砦 詰め所──
ヴァンダイク:ビオは英雄だ。敵国の大物を捕らえてくるとは。
アリア:これは人質だね。うまくすれば……戦闘が片付いちゃう。
国境軍隊長:「ビオさん、よくやってくれました!」
ビオ:「おうよ(上の空)。──アリアー! 早く10食よこせー!」
アリア:え、何の話?
ビオ:とぼけるのか? 一回そういうことがあると、言うこと聞かなくなるぞ。
リトナ:聞くよ、バカだから(一同大笑い)。
ビオ:……そこまでバカか、俺は(苦笑)。
ヴァンダイク:ウメボシぐらいの大きさだからな、脳が。
スティール:「く、くそ……。せめてキュア様と話を……」
リトナ:「話してやれよ、キュア」
ドモ・ルール(キュア):「ん? キュア?」
ビオ:キュアって何だ?
リトナ:オレ知ってるよ。
スティール:「あなたはキュア・アルトエッセン様ではないのですか?」
リトナ:(ドモ・ルールに小声で)「キュアのフリしろキュアのフリしろ。ものすごく傷つけてやれ(笑)」
ドモ・ルール:アルトエッセンという名に聞き覚えは?
リトナ:銘菓アルトエッセン。
アリア:お菓子の方なの?
リトナ:絶対あると思うぞ、銘菓アルトエッセン。あのドイツの銘菓がついに日本上陸!
アリア:あたし、そういうの(お菓子ではなく人の名前)詳しいと思うんだけど。
GM:じゃあ判定してみて。
アリア:(コロコロ)95!(←失敗)いえーい!
ヴァンダイク:ワシも詳しいはずなんだが。(コロコロ)かなり成功している。アルトエッセンに聞き覚えがあるぞ。
GM:そりゃ聞いてビックリだ。──アルトエッセンは<黎明のヴィエイユ>の王家の名だ。
キュア(ドモ・ルールに乗っ取られ中):げ……。
アリア:ど忘れ〜! てへ。
キュア:ど忘れ〜! ……フルネームで名乗ったことなかったっけ?
リトナ:オレはリュックの中で聞いた。(コロコロ)でもオレ、アルトエッセンのこと知らなかったみたいだし。
GM:みんなの前では「ドモではない」としか言ってないし。
ドモ・ルール:(コロコロ)ドモもアルトエッセンに聞き覚えアリ。──だがそんなすごい人が、なぜあんな<帝国>の砦まで?
GM:実戦経験も必要だろうってことで大将の傍にいたら、赤いトカゲが突っ込んできて拉致られたのだ(笑)。
アリア:にゅうう……キュアって、王家の人だったんだ……。
ドモ・ルール(キュア):「なるほど……そんなヤツなら、ドモのアレがああなるワケだ……(納得)」
リトナ:「アレがああなるって、ワケ分かんないんだけど」
ドモ・ルール(キュア):「ドモの精神操作が解けて、正気を取り戻すワケだ、と」
ヴァンダイク:「……ドモの宿主は正気に戻っていたのか?」
ドモ・ルール(キュア):「ああ」
GM:あっさりバラしてしまうのだな(笑)。
キュア:……ったく、人が一生懸命黙ってたのに……。
ヴァンダイク:だが相手が王家の者となると、殺すワケにもいかなくなったな。
ドモ・ルール:どっちでもいいさ。目の前に、新しい宿主がいるんだから。
アリア:そだね。
GM:……へ?
キュア:確かに、スティールの方が私より丈夫そうだし。……でも捨てられるのはイヤだ。
リトナ:捨てられるのがイヤか。そいつは意外だな。
キュア:だって、捨てられるイコール殺されるだから。
ヴァンダイク:一体何を聞いていたんだか。人質の価値がある者を殺すはずないではないか。
リトナ:せっかくGMが殺されないように保険をかけてくれたのに。
キュア:ぐ……。
ドモ・ルール(キュア):「さて……。では、身体を乗っ取らせていただきましょうか」
アリア:「隊長、できれば彼とあたしたちだけにしてほしいんですが」
国境軍隊長:「それは構いませんが……国家間の問題になるようなことは、やめてくださいよ?」
アリア:「信じてください」
国境軍隊長:「……分かりました。──アナタには、人を納得させる……引き付ける何かがあるようですね」
アリア:「フフフ」
隊長とその部下が退室し、部屋の中にはレプス04小隊とスティールだけが残った。
スティール:「ちょ、ちょっと待って、待ってくれ! お前たち、私の身体を乗っ取ろうというのか!?」
ヴァンダイク:そう思うなら我々の心を読んでみるがいい──YES、YES、YES……(笑)。
ドモ・ルール(キュア):「でもまあ、そういうことだよな」
スティール:「あああ……キュア様……。だがどうもあのキュア様は誰かに操られていて……ということは私に刃物を向けたのはその操ってるヤツということであり……(←間違い)、そいつが今度は私に……。──あああ、ちょっと待ってくれ、その前に、やらねばならんことがッ! 届けねばならん書状があるのだ〜!」
