その帰りに、公園を通った。
公園と言っても遊ぶものはほとんどなく、だだっぴろい草原が広がっているだけなのだが。
──昔はここで遊んだりもしたな──
アヴァロンは目を細めた。
小さな丘の上の大きな木。その向こうに夕日が見える。
黄金の光に目がくらみ、少し目をそらしたそのとき──
木の根元に少女が座っているのに気づいた。
膝を抱え、じっとこっちを見ている──気がする。
──さっき会った?──
離宮にいた少女によく似ている。
いや……違うか……。
服装が、髪形が、雰囲気が……違う。
だけど……
──どこかで会った──
ひとつの名が浮かぶ。
「……ソフィア……?」
「王子、どうかしましたか?」
「あ、いや、ちょっと……」
タナトスにあいまいな返事を返し、木の根元に視線を戻す。が──そこにはもう、誰もいなかった。
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アールマティ王宮 王子の部屋──
ヒイラギ:「王子王子」
アヴァロン(アルバス):「ん?」
ヒイラギ:「明日はいよいよ『成人の儀』ですね。王子ももう16歳かァ」
サラ(サリース):ふーん、そうなんだ。
アヴァロン:元服ってヤツだな。
ユナ:切腹?
アヴァロン:腹切ってどーする(笑)。
GM:『ヒーメル』は成人するまで空を飛べない。『成人の儀』を経て、晴れて空を飛べるようになるのだな。で、王族はそのへんをちょっとおごそかにやる。
サラ:王子って『ヒーメル』だったの?
GM:言ってなかったっけ? 君らはみんな『ヒーメル』だよ。
ヒイラギ:「で、儀式のときにパーティーも行うんです。衣装合わせをしますから、こちらへいらしてください」
サラ:(ペロリと唇を舐めて)その前に別の成人式もすませちゃおうか?
GM:君は毎晩アヴァロンのベッドに忍び込んで失敗してる(笑)。
アヴァロン:それに君の知らないところで済んでるかもよ、成人式。
サラ:げげッ!
アヴァロン:(フッと笑って)さ、いきましょうか。
GM:衣装部屋に行くと、ドレスを着たユナがいる。大司祭の娘である彼女も当然パーティーには出席するからね。
ユナ:(くるくるっと回って)「にゃ♪ 王子、どうですか?」
アヴァロン:「よく似合っているよ」
サラ:よくもまあそんなセリフを……。
アヴァロン:今はアルバスじゃないし。
ヒイラギ:「さ、王子が着替えるからユナは外に出てようね」
ユナ:「にゅううう……」
ヒイラギ:「……見てもしょーがないでしょ?」
サラ:「そうよ、おこちゃまには10年早いわよ」
ヒイラギ:「──と言いつつなんでアナタがこんなとこにいるの?」
サラ:「いや、着替えでも手伝おうかなァ、なんて」
ヒイラギ:「出てけェ!」
その頃、別室では──
タナトス(GM):「ゲオルギウス、この間見つけたお墓のようなモノを覚えているか?」
ゲオルギウス(ゼナ):「離宮に行くときに見つけたアレか?」
タナトス:「ああ。で、あの後調べてみたんだが……『柩』はあったものの、死体や骨はなかったらしい」
ゲオルギウス:「墓じゃなかったってことか?」
タナトス:「分からん。……それから……『箱』が見つかったらしい」
ゲオルギウス:「箱?」
タナトス:「ああ、両手で持てるぐらいの、凝った装飾がしてある箱だそうだ」
ゲオルギウス:「箱は開いたのか?」
タナトス:「いや、開いてない。だからとりあえず離宮の王妃様に預けてきた」
ゲオルギウス:「なぜ? 私が調べてもよかったのに」
タナトス:「いや……彼女はそういう方面にお強いから」
ゲオルギウス:「そうか……。分かった」
タナトス:「話はそれだけ……っと、大事な話を忘れるところだった。──ゲオルギウス、お前がここに来る前に宰相だった男がいただろう?」
ゲオルギウス:「ああ、元宰相のジジイか。アイツがどうかしたか?」
タナトス:「第何位だかの王位継承者を使って王位を狙ってるという噂を聞いたんだが……何か聞いてないか?」
ゲオルギウス:「いや、特には……。……それが本当なら調べてみる必要がありそうだな……」
タナトス:「ああ、気をつけろよ。命を狙われる可能性だってあるんだからな」
ゲオルギウス:「私に限って、そんなことにはならんよ」
タナトス:「相変わらずの自信家だな、お前は……」
ゲオルギウス:いえいえ、お代官様ほどでは(笑)。
GM:……なんて会話があった。
ユナ:箱……かあ……。
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GM:ではパーティー当日である。女性陣は華やかにドレスアップしてる。ユナにヒイラギに……サラは参加できるのかな?
