オルディネール:「ええ……。私はもう、役には立てませんから。それに──もっと大切なことが、あるんです」
ニーナ:「ラグランジェを、探すんだね」
オルディネール:「──私たちがまだ魔界にいた頃……。私たち6人は『六葉』として、<帝国>の姫につかえていました。
魔界にも、<帝国>があるんです」
ニーナ:「話だけなら、聞いたことがある」
オルディネール:「ラグランジェが魔界を『追放』され、ミュスカディとロートシルトが人間界に行った後、内乱が起きました。
国内は乱れ、姫は……命を落とされました。私は、姫を守れなかったんです。ラグランジェが愛した姫君を……」
ニーナ:「………」
オルディネール:「人間界に来て、ミューズに会いました。そして、カスタにラグランジェが元気であることを聞きました。
『心』も、治り始めていると。でも……ラグランジェはルルーさんに出会い、一緒に旅をし……そして……」
ニーナ:「オルディ、あなた……」
オルディネール:「私はロゼを救えませんでした……。ツェラーの心も、分かってあげられなかった……。
ミューズも、ロートも、助けられなかった……。これで……あのひとを失ってしまったら私は……」
ニーナ:「……………」
オルディネール:「……………」
ニーナ:「……………」
オルディネール:「……………」
ニーナ:「……………」
オルディネール:「……………駄目だ」
ニーナ:「見つから……なかったの……?」
オルディネール:「ラグランジェは……『紫の中空』にいます……。彼は、私の手の届かないところへ、行ってしまった……」
……アイ……?
……愛すること……姫を……? いや……ラズリ、さん……?
――何があっても……何を犠牲にしても……あの子の幸せを願ってくれますか?
……幸せ……それは死ぬこと?
……幸せ……それは守ること?
――そう……。守ってください、あの子を。永遠の呪縛から。私たちが犯した罪から。
……マモル……?
……守る……。ボクは、ロゼを守れなかった……。だから……
……だから……マモル?
……そう……守る……
……違う。ラズリを守るんだ。
……ラズリ……ヲ……マモル……ノカ?
……そう、守るんだ。守らなくちゃいけない。守らなくちゃ……
──ラズリさんだけは、ボクが守らなくちゃいけない──
GM:さて、フローラとクロヌシはどうしてるのかな?
フローラ:疲れてるからな。その辺に座ってぼーとしてる。
GM:そうすると上空に人影が見えるよ。ふたつ。ひとり──いや、ふたりとも見覚えがあるね。
フローラ:ほーう。今頃出てくるその人はひょっとして──
ラズリ:クレリア、だったりする?
GM:よく分かったね。その通りだよ。
クレリア:「噂の魔獣もたいしたことなかったようですね。たかが大質量攻撃に敗れるなんて」
GM:などとのたまいながら降りてくる。よく見ると──よく見なくても分かるけど──クレリアは老けちゃっている。
40歳ぐらいに見えるね。
フローラ:なんと、オバンクレリアか!
GM:まあそうなんだけど……あんまりオバンオバンって言わないで(笑)。
クロヌシ:もうひとりは誰なんだ?
GM:もうひとりも──クレリアだよ。黒いごてごてした服に黒マントという格好。こっちは若い。
一同:は……?
GM:知力で判定してみて。
フローラ:(コロコロ)成功してる。
GM:顔はクレリアなんだけど──その紅い瞳に見覚えはないか? 誰かに似てないか?
フローラ:ひょっとして……グレン?
ラズリ:あう……なんか、聞きたくなかった……。
クレリア:「さて、人数が足りないようですが……まあいいでしょう。
クロヌシさん、フローラさん、歴史の証人になってください。私の娘が神を倒すところを、そこで見ていてください」
クロヌシ:「娘、か……」
ラズリ:てことはグレンと──え〜!?
GM:グレンの名誉のために言っとくけど──体外受精だから。
オペリオ:♪それはそれで問題があるんじゃ……♪
GM:いや、だから遺伝子をだね──えーい、もういいや。とにかくそういうこと。
グレンとクレリアの血を引いてるってことが分かればよし!
