深夜──闇が砂漠を覆いつくしている。
合流を果たした<メネトゥ><ヴィエイユ>両軍は互いにテントを張り、今は休んでいるようだ。
わずかな草むらと闇に紛れつつ、レプス04小隊が接近していく……
アリア:「ビオ、がんばろうね」
ビオ:「任せておけ。食料の命は俺が守る」
リトナ:「言ってることがよく分かりません(笑)」
キュア:「保護した後は?」
ビオ:「有効に活用する」
キュア:「……食べるってことね」
アリア:「食糧庫はどこだろう……。空から見たら分かるかな?」
ラグランジェ:「下手に飛んだら見つかっちゃいますよ」
アリア:「でもこのままじゃ分からないでしょ?」
ビオ:「分かるぞ。(くんくんくん)──こっちだ! 間違いねえ!」
リトナ:「犬か(笑)」
アリア:「……でも信じていいと思う(笑)」
リトナ:ではそっちに向かって走っていこう。
アリア:火は、あたしが簡単な炎の魔法を使えるからそれで。
GM:ビオさんが火を噴くワケではないんだね。
ビオ:歌わないっての。
リトナ:ええ〜、1番、2番と歌い続けるごとに1Dずつダメージが増えていくのに〜。
ヴァンダイク:火を放つぐらいなら、短い歌でも構わないのでは。『わ〜かいむすめが、だっぷ〜ん♪』で1Dのダメージ。
リトナ:それなら『妙円寺参り』の歌をマックスまで歌ったらダイス21個分のダメージだよ。
GM:(コロコロ)先頭の人がもうすぐ食糧庫にたどりつきそう……ってとこで、敵に気づかれたよ。どうやら眠ってなかった兵士が結構いたみたい。
アリア:でも、食糧庫を肉眼で確認! 火を放つよ!(魔法を詠唱する)
炎に包まれる食糧庫。炎の照り返しがアリアの顔を赤く染める。そのとき──
ドゥン! ドゥン! ドゥン!
──背後で爆発音がした。
アリア:「え!?」(振り返る)
GM:<メネトゥ軍>と<ヴィエイユ軍>の陣の境目辺りで爆発が起こる。どうやら<ヴィエイユ軍>が奇襲をかけたようだね。<メネトゥ軍>は混乱しているようだ。
ドモ・ルール:内乱か? 300人が150人を攻めてるんだよな?
GM:そうみたい。
キュア:「これはチャンスなのでは?」
アリア:「そだね、この混乱に紛れて逃げよう」
ビオ:「待て待て、食料を救出しなければ〜!」
アリア:「ダメだってば〜!」
あちこちで戦いが始まっていた。明らかに<ヴィエイユ軍>が有利である。
そしてそれに紛れて、レプス04小隊は撤収していく。
「――ア様ぁー!」
キュア:「???」
名前を呼ばれた気がした。
「キュア様ぁー!」
……また、聞こえる。空耳ではない。
キュアは、振り返った。
「やはりキュア様!」
炎の照り返しに浮かび上がる、黒い軍馬に乗った黒い鎧の騎士──
金髪に”はしばみ色”の瞳。おでこには短い角が2本生えている。
キュア:「スティール……?」
懐かしい──どこか懐かしさを感じる──その姿に、キュアは足を止めた。
ヴァンダイク:スティール……どこかで聞いたことがあるような名前だ。(アーケインの)酒場のマスターか?
ドモ・ルール:彼に髭は?
GM:ないよ。外見だけなら20代後半から30代前半ぐらいに見える。
ドモ・ルール:これはプレイヤー発言だが……酒場のマスターの年齢は?
GM:40歳ぐらい。
スティール:「『キュア様センサー』に反応があったので、もしやと思いましたが……」
キュア:「んなセンサー持ってるなぁぁぁッ!」
スティール:「ご無事で何よりですキュア様。……なぜこのような場所に?」
アリア:(足を止めたキュアに気づいて)「キュア、早くいこうよ〜」
キュア:「先にいってて!」
アリア:「──わきゃないでしょ! 早くいくわよ!」
キュア:ああああああ……。……「ごめん」って言いながら、彼(スティール)にスライサーを投げる。当たらないように。
ドモ・ルール:いきなりかい。
キュア:ちゅーか、この状況で話しかけられてもメチャクチャ困るんだけど。
GM:それにしたってヒドイ。
アリア:やっと再会できた人にいきなり攻撃されるなんてねー……。あたしだったら耐えられないよ。
キュア:……スライサー投げるのやめる。
ビオ:(むしゃむしゃと食料(やや焦げ)をほおばりながら)「おいアリア、これウマイぞ」
アリア:「ビオ」
ビオ:「ん?」
アリア:「あの2本角の騎士、捕まえたら5日分あげる」
ビオ:よし分かった。……奪ってきた食料を地面に置いて、盗むヤツがいないことを確認して、それからその騎士とやらに近づく。
アリア:「あの人ワケアリみたいだから……生け捕りにしてね」
ビオ:「生け捕りなら10日分だな」
アリア:「んー、分かった。それでいいよ」
リトナ:(アリアたちに近づいて)「何やってんだ、撤収早くしろ」
アリア:「ビオ!」
ビオ:「よっしゃ! (スティールに近づいて)──おい『5食』!!!」
スティール:「何者だ! (ハッと気づいて)──キュア様、いくら何でもこのトカゲは趣味が悪いですぞ!」
キュア:「だってビオさんスゴイし」
スティール:「ええッッ!? (激しく誤解して)ゆ、許さんぞ、トカゲ!!!」
ビオ:「『5食』と『10食』どっちがいい!」
スティール:「ええいワケの分からんことを……。貴様、何者だ! キュア様の何なのさ!」
ビオ:(突撃しながら)「てゆーかキュアって何だー!」
リトナ:そこからか(笑)。
キュア:スティールって、どういう立場の人なの?
