何とか地底湖へ続く洞窟の入口にたどりついたヴァイス。そこには既に先客が──見知った顔があった。
ヴァイス:「みんな、来てたんだ」
ユリア:「それはそうなのれすが」
シュリ:「洞窟の入り口が閉じてるの」
ヴァイス:そうなの?
GM:岩戸のようなものでふさがれてしまっているね。
ヴァイス:前は開いてた……よね?
GM:うん。
フウゲツ:何とか破壊はできないのか?
GM:ちょっと無理そうだね。
ヴァイス:先に『古の民』のところにいった方がよかったのかな……。
GM:その場合、「長がレイチェルとともに姿を消しました」という話が聞けるだけ。
シュリ:なーんだ。
フウゲツ:……重要な話なんじゃないか、それ。
ヴァイス:レイチェルと長って……まさかこの奥に?
GM:そうであろうと考えられる。──と、そこへ。
フウゲツ:ま、また『仮面』か?
GM:いや、これ(マリアルイサを指差す)。
フウゲツ:「野菜のおばさん、何でここに?」
マリアルイサ:「息子が馬鹿やってるようだから、止めにきたんだぁよ」
ヴァイス:「息子……って………………長?」
一同、大笑い。
ユリア:息子がレイチェルだったら、もっとイヤれすが。
マリアルイサ:「どれ、一言言いにいってやるかね」
GM:その気なら、岩の扉を開けることはできるよ。
マリアルイサ:簡単に開けてしまってよいの?
GM:いいよ。
岩戸の横の秘密のスイッチを押し、小さく呪文らしきものをつぶやく。
低い音とともに、扉は開いた。

「今日は場所を変えてみましょう」
エイドシックのその言葉に従い、レイチェルは禁断の地に足を踏み入れた。
『古の民』の聖地。彼女が足を踏み入れてはいけないと思っている場所。
──いつの間に設置されたのか、湖のほとりに奇妙な形の椅子が……太いコードがつながれた椅子がある。
コードの先は、暗い湖の水面の下へと消えていた。
結界発生装置とリンクするための機械。
……それだけ?
レイチェルは……エイドシックの導き従い着衣を脱ぐと、椅子に腰掛けた。
僅かな弾力と共に接続されていくプラグたち。
レイチェルは目を閉じ……モードを切り替えた。
データの流れを感じる。『意識』の流れを感じる。
レイチェル:(………………?)
今までとは明らかに異なる感触に、レイチェルはとまどった。
これまでの『結界』への干渉とは──外側への干渉とは違う。
内側への──いや、全く異質な──裏と表のような──ものへ。
横への広がり。縦への広がり。
つながっていく……。受け止め、あるいは包み、あるいは弾き。奏でる。重なる。
整然としたもの。鋭く、触れれば切れてしまいそうな、完全なる秩序。
世界は秩序だけでは成り立たない。混沌だけでも成り立たない。
混沌と秩序が交じり合ったとき、世界はその完全なる姿を現すのだ──と。
レイチェルは知った。世界のつながりを。世界の仕組みを。世界の表と裏を。
──これが、『ウロボロス』なのだと。

GM:目の前に広がる異様な光景。薄暗い広大な空間にあるのは闇色の水面をたたえた湖。そこにいるのは裸で奇妙な椅子に座らされたレイチェルと、茫然自失で湖の方を見つめているエイドシック。湖の中心からは巨大な木の根が幾本も延び、からみ、天井を突き破っている。まるで巨大な樹がそこに生えたかのようだ。
ヴァイス:(突然)「スノウぅー!!!」
一同:は……?(唖然)
ヴァイス:スノウの名を呼びながら、湖の中心へいくけど。
GM:水の中だよ? 寒いよ?
ヴァイス:構わずいく。
シュリ:目の前のレイチェルを放っておいて寒中水泳? しかもスノウって……。
ユリア:変な人だとは思ってたれすが……ついに……(合掌)。
フウゲツ:(湖の中心を指差して)「あそこにスノウがいるんだ! 声が聞こえた! 俺たちはスノウを助けねばならん!」
シュリ:フウゲツさんまで……。
マリアルイサ:そしてアタシも。
ヴァイス:おばさんも来るの?
マリアルイサ:ママーンがやらねば誰がやる。
GM:それはママーンではなくキャシャーンでは。──湖の方へいくの?
マリアルイサ:いや、息子のところへ。
GM:ちょっと現在の状況を整理すると──ヴァイスとフウゲツが湖の方へ向かったけど、まだ水には入ってない、と。
ユリア:ユリアは自分ができることをやるれす。長のところへいって、取り押さえるよ。ふわっと回転するように投げて、地面に押さえつける。(コロコロ)成功してる。
GM:それは抵抗できないな。
マリアルイサ:ママーンもそちらへ。
シュリ:あたしはレイチェルのところ。
レイチェル:私は、動けないのか?
GM:レイチェルは動けない。人間だと意識不明の状態だから。
シュリ:じゃあ……パソコンに詳しくない人がやる、対処方法をやろうか。
ヴァイス:それって……いきなりコンセントを抜く、とか?
シュリ:レイチェルが座ってる椅子のコードを、抜いてみる。太さってどれくらい?
GM:直径20センチぐらい。
シュリ:(コロコロ)判定は失敗。
GM:ちょっと力不足だったのかな。
ユリア:長をママーンに託したら、ユリアも手伝うれす。
GM:じゃあ行動が一巡りして……ヴァイス、どうする?
ヴァイス:マントとか上着とか邪魔なのものを脱いで……水の中に飛び込む。
GM:ますます理解不能な行動を(笑)。
シュリ:ホントにねえ。
ヴァイス:まあ……確かにハタから見れば意味不明だろうけど……。構わずいく。
マントを取り、上着を脱ぐ。腹部には、まだ大きな傷痕が残っている。そして、背中にも。
シュリ:背中の傷も自分で刺したの?
GM:いや、これは昔のもの。大きな爪で斬られると同時に焼かれたようなヒドイ傷痕で、今でもくっきり4本、筋が残っている。
ユリア:背中に傷、というのが、いかにもらしいれすね。
ヴァイス:ほっとけ! GMに勝手に加えられた設定なんだから。
GM:ホントは5話で男湯のシーン出して、そこで明かすはずの設定だったんだけどね。


