プレイヤーB(以後リューセ):「リューセ=ネムネムです。16歳の女の子。趣味は寝ること。『なんておきまりな』って言われそうだけど……記憶喪失です」
GM:「GMからの補足設定。リューセのなくした記憶の手掛かりとして残っているのは、イルカをかたどったペンダント」
リューセ:「ペンダントね。これに一体どんな秘密が……」
GM:「――と、細かい細工がしてあるきれいな腕輪」
リューセ:「腕輪、ね」
GM:「――と、お湯につかると浮き出る奇妙な形のアザ」
リューセ:「どこに出るの?」
GM:「どこがいい?」
プレイヤーD:「おしり」
アルバス:「どうやって見つけたんだよ、それ。やっぱ胸だろ」
リューセ:「手の甲、がいいな」
プレイヤーC:「下腹部に鷲のマーク(笑)」
プレイヤーE:「内股、とか」
プレイヤーD:「おでこになぜか『肉』の文字が(笑)」
プレイヤーC:「『肉』もいいけど、『大往生』ってのはダメ?」
GM:「おしり、胸元、下腹部、おでこ、どれがいい?」
プレイヤーD:「いっそ全部ってのはダメ? 全身に模様が浮き出てくる」
リューセ:「どれもイヤー。やっぱり、手がいい」
GM:「と、言ってますがどうしましょう?」
一同:(きっぱりと)「ダメ」
リューセ:「じゃあ………胸元、でいい」
GM:「胸元ね。で、どんなのがいい? 決めていいよ」
プレイヤーD:「大往生」
アルバス:「JRがいいな」
プレイヤーC:「『輸血をしないでください』」
GM:「どんなアザだよ(笑)」
アルバス:「じゃあ明智光秀がいい!」
プレイヤーD:「JISマーク!」
話が脱線しまくったあげく、無難なところで六芒星に決定した。
GM:「湯につかると胸元に浮き出る六芒星のアザ、と――」
リューセ:「まだあるの?」
GM:「『リューセを頼む タナトス』という短い手紙。ぼろぼろになってる」
リューセ:「タナトスって嫌な名前だね。確か悪魔の名前だよ」
GM:「あと、赤い石がはめ込まれた指輪」
プレイヤーD:「やたらといっぱいあるな」
リューセ:(メモしながら)「全部で5つだね」
GM:「んで、リューセは今、宿屋を経営している老夫婦に育ててもらっている。ただ――宿は宿でもいかがわしい宿屋で……」
リューセ:「い・か・が・わ・し・い? それはちょっと……」
プレイヤーE:(ぽんと手をたたいて)「実は大きくなってから利用しようと思って育ててきたとか」
リューセ:「そ、そーゆーとこなの?」
アルバス:「早い話が売春宿だろ?」
GM:「いや、いかがわしいって言ってもラOホテルの方だよ」
プレイヤーD:「Oブホテルね」
プレイヤーC:「連れ込み宿だね。日本語で言うと(笑)」
GM:「また古い言い方を……(笑)。――じゃあ次」
プレイヤーD(以後ゼナ):「ゼナ=オーケンシールドです。12歳の男の子」
アルバス:「クロヌシったらそういう趣味まであったのか(笑)」
ゼナ:「クロヌシは関係ないでしょ。えと、趣味は機械いじりで……」
プレイヤーC:「いじるだけ(笑)。いじるだけで何の役にも立ちゃしない」
ゼナ:「そんなことないって。ま、機械全般に強いってことで」
GM:「GMからの補足設定。ゼナの父親は魔法アカデミーの理事長をしていて、結構お金に汚い。だからゼナはそんな父親を嫌って、魔法よりも機械を選んだ」
リューセ:「機械をどうこうできるほどの技術があるの?」
GM:「そのへんのことも含めて、世界設定は後でもう少し詳しく説明するから。 んじゃ次」
プレイヤーC(以後ユンケ・ガンバ):「「クックルックルーフのユンケ・ニンケ・ルンバとガンバ・ティンダ・ルンバ、だわさ」」
アルバス:「なんだ今のは。早口言葉か?」
ユンケ・ガンバ:「「クックルックルーフってのは種族名だよ。で、ユンケとガンバという双子」」
GM:「どっちが男でどっちが女だっけ?」
ユンケ・ガンバ:「「今はどっちでもないよ。あ、職業は戦士で、年齢は48歳」」
一同:「48ぃ!?」
GM:「年齢はあんまり気にしない方がいいよ。異種族なんだから」
ユンケ・ガンバ:「「生きる目的が、食う寝るお宝。で、旅の目的はお宝。好きな物はお宝」」
リューセ:「すごく分かりやすいね」
・クックルックルーフ→生態が昆虫類と酷似している種族で、「自由の民」とも呼ばれる。
外見は成人後も子供のようだが、寿命は人間の二倍から二.五倍ある。
集団で定住することはなく、成人後は大抵一人旅をして一生を過ごす。昆虫と話ができる。
すばやく器用。非力だがタフ。決してかしこくはないが記憶力はある。(←後に大いに変化)
ユンケ・ガンバ:「「で、今はゼナの家に住み着いている。お金持ちだから」」
GM:「なるほど。じゃ、最後」
