ACT8.0[越境]04


 深夜──闇が砂漠を覆いつくしている。

 合流を果たした<メネトゥ><ヴィエイユ>両軍は互いにテントを張り、今は休んでいるようだ。

 わずかな草むらと闇に紛れつつ、レプス04小隊が接近していく……
 

アリア:「ビオ、がんばろうね」

ビオ:「任せておけ。食料の命は俺が守る」

リトナ:「言ってることがよく分かりません(笑)」

キュア:「保護した後は?」

ビオ:「有効に活用する」

キュア:「……食べるってことね」

アリア:「食糧庫はどこだろう……。空から見たら分かるかな?」

ラグランジェ:「下手に飛んだら見つかっちゃいますよ」

アリア:「でもこのままじゃ分からないでしょ?」

ビオ:「分かるぞ。(くんくんくん)──こっちだ! 間違いねえ!」

リトナ:「犬か(笑)」

アリア:「……でも信じていいと思う(笑)」

リトナ:ではそっちに向かって走っていこう。

アリア:火は、あたしが簡単な炎の魔法を使えるからそれで。

GM:ビオさんが火を噴くワケではないんだね。

ビオ:歌わないっての。

リトナ:ええ〜、1番、2番と歌い続けるごとに1Dずつダメージが増えていくのに〜。

ヴァンダイク:火を放つぐらいなら、短い歌でも構わないのでは。『わ〜かいむすめが、だっぷ〜ん♪』で1Dのダメージ。

リトナ:それなら『妙円寺参り』の歌をマックスまで歌ったらダイス21個分のダメージだよ。

GM:(コロコロ)先頭の人がもうすぐ食糧庫にたどりつきそう……ってとこで、敵に気づかれたよ。どうやら眠ってなかった兵士が結構いたみたい。

アリア:でも、食糧庫を肉眼で確認! 火を放つよ!(魔法を詠唱する)
 

 炎に包まれる食糧庫。炎の照り返しがアリアの顔を赤く染める。そのとき──
 

 ドゥン! ドゥン! ドゥン!
 

 ──背後で爆発音がした。
 

アリア:「え!?」(振り返る)

GM:<メネトゥ軍>と<ヴィエイユ軍>の陣の境目辺りで爆発が起こる。どうやら<ヴィエイユ軍>が奇襲をかけたようだね。<メネトゥ軍>は混乱しているようだ。

ドモ・ルール:内乱か? 300人が150人を攻めてるんだよな?

GM:そうみたい。

キュア:「これはチャンスなのでは?」

アリア:「そだね、この混乱に紛れて逃げよう」

ビオ:「待て待て、食料を救出しなければ〜!」

アリア:「ダメだってば〜!」
 

 あちこちで戦いが始まっていた。明らかに<ヴィエイユ軍>が有利である。

 そしてそれに紛れて、レプス04小隊は撤収していく。
 

「――ア様ぁー!」
 

キュア:「???」
 

 名前を呼ばれた気がした。
 

「キュア様ぁー!」
 

……また、聞こえる。空耳ではない。

 キュアは、振り返った。
 

「やはりキュア様!」
 

 炎の照り返しに浮かび上がる、黒い軍馬に乗った黒い鎧の騎士──

 金髪に”はしばみ色”の瞳。おでこには短い角が2本生えている。
 

キュア:スティール……?」
 

 懐かしい──どこか懐かしさを感じる──その姿に、キュアは足を止めた。
 

ヴァンダイク:スティール……どこかで聞いたことがあるような名前だ。(アーケインの)酒場のマスターか?

ドモ・ルール:彼に髭は?

GM:ないよ。外見だけなら20代後半から30代前半ぐらいに見える。

ドモ・ルール:これはプレイヤー発言だが……酒場のマスターの年齢は?

GM:40歳ぐらい。

スティール「『キュア様センサー』に反応があったので、もしやと思いましたが……」

キュア:「んなセンサー持ってるなぁぁぁッ!」

スティール:「ご無事で何よりですキュア様。……なぜこのような場所に?」

アリア:(足を止めたキュアに気づいて)「キュア、早くいこうよ〜」

キュア:「先にいってて!」

アリア:「──わきゃないでしょ! 早くいくわよ!」

キュア:ああああああ……。……「ごめん」って言いながら、彼(スティール)にスライサーを投げる。当たらないように。

ドモ・ルール:いきなりかい。

キュア:ちゅーか、この状況で話しかけられてもメチャクチャ困るんだけど。

GM:それにしたってヒドイ。

アリア:やっと再会できた人にいきなり攻撃されるなんてねー……。あたしだったら耐えられないよ。

キュア:……スライサー投げるのやめる。

ビオ:(むしゃむしゃと食料(やや焦げ)をほおばりながら)「おいアリア、これウマイぞ」

アリア:「ビオ」

ビオ:「ん?」

アリア:「あの2本角の騎士、捕まえたら5日分あげる」

ビオ:よし分かった。……奪ってきた食料を地面に置いて、盗むヤツがいないことを確認して、それからその騎士とやらに近づく。

アリア:「あの人ワケアリみたいだから……生け捕りにしてね」

ビオ:「生け捕りなら10日分だな」

アリア:「んー、分かった。それでいいよ」

リトナ:(アリアたちに近づいて)「何やってんだ、撤収早くしろ」

アリア:「ビオ!」

ビオ:「よっしゃ! (スティールに近づいて)──おい『5食』!!!」

スティール:「何者だ! (ハッと気づいて)──キュア様、いくら何でもこのトカゲは趣味が悪いですぞ!」

キュア:「だってビオさんスゴイし」

スティール:「ええッッ!? (激しく誤解して)ゆ、許さんぞ、トカゲ!!!」

ビオ:「『5食』と『10食』どっちがいい!」

スティール:「ええいワケの分からんことを……。貴様、何者だ! キュア様の何なのさ!」

ビオ:(突撃しながら)「てゆーかキュアって何だー!」

リトナ:そこからか(笑)。

キュア:スティールって、どういう立場の人なの?

