FINALACT[ぼくのセカイがおわるとき] 07


 何とか地底湖へ続く洞窟の入口にたどりついたヴァイス。そこには既に先客が──見知った顔があった。
 

ヴァイス:「みんな、来てたんだ」

ユリア:「それはそうなのれすが」

シュリ:「洞窟の入り口が閉じてるの」

ヴァイス:そうなの?

GM:岩戸のようなものでふさがれてしまっているね。

ヴァイス:前は開いてた……よね?

GM:うん。

フウゲツ:何とか破壊はできないのか?

GM:ちょっと無理そうだね。

ヴァイス:先に『古の民』のところにいった方がよかったのかな……。

GM:その場合、「長がレイチェルとともに姿を消しました」という話が聞けるだけ。

シュリ:なーんだ。

フウゲツ:……重要な話なんじゃないか、それ。

ヴァイス:レイチェルと長って……まさかこの奥に?

GM:そうであろうと考えられる。──と、そこへ。

フウゲツ:ま、また『仮面』か?

GM:いや、これ(マリアルイサを指差す)。

フウゲツ:「野菜のおばさん、何でここに?」

マリアルイサ:「息子が馬鹿やってるようだから、止めにきたんだぁよ」

ヴァイス:「息子……って………………長?」
 

 一同、大笑い。
 

ユリア:息子がレイチェルだったら、もっとイヤれすが。

マリアルイサ:「どれ、一言言いにいってやるかね」

GM:その気なら、岩の扉を開けることはできるよ。

マリアルイサ:簡単に開けてしまってよいの?

GM:いいよ。
 

 岩戸の横の秘密のスイッチを押し、小さく呪文らしきものをつぶやく。

 低い音とともに、扉は開いた。

 時間は少しさかのぼる。
 

 「今日は場所を変えてみましょう」

 エイドシックのその言葉に従い、レイチェルは禁断の地に足を踏み入れた。

 『古の民』の聖地。彼女が足を踏み入れてはいけないと思っている場所。

 ──いつの間に設置されたのか、湖のほとりに奇妙な形の椅子が……太いコードがつながれた椅子がある。

 コードの先は、暗い湖の水面の下へと消えていた。

 結界発生装置とリンクするための機械。
 

 ……それだけ?
 

 レイチェルは……エイドシックの導き従い着衣を脱ぐと、椅子に腰掛けた。

 僅かな弾力と共に接続されていくプラグたち。

 レイチェルは目を閉じ……モードを切り替えた。

 データの流れを感じる。『意識』の流れを感じる。
 

レイチェル:(………………?)
 

 今までとは明らかに異なる感触に、レイチェルはとまどった。

 これまでの『結界』への干渉とは──外側への干渉とは違う。

 内側への──いや、全く異質な──裏と表のような──ものへ。

 横への広がり。縦への広がり。

 つながっていく……。受け止め、あるいは包み、あるいは弾き。奏でる。重なる。

 整然としたもの。鋭く、触れれば切れてしまいそうな、完全なる秩序。

 世界は秩序だけでは成り立たない。混沌だけでも成り立たない。

 混沌と秩序が交じり合ったとき、世界はその完全なる姿を現すのだ──と。

 レイチェルは知った。世界のつながりを。世界の仕組みを。世界の表と裏を。

 ──これが、『ウロボロス』なのだと。

 地底湖へ突入した一行が目にしたのは──
 

GM:目の前に広がる異様な光景。薄暗い広大な空間にあるのは闇色の水面をたたえた湖。そこにいるのは裸で奇妙な椅子に座らされたレイチェルと、茫然自失で湖の方を見つめているエイドシック。湖の中心からは巨大な木の根が幾本も延び、からみ、天井を突き破っている。まるで巨大な樹がそこに生えたかのようだ。

ヴァイス:(突然)「スノウぅー!!!」

一同:は……?(唖然)

ヴァイス:スノウの名を呼びながら、湖の中心へいくけど。

GM:水の中だよ? 寒いよ?

ヴァイス:構わずいく。

シュリ:目の前のレイチェルを放っておいて寒中水泳? しかもスノウって……。

ユリア:変な人だとは思ってたれすが……ついに……(合掌)。

フウゲツ:(湖の中心を指差して)「あそこにスノウがいるんだ! 声が聞こえた! 俺たちはスノウを助けねばならん!」

シュリ:フウゲツさんまで……。

マリアルイサ:そしてアタシも。

ヴァイス:おばさんも来るの?

マリアルイサ:ママーンがやらねば誰がやる。

GM:それはママーンではなくキャシャーンでは。──湖の方へいくの?

マリアルイサ:いや、息子のところへ。

GM:ちょっと現在の状況を整理すると──ヴァイスとフウゲツが湖の方へ向かったけど、まだ水には入ってない、と。

ユリア:ユリアは自分ができることをやるれす。長のところへいって、取り押さえるよ。ふわっと回転するように投げて、地面に押さえつける。(コロコロ)成功してる。

GM:それは抵抗できないな。

マリアルイサ:ママーンもそちらへ。

シュリ:あたしはレイチェルのところ。

レイチェル:私は、動けないのか?

GM:レイチェルは動けない。人間だと意識不明の状態だから。

シュリ:じゃあ……パソコンに詳しくない人がやる、対処方法をやろうか。

ヴァイス:それって……いきなりコンセントを抜く、とか?

シュリ:レイチェルが座ってる椅子のコードを、抜いてみる。太さってどれくらい?

GM:直径20センチぐらい。

シュリ:(コロコロ)判定は失敗。

GM:ちょっと力不足だったのかな。

ユリア:長をママーンに託したら、ユリアも手伝うれす。

GM:じゃあ行動が一巡りして……ヴァイス、どうする?

ヴァイス:マントとか上着とか邪魔なのものを脱いで……水の中に飛び込む。

GM:ますます理解不能な行動を(笑)。

シュリ:ホントにねえ。

ヴァイス:まあ……確かにハタから見れば意味不明だろうけど……。構わずいく。
 

 マントを取り、上着を脱ぐ。腹部には、まだ大きな傷痕が残っている。そして、背中にも。
 

シュリ:背中の傷も自分で刺したの?

GM:いや、これは昔のもの。大きな爪で斬られると同時に焼かれたようなヒドイ傷痕で、今でもくっきり4本、筋が残っている。

ユリア:背中に傷、というのが、いかにもらしいれすね。

ヴァイス:ほっとけ! GMに勝手に加えられた設定なんだから。

GM:ホントは5話で男湯のシーン出して、そこで明かすはずの設定だったんだけどね。



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