アルバス:二日酔いだ。味噌汁味噌汁。
ゼナ:それと、薄ーいお粥ですね。
ヴァンダイク:その姿をじーっと見ていよう。
ゼナ:い、今どのへんなんですか?
GM:もうすぐアールマティの近く。
アルバス:……どうしてオレ、元いた場所に戻っていってるんだ……?
GM:……それ、最初にこっちが聞いた気が……。
アルバス:(地図を見て)……あ、これ南北が逆か。すっかり忘れてた。
ヴァンダイク:5年前の旅の記憶はないのか。
ゼナ:アルバスさーん、それじゃビオと同レベルですよー。
アリア:……5年前と、パーティの力関係が変わってきてる気がする……。
ゼナ:アルバスさんの扱いに慣れてきたのかな(笑)。
GM:──さて、二日酔いの頭に響くようなけたたましい音が、ブンチャーブンチャーと聞こえてくる。
ゼナ:ブンチャー……?
GM:君らの『船』とは対向『船』線──つまり前から近づいてくる、趣味の悪いペイントをした『船』から、その音は聞こえてくる。
アルバス:カーステレオ(?)の音か? 迷惑な。
GM:で、趣味の悪い『船』は、近くを走っていた『船』に向かってドーンと発砲、ボーンと爆発。
一同:………………。
アリア:「あれは、この世界では放っておいていいことなんですか? 止めるべきではないんですか?」
アルバス:「放っておけ。あんなのと関わっている時間がもったいない」
アリア:「でも……」
プレイヤーP:いざとなればアリアとヴァンダイクは飛んで逃げられるだろうし。
アリア:そういう問題じゃなくて……。
ゼナ:暴走族みたいなもんですか?
GM:ゼナは知ってるかな。最近ニュースなんかでもたまに見かける、新手の宗教団体だ。その名も『デスハイカー』という、俳句好きの集まり。
一同、苦笑い。
プレイヤーP:ま、ことわざ教よりはマシか。
GM:何を言う。
アリア:暴走族と俳句と何の関係が……。その人たちの活動って、俳句の会を開いたりするんじゃないの?
GM:ゲリラ的にそういうことをしているらしいという話も聞くね。で、教祖が「アタシが神よー!」と一句詠んだりする。
アルバス:今のは五七五になっていないぞ。
GM:ぬ。
ゼナ:教祖って、女の人なんだ。
アルバス:オカマかもしれんぞ。
GM:テレビで見る限り、若い女性だけどね。
ゼナ:で、このままだとその『船』とすれ違うんですよね? なるべく距離が開くようにエスペルプレーナ3を端に寄せて走ります。
アルバス:なんであんなヤツらに道を譲る必要がある。譲る必要などない。
ゼナ:いや、いざこざに巻き込まれるよりはマシじゃないですか。
アルバス:やだ。
ゼナ:舵を切ります(笑)。
アリア:ゼナ……強くなったね。
ゼナ:ふふふ。
GM:んじゃ、デスハイカーの『船』とすれ違おうとしたとき──ボン、とデスハイカーの『船』から黒煙が上がる。
プレイヤーP:なに? 攻撃された?
ゼナ:いえ、向こうの『船』です!
GM:んで、ドーンと爆発炎上。
一同:………………。
ヴァンダイク:いやいやいや、こちらもなかなか派手ですなぁ。
アリア:……大丈夫なんですか?
ゼナ:どう見ても大丈夫じゃないと思います。
アルバス:何を言ってる。(オレたちの『船』は)大丈夫じゃないか。破片が降ってきても、バリアではじくし。
アリア:いや、そうじゃなくて……。
ゼナ:「カリストパラス、状況を」
カリストパラス:『5分45秒後に警察および救急隊が到着します』
アルバス:「よし、いくぞ」
ゼナ:「でも、目の前で爆発したんですから……」
ヴァンダイク:「攻撃していて、爆発したのでしょう? 事故ですよ、事故」
アルバス:「そうそう、自業自得だ」
ゼナ:「怪我人がいるなら、なるべく早く──」
アルバス:「大丈夫だ」
ゼナ:「大丈夫って、何を根拠に(笑)」
アルバス:「根拠も何も、こっちに被害はない。そうだな、カリストパラス」
カリストパラス:『はい』
ゼナ:「あー、もう。そうじゃなくて……──ん?」
モニターに目を向けていたゼナが、突然沈黙した。黒煙の中を凝視している。
ゼナ:「誰か……います」
黒いマントを着た人影が、ゆらりと身体を起こした。その顔には、白い仮面。
アルバス:「そりゃ、誰かいるだろう」
ゼナ:「テレビで見たデスハイカーたちとは……違うかんじです」
黒いマントは全部で3人。そして……若い男がひとり。
軽量の、動きやすそうな銀の胸当て、ぼさぼさの、茶色い髪。そして──その瞳が翡翠色であることが、遠くからでも分かった。
ゼナ:(あの瞳……あのかんじ……どこかで……)「気をつけて、カリストパラス。あの『船』は襲撃されたのかもしれない」
カリストパラス:『了解しました』
アルバス:「それならなおさら、さっさといくぞ。心配するな、すぐに警察が来る」
ゼナ:「なら、警察が来るまでは待ちましょうよ……」
アルバス:「えええ〜」(←ご不満)
ゼナ:「いいじゃないですか、5分ぐらい」
アルバス:「このへん、アールマティの管轄だろ? 自分で整備しておいてなんだが(←町長だった)、ここの警察はきっちりしてるんだ」
ゼナ:「いいことじゃないですか(笑)」
アルバス:「だから、いろいろ聞かれたりしたら面倒なんだよ」
プレイヤーP:アンタの肩書きなら、素通りできるんでないかい?
