まあいい。今はただの夢ってことにしておこう」
 

 実は伏線でもなんでもないんだな、これが(笑)。



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