ヴァイス:「………………ッ! (思い当たって)……帝都で人を殺していたのは、アナタですか?」
サリース:「そうよ」
ユリア:それが違ってたらビックリなんれすけど(笑)。
ヴァイス:(崩れ落ちるマネをする)
エミリー:カードで辻切りしてたワケね。
シュリ:……ユリアが前に言ってたことは、あながちはずれじゃなかったのね。
ユリア:またうっかり正解を(笑)。あのときは冗談で言ってたのに。
GM:だからあのときは内心ビックリしてたんだってば。
ユリア:(キャラクターシートの)『知覚』の欄に『悟り』ってあるから、きっとそれのせいれすね。
サリース:「あたしの母親は……そうね、『兵器製造器』とでも言ったらいいのかな、そういう造られた存在だった」
エターナル・マザー──クレリア=リーベンガード。
サリース:「そして父親は皇族の次男坊。……もう死んでしまったけど。もちろん彼が悪かったんだけど……身内との争いの結果、ね」
ヴァイス:「次男……そうか、現皇帝フェールドット様の弟、ヘルタークス様、彼が……」
サリース:「そしてなぜか『精神体』が残り、娘であるあたしに同調、侵食し……」
ヴァイス:「……殺人を、繰り返した」
サリース:「あたしの父もホントは孤独な人だったみたいで……忘れられるの怖かったのね。少しでも長く、強く、誰かの心の中に残っていたかった」
ヴァイス:「それでこんなことを。『恐怖』が、一番手っ取り早いと」
サリース:「そうよ」
ヴァイス:「たった、それだけのことのために」
サリース:「そうよ」
ヴァイス:「……自己顕示欲だとか、人に認められたいだとか、そういうのは人の欲望の中でも強いものの一つだとモノの本に書いてあったのを知ってるけど、だからって、ここまですることはないでしょう!」
サリース:「本……? (鼻で笑って)すごいのね、アンタ、そういうことちゃんとできてる人なんだ。自己顕示欲? 自分の価値の証明? 認めさせる? そういうこと、ちゃんとできてるんだ。すごいのね、うらやましいわ。あたしもそうなりたかったな」
ヴァイス:(プレイヤー、崩れ落ちる)
ユリア:……ヴァイスが本当に崩れ落ちたれす(笑)。
ヴァイス:「……そりゃ僕だってそういうことはキチンとできてないけど──」
ユリア:キチンと、というレベル?
一同、大笑い。
ヴァイス:チャチャ入れるなぁ!
エミリー:わたしが言葉をはさめないでいるのは声が出ないくらい笑ってるから、ということにしておこうかな。
ヴァイス:……言葉が出なくなってしまった。
エミリー:あのね、ちゃんとしてるなんてのは、自己満足でしかないワケよ。自己満足してれば、それで十分。
サリース:じゃあこれがあたしの『自己満足』だから、アンタは黙ってて。
エミリー:他人を傷つけることでしか自己を満足できないようじゃ──
サリース:アンタに言われたくないわよ、この児童虐待女!
エミリー:そんなこと知らないでしょう、アナタは。
GM:知らないってことは、虐待は本当なんだ(笑)。
一同、拍手。
シュリ:認めてしまったね。
エミリー:サリースは、知るよしがないと思うんですけど。
GM:一週間ぐらい街をぶらぶらしてる間に、噂で聞いたのかも。
エミリー:まあいいや。──ヴァイス、話を続けて。
GM:考えはまとまった?
ヴァイス:(うなずく)

気がつくと、周囲に『仮面の者』が立っていた。彼らの表情は分からない。そこにいる理由も。そしてそう、存在理由も。
だがあるいは、彼らは語りかける。彼らは代弁者だから。
ヴァイス:「そんな形で自分を認めさせたって、結局最後に残っているのは『恐怖』っていう感情でしかない。彼らが覚えているのはアナタじゃない」
サリース:「……それでもいいって思ったんでしょ、あたしのお父さんは」
『恐怖という感情が心に残っていれば、たぶんそれと一緒に彼女の名が浮かんでくるだろう』
『あるいは子供に語り継ぐかもしれない』
『事件は歴史に刻まれる』
『心の傷は消えないだろう。虐待を受けた子供が自ら虐待を繰り返すように、恐怖に脅えた者の子供もまた、恐怖に脅え生きるだろう。傷は永遠に残り、血を流し続ける』
サリース:「アンタは……あたしに何をしてくれようとしてるの? 説得?」
ユリア:納得?
レイチェル:ほっとく?
ユリア:地球寄ってく?
サリース:「あたしを助けたいの? 改心させたい? 後悔させたい? こういう時はこうしろって、モノの本に書いてあった?」
ヴァイス:「……違う。僕は……アナタを止める。こんなことは、もうさせない」
サリース:「自己満足ってワケね。僕は彼女を止めようとした、そういう証明が欲しい。……そういうことじゃないの?」
あたしが聞きたいのは……そんな言葉じゃ、そんな想いじゃないんだ。
サリース:「アンタは、自分のためにあたしを止めようとしている」
ヴァイス:「違う、僕のためじゃない、街のためだ」
わがままだって分かってるけど……求めてる。あたしのためだけに、何かしてくれる人を。
サリース:「感謝してほしいんでしょ?」
ヴァイス:「違う」
サリース:「じゃあ何でそこまでして街を守るの? 彼らは守るに値する人たちなワケ?」
ヴァイス:「値する。それは断言できる」
サリース:「ふーん、すごいのね」
分かり合えると思ったのは、間違いだったかもしれない。
GM:逆に、今のヴァイスの言葉を聞いて、サリースが納得すると思う?
ヴァイス:思わない(即答)。
サリース:「命懸けれる? 街を守ることにさ。何かすることにさ。何がしたいの? 何ができるの?」
エミリー:ごちゃごちゃゴタクを言うのが気に食わない。
ヴァイス:「………………」
サリース:「お話しは終わり? ……あたし、もう死んじゃっていいかな? ていうか、このケガだし」
シュリ:それは認めない。悪いけど認めない。この手で、殺るから。認めない。
フウゲツ:マジ参加したい、その場に。
シュリ:後ろから殴って倒れたところを馬乗りになって撃ち込みたい。
エミリー:わたしは……そうでもないな。街の惨劇のことはよく知らないからあまり怒り沸いてこないし。人が死ぬのがイヤなのも、目の前で死なれたら寝覚め悪いなぁってぐらいだし。守りたいのは、まず自分だし。
GM:子供たちは?
エミリー:二の次かな。
フウゲツ:せめて『二』にしろよ。
GM:シスターやめた方がいいね。
シュリ:やめてるじゃない。寝る場所がないから仕方なくシスターやってるだけ――そう考えれば全てのつじつまが合うわ。
レイチェル:最悪だ。
ユリア:妹のウェンディですら聖職者になってるのに(笑)。


