リトナ:(下がって身構える)
ビオ:避けようとするが。
GM:動きは直線的だから避けられるだろう。人型魔族は、トカゲたちと同じように血走った目をビオに向ける。
リトナ:さて、何事?
GM:単に、想像以上にタフだった、ってことではないかと。
ヴァンダイク:活け作りになっているのに元気だな。
ビオ:じゃあ、ハルバードで攻撃。
GM:ザックリと突き刺さるハルバート。まだ解除されてなかった魔法のせいで、人型魔族は灰になった。
ビオ:魔法解除してなかったか。
リトナ:誰でも灰になっちゃうの?
GM:トカゲにしか発動しないはずの魔法が発動した。
リトナ:じゃあこいつはトカゲだ。
ビオ:違うだろ(笑)。
GM:トカゲに、というのがそもそも語弊なんだけどね。”ある条件下の”トカゲに、効く魔法、だから。
リトナ:トカゲ風味のものに。
ビオ:「な、なんだ……?」
GM:ビオの疑問に答えられる者は、誰もいない。
ヴァンダイク:赤いものに反応する。
リトナ:猫が人になるんだからトカゲが人になっても不思議はないかと。
ビオ:おまえは特別。
リトナ:そうなの?
ビオ:違うのか?
リトナ:厳密には魔族じゃないっちゃあ魔族じゃないけど。てゆーか、言ってしまえばただの化け猫? 化け猫が人になれるのは自然の摂理。
ビオ:そうだ人間の女は無事か? ……無事じゃないか。
ヴァンダイク:ごめん。
ビオ:きさまっ!
GM:いつの間に(笑)。
リトナ:まぁ、舐めるくらいなら。
ビオ:よくないよくない。
ヴァンダイク:毒を吸い出そうとして吸いすぎた。
リトナ:……何の?
ビオ:毒なんかねーし。
GM:で、事件としては、これで解決なのだ、が。
ビオ:ドモは気絶か。
リトナ:フリーズしてるようだ。
GM:どうもドモ・ルールは最近不安定なようだね。
リトナ:ま、ドモさんはどうでもいいや。――娘を連れて帰ろう。
ビオ:早く帰らねーとな。でも俺は、さっきの人型が灰になったのが気になって仕方がない。
リトナ:帰り道ヒマだし……ビオさん、何かワケアリなら語れ!
ヴァンダイク:まあ、トカゲにはトカゲの事情があるのだろう。
リトナ:気になるー。
ビオ:語れ! って言われてもな……。
リトナ:どういうことか教えちゃらんですか?(丁寧に)
ヴァンダイク:問題は彼らが帝国民であったかどうか。
ビオ:そんなのは問題じゃない。
ヴァンダイク:家畜泥棒を帝国法に基づいて裁いたことになるのか、敵国民との戦闘行為かというのが今回の件でワシが気になるところ。
ビオ:オゥリンは家畜じゃねえよ。
リトナ: ヴァンさんの話は後で聞くよ。
ヴァンダイク:別に聞いてくれなくてもよいが。
リトナ:「で、ビオさん?」
ビオ:「あー、えーとだな」
リトナ:「うん」
ビオ:「あまり言いたくはないんだが、そういうワケにもいかねぇか」
リトナ:「うん」
ビオ:「俺、トカゲだろ?」
リトナ:「トカゲだね」
ビオ:「トカゲ族にはよ、ときどきヘンなのが生まれるんだ」
リトナ:「ヘンなの? ビオさん以上に?」
ビオ:「んだとこら!」
ヴァンダイク:こんなに赤いのに。本来TのところがCになっていたりするのか。
リトナ:「で、ビオさんが変な風に生まれて、それから?」
ビオ:「…………。ちいせぇガキのうちは分かんねぇんだけど、20歳くらい(人間で10歳ぐらい)になると、急に『ラーヴ』を飲みたがるようになるんだ。俺たちの種族は、『ラーヴ』なんてあまり飲まねぇんだけどよ。……ヘンだろ?」
ヴァンダイク:大人の階段を一歩上る。頂上は崖で上がりきると転がり落ちる。
リトナ:「オレたちでいう150歳くらい(人間でいうと600歳くらい)になると急に灯明の油を飲みたくなるようなもんだね」
ヴァンダイク:ワシの産湯は『ラーヴ』だったがね。
ビオ:「……なんだよトーミョーって」
リトナ:「神社の祠の神棚の隣にある明かりのことだよ」
ビオ:「ジンジャ……?」
リトナ:「皿に油が入れてあって、紙をよって作った芯に火をつけて明かりを取るの」
ビオ:「ああ、そういうのか。ランタンって言えよ」
ヴァンダイク:カツオ食うときとかの薬味に。
リトナ:「和猫なのでね」
ビオ:「ワ、ってか。お前あんなくせえ油飲むのか?」
リトナ:「んー、オレはあの油あんまり好きじゃない」
ヴァンダイク:胃薬にも。
リトナ:「たまに無性に飲みたくなることはあるけどね」
ビオ:「そうか? 水と間違えて飲んだことあるが、ありゃひでぇ。やっぱお前も相当ヘンだな」
リトナ:「そう? ……でもトカゲが『ラーヴ』飲まないってことの方がある意味不思議だけどね」
ビオ:「そりゃそうだろうな」