プレイヤーE(以後サリース):「サリース=グレイウッド。人間の女で年齢は18歳。盗賊ギルドに所属してたんだけど、最近飛び出してバイトしてる」
リューセ:「プーなんだね」
サリース:「せめてフリーターって言ってよ。性格は、美少年をこよなく愛し、美少女をこの上なく愛で、かっこいいお兄さんを追いかけまわし、きれいなお姉さんにあの手この手でせまるという――」
GM:「人類の敵です」
サリース:「ちがーう!」
GM:「じじいはどうなの?」
サリース:「もちろん、ロマンスグレイのおじさまには熱を上げるし、きれいなマダムには声をかけるよ。○ゲ、デ○は論外。○ビはまあ、いいかな、顔がよければ。で、趣味は美少年の初物食い(笑)」
ゼナ:(後ろに下がりながら)「ボクはそういうの、興味ないからね」
GM:「GMからの補足設定。サリースは今、定食屋で配達のバイトをしている」
リューセ:「ウェイトレスじゃなくて配達なのね」
GM:「で、配達用のバイクを改造して(ゼナにしてもらって)いて、いつかこれでこの街を出て行ってやろうとたくらんでいる今日この頃」
サリース:「そ、そーなんだ……」
ゼナ:「ボクとサリースさんは知り合いなの?」
GM:「そうだね。君たち5人は同じ街に住んでいる。では次に、その街について説明することにしよう」
リューセ:「『船』ってなに?」
GM:「南キャンバス大陸にはちょっと変わった文明が発達している。『輝石』を用いた技術が独自の発展を遂げているのだ」
アルバス:「奇跡?」
GM:「『輝く石』と書いて『輝石』。文字通り淡い光を発する石で、特殊なエネルギーを生じる。ま、乾電池みたいなものかな。それからもう1つ、『物体を浮かせる』力がある」
リューセ:「便利な石だね」
GM:「で、この力を用いて造られたのが、陸の上を(浮いて)走る船、『ラントシフ』だ。そして、その船が通る大きな道が大陸を縦断していて、『マナ・ライ』と呼ばれている。イメージ、つかめる?」
サリース:「なんとなく、ね」
GM:「電気の代わりに『輝石』を使ってて、大陸のあちこちに『船』の通る道がある、ってこと。さすがに現代ほど文明は発達してないけどね。どのくらい発達しているのかはおいおい決めてくことにしよう」
サリース:「それはつまり何も考えてないってことね?」
GM:(無視して)「んで、イシュタルの街だ。リューセの宿屋とサリースの定食屋、ゼナの魔法アカデミーなんかは1つの通りにある。――てことで君たちが住んでるこの通りの名前を考えて(笑)」
リューセ:「紫陽花(あじさい)通りは、イヤ」
アルバス:「やっぱ『思い通り』だろ」
サリース:「さすがにセサミストリートは使い古されてるし……」
ゼナ:「じゃ、ササミストリート」
アルバス:「こーゆーとこで迷わない。すぱっと決めようぜ。てことで『ブーメランストリート』に決定!」
GM:「どういうストリートだよ」
アルバス:「一度入ったらぐるぐる回って出られない迷いの商店街(笑)」
ゼナ:「じゃあアベニュー通り。『通り』通りって意味だけど」
アルバス:「円楽商店街ってのはどうだ?」(←それは笑点)
ゼナ:「一発ショーテン街」
一同、大ウケ。
GM:「そりゃいかがわしい宿もあるけどさ……」
ユンケ・ガンバ:「「ヌ商店街」」
ゼナ:「一文字だけって……なんかヘン(笑)」
アルバス:「無難なところでウルトラ商店街!」
ユンケ・ガンバ:「「無難なとこだったらイシュタル商店街でいいじゃない」」
アルバス:「弁天街通り」
リューセ:「そんなにこだわらなくていいからさ、早く決めちゃおうよ」
ゼナ:「なんかこういうところでとどこおるって、いいですね(笑)」
サリース:「じゃあ別の女神の名前を持ってきて、『イシス通り』ってのは?」
アルバス:「イシスはオレの妹の名前だ」(←アルバスの妹はイシスではなくイリスである)
この辺から話が脱線しはじめる。
アルバス:「女神だったら弁天でいいじゃないか」
GM:「和名にこだわるね。だったら『定食屋弁天』とか『お食事処弁天』とかでいいじゃない」
サリース:「それは私がいるとこだね」
GM:「リューセの宿屋の名前は?」
アルバス:「ホテルだろ。だったら『ホテルベルサイユ』(笑)」
ユンケ:「『農協』ってのは?」
サリース:「なに、それ?(笑)」
ユンケ・ガンバ:「「実際あるよ。『満室・空室』のところが『豊作・不作』になってるの」」
アルバス:「豊作ってのはいいな」
ゼナ:「『ホテル・ホールインワン』……」
サリース:「やばいよ、それ」
一同:「なかなか決まらないなぁ……」
リューセ:「決めなくていいよぉ。話、進めよ」
通りの名前がうやむやのうちに「イシス通り」になったことを、付け加えておく……。