サリース:「やーっと追いついた」
ゼナ:「サリースさん、所々焦げてる(笑)」
アルバス:「で、誰かついて来てくれないのか?」
サリース:(怪しく目を輝かせながら)「あたしでよければ御一緒するけど?」
アルバス:「……分かった。お前らの目的を果たしてからでいい……。オレはそれには協力する」
リューセ:「それはいい考えですぅ」
アルバス:「だが間違えるな。オレは外に出たいからお前らに協力するのであって、仲間になるとかそんなつもりは毛頭ないからな」
ゼナ:「好きにすればいいよ。その代わり邪魔はしないでよ」
アルバス:「お互いにな」
ユンケ・ガンバ:(すっとカードを差し出す)
アルバス:「いらん」
ユンケ・ガンバ:「「じゃあスプーン?」」(小首をかしげる)
アルバス:「残念だがそれもいらない」
ゼナ:「さ、行きましょう」
16階――
GM:「16階は事務室(その2)とスタッフルーム、倉庫、食堂」
ゼナ:「スタッフって?」
GM:「魔法の学校だからね。道具を用意したりエリクサの材料を運んだり――ま、雑用係だね」
リューセ:「全部で何階建てなんでしょう?」
GM:「17階だ。で、最上階が理事長室ね。ゼナはもちろんこのことは知っている」
ゼナ:「明かりは?」
GM:「ついてないよ」
ゼナ:「じゃあ最上階に行きましょう。――気をつけて。次は父さんの部屋だから」
リューセ:「また階段に罠があるのかな。ナマズが降ってくるとか(笑)」
アルバス:「ウナギとかな」
サリース:「罠がないか調べながら上りましょ」
ゼナ:(コロコロ)「ファンブル〜!」
アルバス:(コロコロ)「ファンブル〜!」
リューセ:「君たち本領発揮しすぎっ!」
サリース:「あたしは成功してるけど……」
GM:「じゃあこうしよう。サリが一番上まで上ったとき、後ろにいたアルバスとゼナの上からナマズとウナギが降ってくる(笑)」
リューセ:「ホントに降ってくるしぃ」
GM:「で、サリース以外がずるずるずると下まで滑り落ちた後、今度は階段ががたんと傾く」
ゼナ:「ドリフだぁ〜!」
サリース:「あたしまで滑り落ちちゃったじゃないぃぃぃ」
アルバス:「何やってんだかな……」
サリース:「あんたが悪いんでしょ! ファンブルなんかするから!」
ユンケ・ガンバ:「「それじゃ、とりあえずナマズをパンツの中に……」」
一同:「入れるなぁ!」
その後、何とか階段を上りきり、理事長室の前へ。
リューセ:「恐ろしい罠だったわ……。でも、それにもめげずにここまで上ってきましたぁ」
GM:「さて理事長室の前。扉がほんの少しだけ開いていて、わずかに光がもれている。どうやら奥の方だけ明かりがついてるみたいだね。あとかすかに猫の鳴き声がする」
リューセ:「いけー!」
ゼナ:「いや、いけーって言われても……。こっそり入った方がいいんじゃ……」
アルバス:「どかどかどか」
ゼナ:「あああ、ちょっとみなさん」
GM:「ホントに突撃するの?」
アルバス:「何言ってんだ。こういうとき静かに行動するのは基本中の基本だろ?」
ゼナ:「ボクの耳が確かならさっきあなたが――」
アルバス:「それはお前の耳が悪い! ――で、どうする?」
サリース:「こっそり覗いてみる」
GM:「なら『心』か『技』の攻撃値で判定してみて」
サリース:(コロコロ)「成功!」
リューセ:(コロコロ)「ファンブル〜!」
ぎいいいいいいい……
サリース:「リューセのバカ! こうなったらあんたにも3日3晩付き合ってもらうわよ!」
ゼナ:「なんか……サリースさんすごく楽しそう……」
GM:「扉開いちゃったよ」
ユンケ・ガンバ:(びしっと指差して)「「さあ観念するだわさ!」」
アルバス:「お前、誰に向かって言ってんだ?」
ユンケ・ガンバ:「「とりあえず言ってみただけ」」
ゼナ:「中の様子は?」
GM:「部屋の奥の方。机の上の明かりだけ灯されていて、そこに男が座っている。退屈そうに右手でコインを弄んでいるその男は――ゼナのお父さん、ゼナパパ(仮)だ」
ゼナ:「と……父さん……」
GM/ゼナパパ:「『ゼナ――何の用だ?』」
ゼナ:「父さん……そのコインは……?」
ユンケ・ガンバ:(手をのばして)「「ちょうだいちょうだい」」
リューセ:「なに? どういうこと? ランディは? コインって……え……?」(脳みそプー)
ゼナ:「そのコインを……一体どうして……?」
GM/ゼナパパ:「『ある知人からもらいうけた』――そう言えば分かるかな?」
リューセ:「ん……ああ………はいはい(やっと理解した)。ゼナのお父さんがランディからコインをもらったのね。やっとつながった……」
GM/ゼナパパ:「『で――何の用だ? 用がないなら帰れ!』」
リューセ:「あの〜そのコイン、欲しいんですけど……」
GM/ゼナパパ:「『これはわが教団にとって大事な物だ。そう簡単に渡せる物ではない。大体なぜお前たちに渡さねばならんのだ?』」
リューセ:(1アマール硬貨を取り出して)「じゃあこれと交換してください」
GM/ゼナパパ:「『ふざけているのか? このコインの本当の価値も知らぬくせに。……ふふふ、やっと手に入れたぞ。ふふふ。ふふふふふ。はーっはっはっはっは!』」
GM:「――と笑った拍子に手からぽろっとコインが落ちて、ころころころ……」
GM/ゼナパパ:「『ぬ………?』」
ユンケ・ガンバ:「「飛びつくだわさー!」」
GM:「ゼナパパもあわてて拾おうとするよ」
サリース:「カードを投げて牽制!」
GM:「そのとき! 猫がコインをぱくっとくわえて、ふにゃにゃ〜と逃げていく(笑)」
一同:「あああああ!」
下の階へ逃げた猫を追って、アルバス、リューセ、ユンケにガンバが大爆走! ゼナパパ、ゼナ、サリースは理事長室に残った。
リューセ:「猫待て〜!」
GM:「さっき通ったところだから、判定にプラス20の修正をあげるよ」
アルバス:(コロコロ〜)「ファンブルぅぅぅ!(爆笑)」
どんがらがっしゃーん! ぼとぼとぼとっ!