ヴァンダイク:本来トカゲ族は『ラーヴ』を分解する酵素がないので食うと鱗がはげる。
リトナ:「でも何でトカゲって『ラーヴ』飲まないの?」
ビオ:「いや、俺もよくは知らねぇけどよ、そうらしいんだわ。まぁ、俺はそれでいいと思ってるけどな。でよ、ヘンなのはまだあるんだ」
リトナ:「まだあるんだ」
ビオ:「そいつら、『ラーヴ』飲むと、ラリって暴れるうえに、妙に力が強くなって、抑えられねぇんだ」
リトナ:「力も強くなるんだ……」
ビオ:「普通『ラーヴ』飲んでも、あそこまで強くはならねぇってくらい、な。ラリってハイになるだけだろ、普通。そんでよ、なんか、こういうのは、昔からの、なんか<呪い>のせいだって言うんだよ」
リトナ:「呪い、ねぇ。伝承か何かあるわけ?」
ビオ:「デンショー? いや、聞いた話だけど、ホントらしい」
リトナ:「へー」
ビオ:「でな、このハルバードには、その呪いを解除する魔法がかかっててよ、こいつで突くと、ヤツらは灰になるわけだ」
リトナ:「へー」
ビオ:「でまぁ、俺はずっと、そいつらを探して退治してるわけなんだけどよ」
リトナ:「そーなんだ」
ビオ:「もう数が少なくなってきたと思ってたら、いま久しぶりに見たってわけだ」
リトナ:「なるほどねぇー」(長話にそろそろ飽きてきた)
ビオ:「………………、でもこの呪いは、トカゲ族しかかからないはずなんだよな……。さっきの人型、ありゃなんなんだ。あんなのが増えたらやべぇことになる」
リトナ:「トカゲ族の村で育った人型にはかかるかもね」
ビオ:「いや……。生まれたとき、既に呪いにはかかってるらしい。イデンとか言うやつで。だから、呪いにかかってるのが分かったガキは、始末されるんだよ……」
ヴァンダイク:呪いにかかっているメーヴェの脳を食すと人型にも感染。
リトナ:「トカゲ形態が劣性遺伝だとしたら人型で生まれるトカゲ族が出てきてもおかしくないよね」
ビオ:トカゲと人型は全く別だろ?
GM:別です。
リトナ:「それは分かんないよ。トカゲ内だけで交配を繰り返した結果いわゆる雁首効果である特殊な表現型が頻発する可能性は否定できない」
ビオ:「…………お前俺をからかってるのか? 何語だ、それは」(←話がよく分からなかった)
ヴァンダイク:そのある種の遺伝病が人型にも何らかの形で感染するということがありうるかもしれん。
ビオ:「………………(←またよく分からなかった)。まぁ、なんかヤバいことが起こってそうだ。――だあっ、だから近づくなと言ってるだろう猫!」
リトナ:「つれないなぁ」
GM:そろそろ村が見えてきたよ。
リトナ:村長は?
GM:元気ですが。
リトナ:よかった。
ビオ:「おい、村長のおっさん! 助けてきたぞ」
GM:「おお、ありがとう、トカゲの人」
リトナ:「食料」
ビオ:「食料分けてくれねぇか?」
村長:「おお、そうでしたな。誰か、こちらの方たちに食料を。……で、トカゲたちはどうなりましたか?」
ビオ:「ああ……、ぶっ殺してきたよ」
リトナ:「灰になりました」
村長:「灰に?」
ビオ:リトナを蹴飛ばす。
リトナ:おう?
GM:吹き飛ぶリトナ。瀕死。
ビオ:あっ、やべっ!
リトナ:そこはほれ、マトリクス風に。
村長:「?」
ビオ:「いやいやいやいや、なんでもねぇ、こっちのことだ。……あ、おっさんよぉ、『サエ』を知らねえか?」
村長:「サエ? <黒巫女>の沙枝様ですか?」
ビオ:「おお、それだそれだ。何か、知ってんのか?」
村長:「いえ……随分前に、行方不明になったとしか……」
ビオ:「そうか……」
リトナ:「ビオさん、そろそろいこうよ」
ビオ:「そうだな、いくか。……サエのことは、またどっかで分かるだろ」
また会えるはずだ……沙枝に。自分の<呪い>を解いてくれた彼女に。

ヴァンダイク:むう……キャラによって、というかワシはだいぶ人間に対する見方が違うようだ。
ビオ:だなー、いずれ、俺とおっさんはマジ衝突しそうだ。
リトナ:おお、怖い。
GM:そのへんをほのめかしつつ、ハッピーエンド。
ビオ:ハッピー?
GM:ハッピーかい?
リトナ:さいこですかー?
ビオ:そこに愛はあるの会?
リトナ:心にダムはあるの会?
ヴァンダイク:何か牛姫に関して忘れていることがある気がするが、わざとだから仕方がないな。
リトナ:おお、そういえば。
GM:アリアのところに戻ってみると、キュアは回復してるよ。突然、ウソのように頭痛がしなくなったらしい。
一同:ちっ(舌打ち)。
GM:そして君たちはいよいよ塩湖へ――ってことで、ACT8.5は終了です。
ビオ:おつかれー。
リトナ:おつかれ〜。
GM:おつかれさまー!


