それからしばし時間が過ぎ……水路探索を終えたメンバーを呼び、マリアルイサの畑に集まった自警団の面々(ただしPCのみ)である。
GM:んじゃ、見張りの順番決めてくれい。
エミリー:水路探索で疲れてるから、今すぐ見張りってのは勘弁してほしいわね。
シュリ:それと、夜目が利く人が夜見張った方がいいんじゃない?
フウゲツ:GM、今何時ぐらいだ?
GM:んー。日が暮れるぐらいにしようか。
エミリー:お肌に悪いから、夜の見張りも勘弁して。
ヴァイス:わがままだなぁ……。
レイチェル:私なら、昼も夜も関係ない。
ユリア:ユリアも夜大丈夫れすよ。
フウゲツ:俺も。
GM:では……第1組目は、レイチェル、ユリア、フウゲツだな。
残りの者は仮眠を取り、フウゲツとユリアは防寒用のマントを羽織って夜の森に目をこらす。
GM:見張りを始めてから……(コロコロ)3時間後。
シュリ(仮眠中):早ッ!
GM:畑の土がぼこぼこっと盛り上がり……そこからうっすらと光が漏れる。そして──光る紐状の『何か』が、フウゲツに襲いかかるッ!
フウゲツ:うを、下から来たか! (コロコロ)かわした! ……何が襲ってきたんだ?
GM:ぼぅっと光った『木の根』だね。
レイチェル:植物が畑の作物を荒らすのか……?
フウゲツ:「それより早く! みんなを起こせ!」
シュリ:GM、音で目が覚めていい? (コロコロ)成功してるけど。
GM:判定に成功したなら、目を覚ましていいよ。
エミリー:(コロコロ)私はまだ夢の中(笑)。
ヴァイス:とことんやる気がないなぁ……。(コロコロ)僕は起きた。『オーラブレード』(特殊な『気』を剣状にする技)で切り裂いてやる。
GM:あ、普通の精神状態では『オーラブレード』は使えないよ。
ヴァイス:え、でも『月影の民』ならみんな使えるんじゃ……。
GM:高レベルの人ならね。レベルが低いヴァイスにはまだ無理。
ヴァイス:………………(戦う気が失せたらしい)。
フウゲツ:安心しろ、このぐらいなら、俺ひとりで充分だ。
レイチェル:私もいる。ビームトンファーを抜こう。
光る『木の根』に斬りかかるフウゲツとレイチェル。ユリアも素手で応戦する。
GM:む、こちらもランダムで反撃させてもらおう。地面の下から飛び出した『種』が、攻撃してくる。
フウゲツ:今度は種か! 明らかに、意思を持ってこちらを襲ってきてるのか?
GM:いや、そんなことはないようだけど……。──更に、『種』がはじけて中から飛び出た『蔦』が、からもうとしているぞ。
フウゲツ:斬る! ……何か光ったりしてるが、斬って手ごたえはあるのか?
GM:あるよ。幻というワケでは、ないようだ。
戦いは一方的なものになろうとしていた。
GM:フウゲツ、君に向かってきた『木の根』の先端が──人の姿を成す。
フウゲツ:うをぅ!? 思わず振りかざした刀を止めるぞ。
GM:──でもそれは一瞬の幻だったらしく、光る『根』が君の肩をなぐ。
フウゲツ:「くっそ、何だってんだ! このやろー!」
戦いは続く。
畑のあちこちに移動し、『根』を斬り、『種』を叩き落した。
『種』も『根』も、光の粒と化しながら消えていく。
そして戦いは終わり──辺りを、夜の闇と静寂が包み込んだ。
フウゲツ:「……終わりか」
ヴァイス:「今のは、何だったんですか……?」
フウゲツ:「さあな」
マリアルイサ:(聞き取れないほどの小声で)「何だ今のは……明らかに違う……まさか『混沌の種』が……?」
フウゲツ:「ん?」
マリアルイサ:「い、いや、無事退治してもらえたようだねぇ」
シュリ:「正体は不明だし、あれで終わったのかも定かでないけどね」
マリアルイサ:「充分だべ。……ワタシはちょっと用事ができたから、失礼させてもらうよ。食料は適当に持っていくといい」
フウゲツ:「あ、ああ……どうもかたじけない」
ヴァイス:あのさ……600人×5日分って結構な量だと思うんだけど、どうやって運ぶの?
ユリア:この場で全て食べる。
シュリ:人を呼んで、ピストン輸送するしかないでしょうね。

エミリー:そこで6とか振ってたら、いきなり食料がなくなってたんじゃ……。
マリアルイサ:あれからは、畑が荒らされることもなく。
ユリア:仕方がないから自分で『種』を植えて。
レイチェル:自作自演だったのか。
GM:ただ単に誰かにかまってもらいたかっただけ(笑)。
──さて、そんななか。
GM:そんななか、ヴァイスは何をやってる?
ヴァイス:へ、何って?