リューセ:「いやー! ナマズがー! ウナギがー!(泣き笑い)」
ゼナ:「父さん、あのコインは誰からもらったの? 教団って何のこと? 父さんは一体何をしているの?」
GM/ゼナパパ:「『フッ、お前には関係のないことだ……』」
ゼナ:「答えてよ! 父さん!」
GM/ゼナパパ:「『……あのコインは──大いなる遺産を解放するための鍵だ……』」
ゼナ:「大いなる……遺産……?」
GM/ゼナパパ:(すっと立ち上がって)「『では――私も猫の後を追うことにしよう』」
すてててててっと駆けてくゼナパパ。
ゼナ:「ち、ちょっと待ってよ! 父さーん!」
てことで全員がネコチェイスモードに突入!
ゼナ:「やっぱり父さんも階段ですべるかどうか判定するのかな?(笑)」
GM:「んじゃ目標値30で判定することにしよう」
リューセ:「オープンダイス (プレイヤーたちに出た目が見えるようにサイコロを振ること。ズルができない) で振ってね」
GM:(コロコロ)「28! 見たか親父の底力!」
一同:(拍手)
GM:「で、踊り場の壁にごん!(笑)」
リューセ:「楽しいお父さんだねえ」
GM:「猫は食堂に逃げ込んだみたいだよ」
ユンケを先頭に、一行は食堂の中へ。しばらく暗闇の中で大騒ぎになる。
GM/猫:「『ふにゃにゃにゃにゃにゃぁぁぁ!』」
ユンケ:(負けずに)「ふにゃにゃにゃにゃにゃぁぁぁ!」
リューセ:「真っ暗で何も見えない」
ユンケ・ガンバ:「「虫には関係ないー!」」
GM:「電気つけなよ、電気」
サリース:「スイッチは――あった!」
GM:「ぱぱっと電気が灯る。猫は――奥から2番目のテーブルの上にいるぞ」
リューセ:「飛び道具飛び道具。誰か何か撃って」
サリース:「カード投げる?」
リューセ:「アルバスは?」
アルバス:「オレも働かないといけないのか? ――じゃあ『スリープ』を魔法銃で撃とう。猫を撃ち殺すのは忍びないからな」(←ナイフで腹を刺したり死体を踏んづけたりするヤツのセリフとは思えん)
リューセ:「うん、それがいいよ」
アルバス:(コロコロ)「珍しく成功してる。猫は眠ったぞ」
サリース:「やった、これでコインを──」
GM:「くわえてないよ」
サリース:「へ?」
GM:「食堂のどっかに落としたみたい」
アルバス:「尋問しろ尋問〜!」
リューセ:「猫に尋問してどうするんです? 探すしかないですねぇ」
GM:「皿が割れてたりナベがひっくり返ってたり結構ヒドイ有り様だよ」
サリース:「ねえアルバス、1タランで『魔力感知』してくれない?」
アルバス:「オレは金で雇われたのか?」
サリース:「そーゆーわけじゃないけど……それが一番手っ取り早いと思って。それとも身体で払おうか?」
GM:「そのとき猫を逆さにして振ってたゼナパパが声を上げる。『何か出てきたぞ。こっ、これは――!』」
一同:「―――!!」(緊張が走る)
GM/ゼナパパ:「『1アマール硬貨……』」
一同:「だあああ……」
GM/ゼナパパ:「『これは私のコインではない……』」(ぽいっと放り投げる)
ユンケ・ガンバ:「「拾うだわさ〜!」」
アルバス:「で、なんだ。『魔力感知』しろって?」
リューセ:「うん。それ使えば、魔法のかかった品がきゅぴーんって光って見えるから」
アルバス:「分かったよ。『魔力感知』するぞ」
リューセ:「この魔法って、アルバスにしか光って見えないんだよね」
ゼナ:「あ、そうなんだ……」
GM:「ひっくり返った野菜の山の中に光る物が……」
アルバス:(野菜の中からコインを拾う)
サリース:「……あったの?」
アルバス:(ぴーんと指ではじいて)「ああ、これだろ?」
宙に舞ったコインが光をはじき、キラリと輝いた――