GM:王宮近衛騎士団の団長だね。

キュア:そんな立場の人が何でこんなとこに……。

GM:センサーが反応したからね。何はともあれまずキュア様──それがスティール。

ビオ:あ、こいつスティールっていうのか(本気)。

リトナ:……聞いてなかったんだ(苦笑)。キャラクターシートを書いてたオレでも聞いてたのに。

アリア:プレイヤーとキャラクターが見事にシンクロしてるねぇ……。

ビオ:「まずは、馬刺だー!」(馬に斬りかかる)
 

 ずんばらり。
 

GM:(コロコロ)……馬刺ができた(涙)。

スティール:(倒れる馬から飛び降り)「名も名乗らずにいきなり斬りかかってくるとは無礼なヤツだ!」

ビオ:「黙れ『10食』!」

リトナ:「いや、彼が言うことは正しい。武士としてもっともな意見だ」

アリア:「え?」

リトナ:(ビオの首の後ろに飛びついて)「──やあやあ我こそは、<帝国軍>レプス04小隊が長、ビオ・サバール・ローレンラウシェンである! 貴様なら相手にとって不足はない、いざ尋常に勝負いたせ!」

ビオ:(首にまとまわりつくリトナを取ろうとジタバタしてる)

スティール:「ええい面妖な……。──我が名は<黎明のヴィエイユ>王宮近衛騎士団が団長、スティール! ……参るッ!」
 

 剣を抜くスティール。ハルバートを構えるビオ。戦いが始ま──
 

キュア:スライサーをスティールの首筋に当てる。

一同:えええ〜!!?

GM:ヒドイ女だなぁ……。

アリア:前の恋人(?)にそんなことされたら、死にたくなるよね……。

キュア:「ごめんスティール、説明してる時間がないの。今は捕虜になって」

リトナ:……捕虜の意味合いが違い過ぎると思わない?

ヴァンダイク:(捕虜を聞き間違えて)……ホモ?
 

 一同大笑い。
 

リトナ:確かに大きく違う……。

スティール:「おかしい……この角は間違いなくキュア様なのに……なぜ私に刃を……」

ヴァンダイク:「この角は……」と言いながら、ちらっちらっと胸元の方に視線が(笑)。

キュア:角や胸で判断しないでよ。……でもどうしよう……このままスティールと(<ヴィエイユ>に)戻るというのもアリなのよね……。

ヴァンダイク:そしてそこでドモに戻るという最悪のパターンに。

キュア:「どうしよう……」(悩みモードに突入)

GM:スティールの部下が、そろそろ探しにくるかもしれないぞ?

アリア:「事情はよく分かんないけど、話は詰め所で聞くわ」

キュア:「ううう……」

ドモ・ルール:ええい、もうウジウジとしやがって! 身体を乗っ取ってやるッ!

キュア:……どうぞ。(キュア→ドモとなり、いきなり目付きが悪くなる)

スティール:「キュア様……?」

キュア(ドモ・ルール):(スティールを蹴っ飛ばして)「逃げるぞアリアさんや!」(アリアの手を取って走りだす)
 

 GM、大笑い。
 

ビオ:(ようやくリトナを払い落として)「えーと……お、俺はれぷす04しょうたいの、ビオ。とーかぶんのしょくりょうのために……」

リトナ:「……ビオさんビオさん、攻撃する度に名乗らなくていいんだよ?」

ビオ:「いや、ダメだって言うからマネしてみようと思ってだな……」

キュア(ドモ・ルール):(まだ笑ってるGMを見て)大丈夫なのか、GM。

GM:だって……ずーっと探してた大事な女性をやっと見つけたと思ったら、変な連中と一緒にいて、しかも食糧庫に火をかけてた様子。再会を喜んでみたものの、向こうはあんまり覚えてない上にいきなり刃物を突き付けてくる。何事かと混乱してたら目付きが悪くなって、蹴られたあげく女同士で手を取り合って逃げていってしまった、と。……悲惨すぎる。

ビオ:「戦るのか、戦らねえのか、どっちだ!」

GM:スティールは戦意喪失、茫然自失状態。

ビオ:……おとなしく捕まってくれるのか、そりゃよかった。

GM:おとなしく、後ろ手に縛られましょう。

ビオ:(縛ったスティールを掲げて)「見たかアリアー! 『10食』だー!」

一同:(拍手)

アリア:「おめでとー。──さあ逃げるよ、急げー!」

ビオ:「待て待て待て、さっきの食料(やや焦げ)も持っていかねえと」
 

 こうして……スティールを捕虜としたレプス04小隊は、砦に帰還したのだった。



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