MOND REPLAYV


epilogue:06[ネッツァッフ<勝利>/パラスアテナ]

アルバス:次はパラスアテナか。

ゼナ:軍人さんのとこですね。

G−X:みんな一カ所に集まったりしてないのか。『鉄の棺桶』の上の方とか。

GM:集まってるだろうね。

G−X:なら、そこに『船』を降ろせばいいな。

アルバス:「兵士たちなら統制がとれてるだろう。誘導とか頼もうか」

G−X:「そうだな」
 

 軍事都市パラスアテナ──

 中途半端な誇りや強さは、残酷なものなのだろうか。

 自分が最強だと信じ、いくら傷を負っても倒れないもの。

 弱さを蔑み、弱き者を淘汰していくもの。

 兵器を振り回し、ただただ殺戮を繰り返すもの。

 彼らは気づかない。

 それらは全て、心の奥にある密かな恐れからきていることに。

 もちろん、傷ついた者を助け、『船』まで運んでくるものもいた。

 街の人々を誘導し、『鉄の棺桶』内の安全な場所へ集めたものもいた。

 もちろん、この4人も……

「“気をつけよう。暗い夜道と曲がり角”のルガー!」

「“こんにちは。笑顔がつくるボクの町”のツェンカー!」

「“飛び出すな。車は急に止まれない”のバイン!」

「“赤信号、みんなで渡ればこわくない”のマーゴ!」

「4人そろって、『標語衆』!!!」

「……いいからさっさといけ」

 アルバスの蹴りが、容赦なく4人を襲った。

 サリースは、危機に陥っていた。

 ちょっとしたスキをつかれ、後ろから首を絞め上げられたのだ。

「貴様……よくもよくもよくもヨクモ誇り高き私をコケにしてくれたな……」

 『鉄の棺桶』に入れられたとき、サリースが散々な目に合わせた軍人だった。

 ずっと……サリースに復讐できるチャンスを待っていたのだ。

「こ……の……あんま……しつこいと……」

 サリースは息苦しさでかすむ意識を何とか奮い立たせ、腰にあるナイフを逆手に抜いた。

「もてないわよ!」

 そのまま、思い切り軍人の脇腹に突き刺す。

「ぐあぉ!」

 たまらず手を離したところで、サリースは間髪入れずナイフを更に男の胸深くにうずめた。

 刃物が肉にめり込む感触。

 熱い液体が、飛び散る。

「このくらい……あたしには何でもないことなんだから……」

 言葉とは裏腹に、サリースの手はいつまでも細かく震えていた。
 
 

epilogue:07[栄光<ホッド>/アガートラーム]

アルバス:「人でいっぱいになってきたな……。あと、いくつだ?」

ゼナ:「アガートラーム、イルダーナ、イシュタル、それからモト……まだ半分近く残ってますね」

アルバス:「このままじゃ、ヤバイかもしれんな……」
 

 商業都市アガートラーム──

「予想通りだな……」

 黄金の都と化した街を見て、シェオールはため息をついた。

 分かりやすいと言えば、あまりにも分かりやすい欲望──全てを、黄金に変える力。

 文字通り金の亡者となった人々は、黙々と下水道に金をためこんでいた。

 他人の金を奪い、腹に入れ、そのままズルズルと運んでいくぶよぶよした生き物たち。

 その一方で、損得勘定なしに助け合う人々もいた。

「困っとる人、ほっとくワケにいかへんやろ」

 瓦礫の中に埋まった子供をトパーズと一緒に掘り起こしていたおじさんは、金歯だらけの歯を出して笑ってみせた。

「そうですよね……。ホント、そうだ……」

 トパーズは、自分の背丈ほどもあるコンクリートの塊に手を当て、力をこめた。

 案の定、ピクリとも動かない。

「あたしも、手伝います!」

 リルルがトパーズの更に下から押すが、結果は一緒だ。

 と──急に手ごたえがなくなった。原因は……ひとつしかない。

「ありがと、ゴーヴァ」

「ギ、ガ……!」

 頼もしい助っ人は、コンクリートの塊を軽々と持ち上げると、チカチカと目を点滅させた。
 
 

epilogue:08[基礎<イェソド>/イルダーナ]

アルバス:イルダーナは、どんな様子なんだ?

GM:イルダーナは、温厚な人たちが多かったため被害はそこまでひどくない。むしろ、みんな協力しあってるかんじだ。

トパーズ:だったら、ここは大丈夫かな?

GM:いや、一部の若い連中が「酒の勢い」とかでモノを奪ったり女性を襲ったりしてる。

サリース:なんちゅーことを(笑)。

GM:お酒のせいで理性がすこーんと飛んだんだろうね。これもまた、『願い』が暴走した姿では、ある。

アルバス:なら……逆にそういうヤツらを排除していった方が早そうだな。

GM:排除……ですか。

アルバス:ああ。

GM:(それも……つらい選択だよな……)
 

 産業都市イルダーナ──

「さ、いくぞ」

「ちょっと待ってくれ。ゼナやリルル、トパーズたちはおいていこう。……教育上あまりよろしくなさそうだからな。俺、ゴーヴァ、それから……女性をフォローしないといけないからマフィ……」

「わたし、子供だからムリ〜」

「(小声で)ウソつけ……。……分かった、サリース頼む」

「あの……おらは?」

「レイプの現場なんて、お前には刺激強すぎるだろ。──アイツらの相手でもしてたらどうだ?」

 シェオールが指差した先には、懐かしい五人組──『ことわざ四天王withT』が立っていた。

「で……」

「おらたち、なんで『四天王』たちとこんなことしてるだ……?」

「いいではないか。我々も……少しは役に立ちたい」

「案外、精神力強かったんだな」

「お前たちに敗れてから、特訓したからな」

「一時期は11人まで増えたのよ」

「……どこが四天王なんですか……?」

 無駄話をしつつ、『船』に殺到してくる人々を押さえる。

 どこの街でもそうだった。

 自分だけは助かろうと、他人を踏みにじり少ない席を奪い合う。

 そこから起こる争いを収めるのもまた、アルバスたちの役割だった。

 人々の選別。淘汰。

 少しずつ感覚がマヒしていき、頭の片隅が氷のように冷静になっていく自分に恐怖する……
 

 そしてまた、『船』が空に舞う──乗り切れなかった人々を蜘蛛の糸のように垂らしながら。



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