アリア:「書状?」
リトナ:「ふところ探ってみたら?」
ドモ・ルール(キュア):(ごそごそと探って)「ああ、これだな。──余裕があったら、届けてやるから♪」
スティール:「国家間の、大事な書状なんだ〜!」
アリア:「どれどれ……」(読んでみる)
GM:簡単に言うと、<帝国>との休戦および同盟を申し込む書状だね。<夕闇のメネトゥ><夜更けのドゥリクス><黎明のヴィエイユ>の三国が同盟を組んで<帝国>と戦ってきたのだけど、最近内部紛争が激しくなってきているらしい。特に<メネトゥ>は急激に力をつけてきていて、同盟を解消し<メネトゥ>対他国で戦争をしそうな勢いなのだな。で、<ヴィエイユ>としてはこれ以上<帝国>と戦いたくはないし、<メネトゥ>の勢力を押さえていきたいから──
ビオ:<帝国>と手を組んで<メネトゥ>を挟み撃ちにしたい、と。
GM:そういうこと。
アリア:「これは……簡単に答えが出せる問題じゃないかも。──でも、この書状は受け取っておくね」
「書状確かに受け取りました」──そう書いた返信にサインを入れ、アリアはスティールにそれを見せた。
アリア:「これでいい?」
スティール:(目を丸くして)「は……?(呆然) あなたは……そんな……」
そこには……<帝国>96番目の姫、フェルチアイアのサインがあった。
スティール:(信じられんが……キュア様もそうだし、姫が旅に出ることもあるのかもしれんが……だが……)
アリア:「この手紙をアナタの部下に渡します。そしてこの書状は<帝国>の皇帝に届けさせます。……それでいいですか?」
スティール:「いいでしょう……。──さあ、あとは煮るなり焼くなり好きにするがいい」
アリア:「そぉんなことしませんよぉ。――その身体は、いつかあなたにお返します」
ドモ・ルール(キュア):「生きてるかどうかは知らんがな。……最後に、いい思いさせてやろう」
そう言ってスティールの頬にそっと唇を寄せるドモ・ルール。
柔らかい唇の感触を最後に……スティールの意識は遠くなっていった。

自分を呼ぶ声に、キュアは目を覚ました。
キュア:眠い……。
リトナ:それはプレイヤーの意見だろ?
キュア:そうかも。
アリア:ビオ、何が起こってるか分かってる?
ビオ:ドモ・ルールがまた新しい身体に乗り移ってるんだな、ぐらいは。……でもキュアって何だ?
アリア:今度から彼女の名前はキュアだから。
ビオ:ドモじゃなくて、キュアなんだな。
アリア:(スティールを指差して)今度からドモはあっちだから。
ビオ:『10食』が、ドモになったんだな。
アリア:そうそう、分かってるじゃない。脳みそがゼリーからプリンに昇格したかな。
ビオ:……それは昇格してるのか?
GM:ヴァンダイクはいいのかな? 同盟国になるとはいえ、<ヴィエイユ>の偉い人が2人もパーティに加わることになるんだけど。
ヴァンダイク:構わんよ。不満があるとすれば……なぜ王子ではなく姫なのかという点だけだ。
GM:そっか。
ヴァンダイク:王族の系譜は敵国の者までびっしり頭に入っているが、女性は「女」としか認識していないし。
GM:認識してるのは自分の娘だけか。
ヴァンダイク:フェルチアイア姫も分かる。……アリアの(今の)姿には見覚えはないのかね?
GM:(ちょっと考えて)……ムチャクチャあるわ(笑)。よく似てるからね。
ヴァンダイク:ふむ……。女性だからあまり気にしてないのかも。<帝国>への忠誠心よりもラグランジェへの思いが上だし(一同笑い)。
GM:──では、新たにドモ・ルールの宿主としてスティールがパーティに加わったということで。
ドモ・ルール(スティール):うむ。……国際問題に発展したときが大変だろうが。
ビオ:国際問題?
ドモ・ルール:敵国の──今は同盟国とはいえ、国のお偉いさんが死んだりしたら、問題だろ?
アリア:予想外のアクシデントはあるだろうけど大丈夫だよ。心配ごぉ〜むよぉ〜!(←お気楽)
ビオ:俺たちがコイツらを返しにいくという名目で西を──<ヴィエイユ>を目指したらいいんじゃねーのか?
アリア:ビオさん賢いッ!
GM:単純だけど、時々鋭いね。
アリア:じゃあ、みんなには内緒でこっそり、スティールの書状を召喚した伝書鳩につけて<帝都>に送って……「これからそちらの姫を連れていきます」の書状をもう一羽の伝書鳩につけて<ヴィエイユ>の王都に飛ばそう。
GM:分かった。それなら、ほどなくして<帝国>と<ヴィエイユ>の間で休戦協定が結ばれるだろう。


