この光の庭で
生まれて生きるものは
すべて
見えない 手と手を
つないでる
ひとつひとつ
宿る 約束
ひとつひとつに
宿る 約束
MNN Presents
【MOND REPLAY 完結篇】
OP.2[光の庭で]
-Jouney to the truth-
しあわせって何だろう
ボクはいま、たぶんしあわせだ
父さんとはまだちょっとギクシャクしてるし
リルルとのことも、思うように先にすすめないでいる
でもたぶん……ボクはいましあわせだ
……だが。
そのしあわせは、長くは続かなかった。
がらがらがら!(引き戸を開ける音)
「いくぞ、ゼナ」
南キャンバス大陸が謎の光に覆われ、人々が『異形』に変化した怪現象から5年。
イシュタルの街も徐々に復興し、ゲオルグ=オーケンシールドによる魔法アカデミーも再建されていた。
ゼナ=オーケンシールドは17歳になり、今は父と妹、そしてリルル=フィランジェリと一緒に暮らしている。
そんな、ある日の午後だった──アルバス=ファルバティスが、突然やってきたのは。
アルバス=ファルバティス:(突然)「いくぞ、ゼナ」
ゼナ=オーケンシールド:「え? ……え? ……アルバスさん……?」(呆然)
アルバス:(何の説明もなく)「そろそろいこうと思うんだが、いいか?」
ゼナ:「え、それはいいですけど……って、え? どこへ? ってゆーか、何でここに?」(事態を把握してない)
プレイヤーP:第三部の最後からどのくらい経っている?
GM:5年以上、かな。
アルバス:そんなにか。それだったらさすがに飽きてるだろう。
プレイヤーP:え?
アルバス:いや、オレが。オレが、アールマティで町長やるのが。──もう復興しててもいいだろう。
GM:ビックリしたー。てっきりゼナとリルルがお互いを飽きてるのかと。
アルバス:ゼナとリルルは3日で飽きる(断言)。
ゼナ:ちょっとちょっと。
アルバス:「さ、いくぞ」
ゼナ:「はい、あ、いや、どこへ?」
アルバス:「リューセのところだ」
ゼナ:「リューセさんが、どうかしたんですか?」
アルバス:「約束があるんだ。そのうち迎えにいくって」
ゼナ:「今から……?」
アルバス:「今だ。5分で支度しろ」
ゼナ:「仕方ないですねー……。(ふと我に返って)……ちょっと待ってくださいよ、ホントに今からいくんですか?」
アルバス:「今、だ」
プレイヤーP:リルルはお留守番?
アルバス:当たり前だ。病み上がりの人(ただし5年前)を連れ回すワケにいかんだろう。
プレイヤーC:妊娠中だし。
プレイヤーP:……妊娠?
ゼナ:してないですよ! ──まだ。
プレイヤーP:まだ、かよ。今いくつだっけ。
GM:17、8。
プレイヤーP:それでまだなのかー?
アルバス:やることはやってるんだろ。
GM:父も妹もいるし、なかなかチャンスがないんじゃ。
プレイヤーB:でも、5年もあれば、たまには家族が誰もいないときだって……。
GM:父と妹のコンビネーションで、どちらかはいつも家にいる。
プレイヤーB:イヤすぎる……。
プレイヤーP:妹か。5年もあれば父親ともちょっとは歩み寄れてるだろうし、妹とのいさかいも……。
ゼナ:もともとゼナツーと対立してたのは、父さんのことがあったからだから。
アルバス:父亡き今となっては。
ゼナ:死んでません。
アルバス:え、でも話の流れ的に今のはそうだろ?
一同:(うんうんとうなずく)
プレイヤーC:妹は未だにゼナツーと呼ばれているの?
GM:何か本名があるはずなんだけどなー。
プレイヤーC:でも誰も呼んでくれないんだ。
アルバス:ゼナの妹だろ。──レナ。
ゼナ:単純……。
プレイヤーC:ヒナ。
ゼナ:ひな……?
プレイヤーC:是か非かの、ヒ。
一同大笑い。
アルバス:非の方はイヤだなー。
プレイヤーB:でもヒナってかわいいかも。
てことで、ゼナツーの本名はヒナに決定。
それはさておき……
ゼナ:あー……。──じゃあ、準備してきますから、待っててください(自分の部屋へ走っていく)。
アルバス:(イスにふんぞり返って)「リルル、茶」
リルル:(奥から出てきて)「あ、いらっしゃい。今用意しますね」
プレイヤーP:家事とかって全部ゼナがやってそうだけど。
GM:お客さんにお茶ぐらいは出すよー。……普段はしないけど(笑)。
プレイヤーC:それにしても……病弱であんなに細かったリルルも、すっかり元気になり──
アルバス:押しも押されぬ母となり。
ゼナ:なってないです!
プレイヤーP:ゼナより体重があったり。
ゼナ:ありません!
プレイヤーC:身長が2メートルぐらいあるだけだよ。
GM:女ゴーヴァ。
ゼナ:ちーがーうー。そりゃ、ゴーヴァのことも愛してるけど。
アルバス:いいからお前はさっさと準備しろ。
リルル:(コーヒーを4つ持ってきて)「で、そちらの方は?」
リルルの視線がアルバスの後ろに──ふよふよと浮いている、銀髪の少女に向けられる。前髪が一房だけ赤い。瞳も服も、深紅だった。
その少女に目を向けることもなく──アルバスは答えた。
アルバス:「知らん」