サラ:ウェイトレスでもやっとくわ。
オラクル(オードー):おら、ウェイター。
アヴァロン:お前はただの使用人。外で薪でも割ってろ。
GM:ゲオルギウスにタナトスも正装してる。で、さっき話に出た元宰相が、少女を連れて出席してる。王子に挨拶してくるよ。
ゲオルギウス:(小声で)「噂をすれば、か……」
タナトス:(同じく小声で)「あの男から目を離すなよ」
GM/元宰相:「これはこれは王子、この度はおめでとうございます。──さ、お前も挨拶なさい」
GM:と言われた娘が、この間公園で見かけた少女。名前はソフィア。
ソフィア(リューセ):王子様に謁見するのね。「ご機嫌うるわしゅうゥ〜」
アヴァロン:「よく来てくださいました。ごゆっくりお楽しみください」
ソフィア:「ありがとう、感謝いたします」
サラ:うー、いいなァ……。
オラクル:おら、薪割り中。
アヴァロン:オーケストラの合間に、薪割りの音が(笑)。
ユナ:じゃ、第九を演奏してもらお。……おかしいね、キコリなのに大工なんて。
GM:「まあ一杯どうぞ」とかいいながら、元宰相がお酒をついでくるよ。
アヴァロン:こりゃどうも。ゴクゴクゴク。
ゲオルギウス:王子ィ〜少しは警戒してください〜!
GM:アヴァロンは単純にお酒に弱いからね。
アヴァロン:そうなのか。なら……(口に含んだ酒を杯に戻して)ご返杯です。
GM:……キタナイなァ……。
ゲオルギウス:……ホントにやるんですか……?
アヴァロン:さすがにやらない。
ゲオルギウス:王子にこそっと耳打ちする。「王子、気をつけてくださいよ。誰が狙っているか分かりませんから」
アヴァロン:「さすがにここでは狙ってこないでしょう」──てことでグビグビグビ……くっっはァ〜ウマイ!!
ゲオルギウス:……王子、飲み過ぎ……。
GM:んで、タナトスがこそっと離宮の王妃と話をしていたりする。
オラクル:そういう関係だっただか!
ゲオルギウス:例の『箱』のことでも聞いてるんじゃないか?
GM:──さてアヴァロン。調子にのって飲み過ぎたのか、ちょっと気分が悪くなってくる。
サラ:よし! あたしが介抱してあげる!
アヴァロン:お前の助けは借りん。
サラ:……なーんかあたしにだけ冷たい……。
アヴァロン:テラスで風に当たっていよう。
GM:テラスに行くと、ソフィアがいたりするんだな。
サラ:ほうほうほうほう。
ソフィア:「あら王子様」
アヴァロン:「楽しんでいますか?」
ソフィア:「ええ、おかげさまで。……ご気分いかがですか?」
アヴァロン:「最悪です」
ソフィア:「それはいけませんねェ。そうだここに…………ゲ○袋が(笑)」
アヴァロン:「おお、これはまた見事なゲ○袋だ。このような美しいゲ○袋は見たことがない」
ソフィア:「我が家に代々伝わるモノです(大嘘)。どうぞお使いください」
アヴァロン:「そのような大事なモノ、使うワケにはいきません」
ソフィア:「そんなことおっしゃらずに。さ、どうぞどうぞ」
GM:(……ロマンチックな会話を期待した私がバカでした。でもゲ○袋はないだろうゲ○袋は……)そうやっておバカな話で盛り上がってると、だ。
ヒイラギ:「王子、そろそろ『成人の儀』が始まりますよ」
アヴァロン:「うゥ〜っす!」