クロヌシ:名前は?
GM:決めてない。ダーククレリア?
オペリオ:♪グレリア(笑)♪
GM:グレリア……(笑)。うし、グレリアでいいや。
ラズリ:でも……娘って、計算合わないよ?
GM:それはこれから説明しよう。
『ホフヌング』が──と言うより『白寿の長老』たちがはるか昔から進めてきた計画があった。
「神に勝てる人間を造り出す」計画だ。
『雪の神子』の力によって神々の戦いが起こることを知った長老たちがずーっと進めてたんだ。
ガルフ:その犠牲者になったのがオレや、グレンだ。
GM:そう。計画の全てをかけたGシリーズ。そして「永遠の母(エターナルマザー)」の誕生。
ラズリ:エターナルマザー?
GM:ある時、何の力も持たない女の子が産まれた。
失敗作かと思われたんだけど──この娘と男性を掛け合わせると非常に能力の高い子供が産まれることが分かった。
その他にもいろいろな女性がいたんだけどその娘には及ばなかった。
つまり、その娘は『最高』の母親だったんだ。
ガルフ:…………。
GM:その娘は死なない体にされ、ずっと子供を産み続けた。それが「永遠の母(エターナルマザー)」──クレリアだ。
ガルフ:グレンは、もともとクレリアの息子だったんだ。
ラズリ:じゃあ、ガルフも?
ガルフ:いや、オレは違う。オレは姉さんとふたり、スカウト組だったから。
GM:今から8年前、クレリアが行方不明になった。
ナタリーは──実はナタリーもクレリアの娘なんだけど──クレリアを捜し出したんだけど、彼女は記憶を無くしていた。
で、仕方がないから記憶が戻るまでタカール修道院で自分の娘として育てたんだ。わずか1年足らずの間だったけどね。
でもだからこそクレリアは自分が「年を取らない体」だということに気づかなかった。
そして、後は知っての通りってワケ。
フローラ:この間の昏睡状態のときに記憶を取り戻したんだな。
GM:そゆこと。で、『ホフヌング』は焦った。
思わぬアクシデントでクレリアが5年も海底宮にいたもんだから『計画』が間に合わなくなったんだ。
ラズリ:それはひょっとしてあたしたちのせい?(笑)
GM:そこでナタリーはもうひとつの計画──『魔獣』復活の方を進めていった……。
ガルフ:なるほどな……。
クロヌシ:だがそうすると、このグレリアは何なんだ?
GM:クレリアいわく、Gシリーズの最後の一人。──と言っても彼女を身ごもったのは君たちと別れた後だよ。
ラズリ:ん? 別れてからそんなに時間経ってないよ?
GM:海底宮にあった時間の流れを操る装置──あれを使ったんだ。あれでグレリアを短期間で育て上げたの。
んで、体がもう限界だったんだろうね。クレリアの体を、老いが少しずつむしばみ始めた。
ガルフ:そこまでして神を倒したいのか……?
クレリア:「全ては──この世界を救うためです」
クロヌシ:「で、なんだ。俺たちに見届けろって?」
クレリア:「ええ、そこで、見ていてください」
GM:そう言うと、グレリアの手を握り、
クレリア:「今から私の最後の力をあげます。これであなたはより『完璧』になる……」
グレリア:(干からびたクレリアの、頭をぐちゃっと踏み潰して)
「あいにくだけど私は神と戦うつもりなんてないわ」
フローラ:あ、ぐれてる……。
グレリア:「でも──自分の力がどれほどのものなのかは試してみたいわね。
(フローラとクロヌシを見て) さて、どちらが先に私の犠牲者になってくれるのかしら?」
クロヌシ:(吸い殻を投げ捨てながら)「まったく……。ワケの分からん連中ばかりだぜ……」
フローラ:(懐から酒を取り出してくいっとあおり)「──飲む?」
クロヌシ:「ああ……。(刀に酒を吹きつけて) さて、それじゃ──」
フローラ:「いくとしますか……」
グレリア:「フフフ……。ウフフフフフ……」
