アルバス:次はパラスアテナか。
ゼナ:軍人さんのとこですね。
G−X:みんな一カ所に集まったりしてないのか。『鉄の棺桶』の上の方とか。
GM:集まってるだろうね。
G−X:なら、そこに『船』を降ろせばいいな。
アルバス:「兵士たちなら統制がとれてるだろう。誘導とか頼もうか」
G−X:「そうだな」
軍事都市パラスアテナ──
中途半端な誇りや強さは、残酷なものなのだろうか。
自分が最強だと信じ、いくら傷を負っても倒れないもの。
弱さを蔑み、弱き者を淘汰していくもの。
兵器を振り回し、ただただ殺戮を繰り返すもの。
彼らは気づかない。
それらは全て、心の奥にある密かな恐れからきていることに。
もちろん、傷ついた者を助け、『船』まで運んでくるものもいた。
街の人々を誘導し、『鉄の棺桶』内の安全な場所へ集めたものもいた。
もちろん、この4人も……
「“気をつけよう。暗い夜道と曲がり角”のルガー!」
「“こんにちは。笑顔がつくるボクの町”のツェンカー!」
「“飛び出すな。車は急に止まれない”のバイン!」
「“赤信号、みんなで渡ればこわくない”のマーゴ!」
「4人そろって、『標語衆』!!!」
「……いいからさっさといけ」
アルバスの蹴りが、容赦なく4人を襲った。
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サリースは、危機に陥っていた。
ちょっとしたスキをつかれ、後ろから首を絞め上げられたのだ。
「貴様……よくもよくもよくもヨクモ誇り高き私をコケにしてくれたな……」
『鉄の棺桶』に入れられたとき、サリースが散々な目に合わせた軍人だった。
ずっと……サリースに復讐できるチャンスを待っていたのだ。
「こ……の……あんま……しつこいと……」
サリースは息苦しさでかすむ意識を何とか奮い立たせ、腰にあるナイフを逆手に抜いた。
「もてないわよ!」
そのまま、思い切り軍人の脇腹に突き刺す。
「ぐあぉ!」
たまらず手を離したところで、サリースは間髪入れずナイフを更に男の胸深くにうずめた。
刃物が肉にめり込む感触。
熱い液体が、飛び散る。
「このくらい……あたしには何でもないことなんだから……」
言葉とは裏腹に、サリースの手はいつまでも細かく震えていた。
epilogue:07[栄光<ホッド>/アガートラーム]
アルバス:「人でいっぱいになってきたな……。あと、いくつだ?」
ゼナ:「アガートラーム、イルダーナ、イシュタル、それからモト……まだ半分近く残ってますね」
アルバス:「このままじゃ、ヤバイかもしれんな……」
商業都市アガートラーム──
「予想通りだな……」
黄金の都と化した街を見て、シェオールはため息をついた。
分かりやすいと言えば、あまりにも分かりやすい欲望──全てを、黄金に変える力。
文字通り金の亡者となった人々は、黙々と下水道に金をためこんでいた。
他人の金を奪い、腹に入れ、そのままズルズルと運んでいくぶよぶよした生き物たち。
その一方で、損得勘定なしに助け合う人々もいた。
「困っとる人、ほっとくワケにいかへんやろ」
瓦礫の中に埋まった子供をトパーズと一緒に掘り起こしていたおじさんは、金歯だらけの歯を出して笑ってみせた。
「そうですよね……。ホント、そうだ……」
トパーズは、自分の背丈ほどもあるコンクリートの塊に手を当て、力をこめた。
案の定、ピクリとも動かない。
「あたしも、手伝います!」
リルルがトパーズの更に下から押すが、結果は一緒だ。
と──急に手ごたえがなくなった。原因は……ひとつしかない。
「ありがと、ゴーヴァ」
「ギ、ガ……!」
頼もしい助っ人は、コンクリートの塊を軽々と持ち上げると、チカチカと目を点滅させた。
epilogue:08[基礎<イェソド>/イルダーナ]
アルバス:イルダーナは、どんな様子なんだ?
GM:イルダーナは、温厚な人たちが多かったため被害はそこまでひどくない。むしろ、みんな協力しあってるかんじだ。
トパーズ:だったら、ここは大丈夫かな?
GM:いや、一部の若い連中が「酒の勢い」とかでモノを奪ったり女性を襲ったりしてる。
サリース:なんちゅーことを(笑)。
GM:お酒のせいで理性がすこーんと飛んだんだろうね。これもまた、『願い』が暴走した姿では、ある。
アルバス:なら……逆にそういうヤツらを排除していった方が早そうだな。
GM:排除……ですか。
アルバス:ああ。
GM:(それも……つらい選択だよな……)
産業都市イルダーナ──
「さ、いくぞ」
「ちょっと待ってくれ。ゼナやリルル、トパーズたちはおいていこう。……教育上あまりよろしくなさそうだからな。俺、ゴーヴァ、それから……女性をフォローしないといけないからマフィ……」
「わたし、子供だからムリ〜」
「(小声で)ウソつけ……。……分かった、サリース頼む」
「あの……おらは?」
「レイプの現場なんて、お前には刺激強すぎるだろ。──アイツらの相手でもしてたらどうだ?」
シェオールが指差した先には、懐かしい五人組──『ことわざ四天王withT』が立っていた。
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「で……」
「おらたち、なんで『四天王』たちとこんなことしてるだ……?」
「いいではないか。我々も……少しは役に立ちたい」
「案外、精神力強かったんだな」
「お前たちに敗れてから、特訓したからな」
「一時期は11人まで増えたのよ」
「……どこが四天王なんですか……?」
無駄話をしつつ、『船』に殺到してくる人々を押さえる。
どこの街でもそうだった。
自分だけは助かろうと、他人を踏みにじり少ない席を奪い合う。
そこから起こる争いを収めるのもまた、アルバスたちの役割だった。
人々の選別。淘汰。
少しずつ感覚がマヒしていき、頭の片隅が氷のように冷静になっていく自分に恐怖する……
そしてまた、『船』が空に舞う──乗り切れなかった人々を蜘蛛の糸のように垂らしながら。