GM:王宮近衛騎士団の団長だね。
キュア:そんな立場の人が何でこんなとこに……。
GM:センサーが反応したからね。何はともあれまずキュア様──それがスティール。
ビオ:あ、こいつスティールっていうのか(本気)。
リトナ:……聞いてなかったんだ(苦笑)。キャラクターシートを書いてたオレでも聞いてたのに。
アリア:プレイヤーとキャラクターが見事にシンクロしてるねぇ……。
ビオ:「まずは、馬刺だー!」(馬に斬りかかる)
ずんばらり。
GM:(コロコロ)……馬刺ができた(涙)。
スティール:(倒れる馬から飛び降り)「名も名乗らずにいきなり斬りかかってくるとは無礼なヤツだ!」
ビオ:「黙れ『10食』!」
リトナ:「いや、彼が言うことは正しい。武士としてもっともな意見だ」
アリア:「え?」
リトナ:(ビオの首の後ろに飛びついて)「──やあやあ我こそは、<帝国軍>レプス04小隊が長、ビオ・サバール・ローレンラウシェンである! 貴様なら相手にとって不足はない、いざ尋常に勝負いたせ!」
ビオ:(首にまとまわりつくリトナを取ろうとジタバタしてる)
スティール:「ええい面妖な……。──我が名は<黎明のヴィエイユ>王宮近衛騎士団が団長、スティール! ……参るッ!」
剣を抜くスティール。ハルバートを構えるビオ。戦いが始ま──
キュア:スライサーをスティールの首筋に当てる。
一同:えええ〜!!?
GM:ヒドイ女だなぁ……。
アリア:前の恋人(?)にそんなことされたら、死にたくなるよね……。
キュア:「ごめんスティール、説明してる時間がないの。今は捕虜になって」
リトナ:……捕虜の意味合いが違い過ぎると思わない?
ヴァンダイク:(捕虜を聞き間違えて)……ホモ?
一同大笑い。
リトナ:確かに大きく違う……。
スティール:「おかしい……この角は間違いなくキュア様なのに……なぜ私に刃を……」
ヴァンダイク:「この角は……」と言いながら、ちらっちらっと胸元の方に視線が(笑)。
キュア:角や胸で判断しないでよ。……でもどうしよう……このままスティールと(<ヴィエイユ>に)戻るというのもアリなのよね……。
ヴァンダイク:そしてそこでドモに戻るという最悪のパターンに。
キュア:「どうしよう……」(悩みモードに突入)
GM:スティールの部下が、そろそろ探しにくるかもしれないぞ?
アリア:「事情はよく分かんないけど、話は詰め所で聞くわ」
キュア:「ううう……」
ドモ・ルール:ええい、もうウジウジとしやがって! 身体を乗っ取ってやるッ!
キュア:……どうぞ。(キュア→ドモとなり、いきなり目付きが悪くなる)
スティール:「キュア様……?」
キュア(ドモ・ルール):(スティールを蹴っ飛ばして)「逃げるぞアリアさんや!」(アリアの手を取って走りだす)
GM、大笑い。
ビオ:(ようやくリトナを払い落として)「えーと……お、俺はれぷす04しょうたいの、ビオ。とーかぶんのしょくりょうのために……」
リトナ:「……ビオさんビオさん、攻撃する度に名乗らなくていいんだよ?」
ビオ:「いや、ダメだって言うからマネしてみようと思ってだな……」
キュア(ドモ・ルール):(まだ笑ってるGMを見て)大丈夫なのか、GM。
GM:だって……ずーっと探してた大事な女性をやっと見つけたと思ったら、変な連中と一緒にいて、しかも食糧庫に火をかけてた様子。再会を喜んでみたものの、向こうはあんまり覚えてない上にいきなり刃物を突き付けてくる。何事かと混乱してたら目付きが悪くなって、蹴られたあげく女同士で手を取り合って逃げていってしまった、と。……悲惨すぎる。
ビオ:「戦るのか、戦らねえのか、どっちだ!」
GM:スティールは戦意喪失、茫然自失状態。
ビオ:……おとなしく捕まってくれるのか、そりゃよかった。
GM:おとなしく、後ろ手に縛られましょう。
ビオ:(縛ったスティールを掲げて)「見たかアリアー! 『10食』だー!」
一同:(拍手)
アリア:「おめでとー。──さあ逃げるよ、急げー!」
ビオ:「待て待て待て、さっきの食料(やや焦げ)も持っていかねえと」
こうして……スティールを捕虜としたレプス04小隊は、砦に帰還したのだった。