アルバス:そんな権力が通じないのが、真の民主主義だろう。
アリア:デスハイカーの人たちはどうしてるの?
ゼナ:あと、その怪しい4人組。
GM:デスハイカーの信者たちは、炎上する『船』からよろよろと出てきている。火傷をしたり怪我したりの人たちもいるみたいだ。4人組は、そんな彼らを『船』の上からじっと見下ろしている。
ヴァンダイク:そして炎に包まれて燃え尽きる。
GM:尽きない尽きない。プレイヤーには分かるけど、ガルフと『仮面のもの』たちだから。
プレイヤーP:こんなところまで来ておったか。
GM:で、デスハイカーの信者たちが何か話してるみたいだけど……聞こえるところまで、近づいてないよね。
ゼナ:そうですね。危険そうですし。
アリア:集音マイクとかは?
ゼナ:その手がありましたね。指向性マイクだから……。
ヴァンダイク:「ふしゅー。ふしゅー。いいにおい……」
ゼナ:「うわあ、後ろからヘンな声がッ(笑)」
アリア:マイクの向きが違う違う。
アルバス:「いやー、だからこんな古い『船』に乗るべきではないって言ったんですよ」「まったくですな。とんだ災難だ」「救急車まだですかー」──という、ごく普通の会話が。
GM:違う違う。「教祖様がお亡くなりになった!」「じ、辞世の句は!?」「これです!」「おお、なんと素晴らしい……」
ゼナ:アホらし……。4人組の方にマイクを向けてみます。
ガルフ:「やはりあの女が『神』というのはデマだったようだな……。──いくぞ。<女神>を探せ」
GM:そう言って、4人は南の方へ飛んでいく。
ゼナ:飛んだ……。──アルバスさん、アルバスさん、これ、聞いてください!(録音したものを再生する)
ヴァンダイク:はあはあという荒い息遣いが。
ゼナ:間違えたッ! こっちです。
アルバス:いやー、だからこんな古い『船』に乗るべきではないって言ったんですよ。
ゼナ:これも違ぁーう! (ガルフの声を聞かせて)「これって、リューセさんのことじゃないですか?」
アルバス:「確かに、他にいないだろうな。……アイツら、『デイリー・リューセ』(番組名)でリューセの顔見なかったのか?」
ゼナ:「さ、さあ……」
プレイヤーP:……ふむ。で、アイツらより先にリューセのところにいかないとヤバイということだな。
ゼナ:「急ぎましょう、リューセさんのところに」
アルバス:「だからオレがさっさといけと言ってたろうが。それをお前がいつまでも……」
ゼナ:「す……すみません……」 ……あれえ?
アルバス:「黙ってオレの言うことを聞いていればよかったんだ。分かったら、これ以降はオレの言うことに従え」
ゼナ:「え、でも、その……はい。──じゃ、これを警察に届けてから……」
ヴァンダイク:振り返るなら、ワシとぶつかる。
ゼナ:うわ、そんなに密接してたんだ。
アリア:マイクがなくても荒い息が聞こえそう……。
プレイヤーP:ズボンのチャックを下ろす最中だったんじゃないか?
ゼナ:ズボンに手をかけられたら、さすがに気づきますッ!
プレイヤーP:いや、自分のズボンに。
ヴァンダイク:尻を出して待っていよう。
ゼナ:何やってんですかッ!(ツッコミ)
ヴァンダイク:いかんよ、突っ込んだら(笑)。
ゼナ:そのツッコミじゃなくて……(げんなり)。
アルバス:いくぞ。
──『船』は更に速度を上げ、南へ。