GM:いや、今、どういう状況にいるのか、と。
ヴァイス:そうだなぁ……すっかり忘れてたけど、スノウの亡骸を探して街をうろつく。
シュリ:またうろつくの?
ヴァイス:見回りも兼ねてね。
GM:ではヴァイス。目の前の風景が、またブレてくる。眩暈がする。
ヴァイス:また眩暈かぁ〜。疲れてるのかなぁ〜。そういえば最近睡眠時間も少ないなぁ〜(ふらふら〜)。
ここにいないレイチェル:こんなにがんばっているから、誰か私を褒めてくれ、と。
ヴァイス:そこまでは言わないけど。
ここにいないフウゲツ:……話、進めよう。
ヴァイス:はい。──例の、眩暈なんだよね?
GM:そう。過去の──戦いと大火傷の追体験。背中の焼けるような痛みと、薄れていく現実感。
ヴァイス:眩暈を振り払うように、首を振る。
GM:そんな君の目の前に……銀髪の少女が現れる。
ヴァイス:……君か。
ここにいないユリア:銀髪……前髪が3つに分かれてて小さくて「くるっくー」と鳴く、アレ?
GM:そっちか(笑)。
フウゲツ:なんてことだ。
GM:全ては、彼らの仕業だったのだ、完。
ここにいないシュリ:いや、何が完なのかさっぱり(笑)。
GM:彼ら(彼女ら?)が出てくれば、どんなことでも説明がつく。──いや、そうではなくて、5話で出てきた銀髪の少女だよ。今回は背中に黒い翼があったりする。
ユリア:へええ。ヴァンダイクとおそろい。
ヴァイス:「……これも、幻覚なのかな」(首を振る)
銀髪の少女:「おっはー♪」
フウゲツ:おっはー♪
レイチェル:……軽いな。
ヴァイス:その子の身体が……半分透けてたり、する?
GM:いや、しないねぇ。
ヴァイス:周りの人にも、その子は見えてる?
GM:つーか、周りに人いないし。
ヴァイス:……それもそうか。──とりあえず様子をうかがおう。
GM:自分から話しかけたりはしないんだね。
レイチェル:女の子にどう話しかけたらいいか分からないんだ。
ヴァイス:いや、確かにそれはあるけどさッ!
フウゲツ:ガンバレ、ヴァイス。
ヴァイス:(意を決して)君は、いったい──
GM:(遮るように)人にものを尋ねるときはまず──
レイチェル:自分から名乗るものでしょ。
シュリ:やあやあ我こそは。
マリアルイサ:(突然)それでは腰に手をあてて、鼻の下を伸ばす運動〜!
一同:(大笑い)
レイチェル:どういう運動だ。
マリアルイサ:いや、今のヴァイスの様子を赤裸々に綴ってみたの、だが。
シュリ:鼻の下が伸ばせたら、まだマシなんだけどねー……。
ヴァイス:(気を取り直して)……で、名前を聞かれたんだっけ?
GM:いや、そこまでは聞いてない。
ヴァイス:………………。
フウゲツ:名乗れよ。
シュリ:やあやあ我こそは。
ヴァイス:(すぱーんとシュリにツッコミ)
フウゲツ:……話、進めよう。
ヴァイス:「えっと……前に、会ったよね。僕はヴァイス。ヴァイス=エルミュンゼン」
銀髪の少女:「こんにちはヴァイス。──あたしはロゼ。ロゼ・ラフォン・フェルティマイア」
ヴァイス:ロゼぇ〜!? ……そっかぁ、そうだったのか……。
ユリア:………………。
ヴァイス:「僕に、何か用……?」
銀髪の少女(ロゼ):「用っていうか……あたしの姿はあなたにしか見えないんだもん」
ヴァイス:「僕にしか、見えない……?」
ロゼ:「あたしはもう、死んじゃってるから。──死んじゃってるんだけど……みんなが、オルディやミューズがあたしのことを想ってくれてるから、ここで、こうして『生きてる』んだ。……生きてるって言い方も、変だけど」
ヴァイス:「自我を、存在を保つことができてるってことか。……ここって、アーケインのこと?」
ロゼ:「そう。この不思議な空間」
ヴァイス:オルディって、あのオルディネールのことでしょ? ヴァイスは、隠者さんとして会った。
GM:そうだね。ミューズはミュスカディ(=カスタ)のこと。
ここにいないエミリー:で、結局何が言いたいワケ、この娘は。
GM:そんなに難しいことじゃないよ。誰かが自分のことを想ってくれてて、それで存在していられるのは幸せだね、って話。
シュリ:てことは……ヴァイスの中にロゼに関する記憶があるってこと?
レイチェル:記憶してるのはあの魔族の二人だろう。そしてなぜかヴァイスにだけ見えている。
ユリア:それはきっと、ヴァイスが棺桶に半分足をつっこんでるかられすよ。
ヴァイス:なるほど(笑)。
ロゼ:「別に用事があったわけじゃないの。……ただ、逢いたかったんだ」


