ACT9.0[ゆがみのむこう] 04


 村長の家──

村長:「ひょひょー!」

ユリア:みんなで『ひょひょひょ』?

フウゲツ:一体何語で話してるんだー!

村長:「いよいよ、時が来たのじゃな……」

フウゲツ:「あの……何が?」

カーミン:「あたしたち、これから<神様>にケンカ売りにいくの」

ユリア:とんでもねー、と。

レイチェル:あたしゃ神様よ、と。

フウゲツ:そっちか。

グルン:「まだどうなるか分からないけど……これから、南の方や他大陸にもいって仲間をつのって、それから<神の国>へいこうと思ってる」

フウゲツ:「それはまた、どうして?」

グルン:「あまり大きな声では言えないんだけど……偉ーい<神様>たちがこの星を消し去ろうとしている。僕たちが<神>の矛盾に気づいてしまったからだ。従わない者、知り過ぎた者は消す……星ごと。この星の『神』たちは、それを止めたいと思ってる。僕らは……それを手伝いたい。この星をたすけたい。……そういう戦いなんだ」

フウゲツ:「ヘビーな戦いをしてるのですね……」

GM:10レベルオーバーなキャラばかりだからね。

キャン:「そういうワケなんで、ジジイは借りていくぜ?」

フウゲツ:「どうぞどうぞ、いてもいなくて一緒ですから。何ならオマケもつけましょうか?」

ヴァイス:「それって僕……?」

フウゲツ:「てゆーか、村長なんかが役に立つんですか?」

グルン:「シエナはかなりの刀の使い手だよ。……そりゃ、苦労もしたけど」

フウゲツ:「躾が大変だったでしょうね」

グルン:「すっかり元に戻ってしまってるし……」

村長(シエナ):「ひょ?」
 

 そこへエミリー、それからシアとカーキがやってきた。

 キャンとウェイブの瞳が喜びと悲しみの色を浮かべ……わずかに細められる。

 シアは、うつむいたままだ。
 

ウェイブ:「シア……」

シア:「………………」

キャン:「わりぃ……3人で話、させてくれねーか?」

グルン:「ああ。ゆっくり、話してくるといいよ」
 

 ウェイブはシアの肩にそっと手をかけ、娘を連れてきてくれたエミリーとカーキに頭を下げると、村長の家を出ていった。

 キャンがその後に続く──自分とよく似た青年の存在に、意味深な笑みを浮かべながら。
 

ロトリラ:「わたくしも、ちょっと出てきます。個人的に会いたい人たちがいるので。……ごめんね?」

グルン:「うん、ついでに、”彼ら”を探してきてくれる?」

ロトリラ:「分かりましたわー」
 

 こうして……グルンとカーミン、村長ことシエナだけが残った。
 

エミリー:「彼女は、どこへ?」

村長(シエナ):「ロトリラは魔族の血を半分ひいとるからのう。魔族ハーフたちに、興味があるのじゃろう」

エミリー:「”彼ら”とは?」

カーミン:「イーテと、プリテンプス。一緒に戦ってくれることになってるから」

フウゲツ:ああ、あのはぐれ神族たち。なるほどー、そうですかー。……その間、誰が銭湯を?

GM:ヴァイスに決まっている。

ヴァイス:………………。

フウゲツ:「あの……『結界』のヒビのことなんですけど。どうやって直したらいいでしょう?」

グルン:「詳しいことは僕らにもよくは分からないから……」

レイチェル:「『結界』のことは、古の民が詳しい」

フウゲツ:「そうなんだ。じゃあ、後で聞きにいってみるか」

エミリー:「リーダー、それでいい?」

ヴァイス:「………………」

GM:何でさっきから無言なの?

ヴァイス:さあ。

GM:………………。では、村長が荷物──ふんどしとか──をまとめてる間に、キャン・ウェイブ・シアが帰ってくる。
 

 彼女たちが何を話したのかは分からない。ただ、2つだけ分かったことがある──シアの目が赤く腫れていたこと。それでも彼女は笑っていたこと。
 

GM:それから、ロトリラもイーテ・プリテンプスを連れて戻ってきた。

イーテ:「──とまあ、そういうワケだ、頼んだぜヴァイス!!! うお、うおおおおおん……(大泣き)」

プリテンプス:「ヴァイスちゃん、お風呂屋よろしくね」

ヴァイス:「………………」

GM:無言は承諾! ──それから、誰か魔法に詳しい人。

エミリー:わたしも魔法使えますが……やっぱ、ヴァイスでしょう。

ヴァイス:おそるおそる手を上げる。

GM:じゃあヴァイス、ウェイブさんが「ちょっと」と言って別室の方にこそこそと。

フウゲツ:や〜、ヴァイス〜、それはやっちゃいけないぞ〜。

エミリー:人妻をナンパなんて〜。奥さん〜! 奥さん〜!!
 

 村長の家 別室──

ウェイブ:「あの……お願いがあるんですけど」

ヴァイス:「……何でしょう」

ウェイブ:「娘の……シアのことです。あの子、いつも籠手をつけてるでしょう?」

ヴァイス:(そういえば金色の籠手をつけてるなぁと思い当たり)「そうですね」

ウェイブ:「あの籠手には、シアが持つ『遺失魔法』を封じる力があります。私たちがあの子を遠ざけたのは、それも理由にあります」

フウゲツ:素直に嫌いだからと言え〜。

レイチェル:──とヴァイスが言う。

ヴァイス:言うかー!

シュリ:……遺失魔法とひつまぶしって響きが似てない?

一同:似てない。

ヴァイス:「何か、危険な魔法なんですか?」

ウェイブ:「元々は私が会得したモノだったんです。あの子を産んだときに、継承されてしまったようで……。『遺失魔法』は神様の忘れ物。究極魔法のひとつ。どのような効果があるのかは……私も使ったことがないので分かりません」

ヴァイス:「それで、籠手で封印している、と」

ウェイブ:「そうです。……ですから、シアのことよろしくお願いしますね(にっこり)」

ヴァイス:「へ……?」(唖然)

レイチェル:ものすごく意味深な「お願いします」だ。

エミリー:娘を好きにしていいってこと?

フウゲツ:そうじゃないだろうが……なんかそんなかんじだ。……またここに、恋のラインが一本。

GM:ウェイブさんは天然ボケだからね。何も考えないで言ったのか……それとも何か含みがあったのか。とにかくそういうことなんで、よろしくね、ヴァイス。
 

 村長の家 居間──

フウゲツ:(戻ってきたヴァイスに)ヴァイス〜、いやらしいぞ〜。

ヴァイス:え? え?

フウゲツ:誤解されたくなかったらちゃんと話せ、と暗に言っているのだ。

ヴァイス:ああ。詳しくは、後で話すよ。

フウゲツ:では、お見送りを。

ヴァイス:ほ〜た〜るの、ひ〜かぁあり〜♪

ユリア:これが彼らの姿を見た最後だった、と。

GM:こっち(ヴァイスたち)が死ぬんだね。

フウゲツ:最悪だ。

GM:そして……彼らはアーケインを後にした、と。
 

 「この星のこと……この街のこと、任せたよ。……できる、だろ?」
 

 グルン=ベートの別れ際の言葉。ヴァイスの答えは……やはり無言だった。



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