OP.3[夜毎、神話がたどりつくところ]-a tale for you- 08


 この星で生物が生きていける場所は、そんなに広くない。せいぜい、赤道付近だけだろう。

 この星のほとんどは<混沌の闇>に覆われており、混沌の力が荒れ狂うその中心──北極点の位置に、<星守の聖地>はあるという。

 そこは混沌が生まれ、そして収束する場所でもある。
 

アリア:「そんな場所があるんだ」

沙夜:「あたしたち星守にだけ伝わる、伝説の地。その地にある<螺旋の門>が、混沌の力を制御している」

リトナ:「混沌を制御──どこかで聞いたような話だね」

沙夜:「でも、今この星の<螺旋の門>は失われてるの。<秩序>を失った<混沌>が際限なく溢れ出し……アルカディアは今の姿となった」

アリア:「大丈夫! その<門>を持ってきたから!」

ドモ・ルール(さっそくスティールの身体を乗っ取った):「<ウロボロス・システム>ってヤツだな」

GM:ウロボロスシステム。別名、秩序の円環。

沙夜:「鍵も扉もある。……でも、鍵穴がない」

ヴァンダイク:「なるほど……<混沌収束点>か。鍵と鍵穴はもともとひとつの場所にあった。牛姫様の角と額の穴だ。そしてそれを扉のところで再びひとつに……シュールだ」

GM:大体分かってもらえたかな?

ヴァンダイク:その『儀式』には、鍵穴さえあればよいのかな?

GM:ん?

ヴァンダイク:持って歩くのが重いので、鍵穴──キュアの頭──だけ持っていけばいいのか、と。デビルマンの最後みたいに。

GM:理屈で考えればそれでOKだろうけど……さすがにそれはどうなんだろう?

ヴァンダイク:さあ。

GM:ちなみに、<星守の聖地>は召喚獣の故郷でもある。

アリア:へー。

リトナ:その聖地とやらは北極点にあるんでしょ? 随分遠くから配達してたんだねえ。

GM:そだねえ。北極点を目指すなら、北に……<氷の大河>を超えていくことになるね。さっきも少し話したけど、<帝国>とその周辺三国以外は──この4つの国は赤道付近にあるんだけど──黒い霧のようなものに覆われており、普通に歩いて進むのは難しい。

アリア:でも、『誰か〜がこれを〜やらね〜ばならぬ〜』(宇宙戦艦ヤマト)だよね?

ビオ:誰がいくんだ?

アリア:やっぱりあたしたち、じゃない?

GM:レイチェルも関係あるんだけど。

ドモ・ルール:<螺旋の門>とやらが<ウロボロス・システム>なら、当然そういうことになるな。

レイチェル:ふむ。

GM:やるべきことをまとめると……<秩序の円環>と<混沌収束点>と<混沌の剣>を<星守の聖地>の<螺旋の門>があった場所まで運ぶ。<秩序の円環>が扉、<混沌収束点>が鍵穴、<混沌の剣>が鍵となり、<螺旋の門>は閉じられる。

リトナ:閉じるとどうなるんだ?

GM:暴走していた混沌の力の流れが制御され、星の崩壊が止まる。

アリア:それでアルカディアが救われる! ──よし、いこう!!!

ドモ・ルール:てことはなんだ、<真なるアルカディア>を探してたのは無駄足だったのか?

GM:<ウロボロス・システム>を運んでくることができたよ。

ドモ・ルール:それは結果論だろう。

GM:お手本となる星を見ることができた。

リトナ:平和そうに見えても、実際住んでみるといろいろ問題があるんだけどね。

GM:良くも悪くも手本にするということで。

アリア:よし、じゃあすぐにでも出発しよう! 幸い、とっても速そうな『船』もあるし!

ゼナ:なんか怪しい人たちが来ますよ?(笑)

アルバス:逃げろゼナ、『船』を出せ!(笑)

リューセ:神パワーって、こっちでも使えるの?

GM:(考えて)使えるねえ。

リューセ:わーい、やりたい放題〜。

GM:(苦笑)

アルバス:なんだ、神パワーって。

リューセ:なんだろうね。理不尽な力?

ヴァンダイク:指をクンッと上に向けると地面が大爆発。

GM:そんなナッパレベルの力じゃねーッス(笑)。

アルバス:とにかく逃げろ、ゼナ(と言いながら給湯器のスイッチを押す)。

ゼナ:アルバスさん、それ違います。

トパーズ:話だけも聞いてみたら?

ゼナ:(ヴァンダイクを見て)見覚えのある人たちもいますけど……あんまり乗せたくないなぁ。

リューセ:どうして?

アルバス:それはこのビデオを見れば分かる。

ゼナ:ああっ、いつの間にそんなもの撮ってたんですかっ!
 

 アリアたちは、事情を説明した。<星守の聖地>のこと。<螺旋の門>のこと。そしてそこにいくためにはこの『船』が必要であること。
 

ゼナ:いきましょう。

リューセ:うん。なんか、他人事じゃない気がするし。

GM:(リューセにとってはそうだろうなぁ)

ゼナ:アルバスさん、いいですか?

アルバス:……リューセがいいって言うなら、いい。
 

 新たに沙夜とスティール、意識のないキュア、それから賢者ゴルディッシモを乗せ、エスペルプレーナは北へ。

アリア:「んー。ひょっとして、最初から<星守の聖地>を目指した方が、もっと早くこの星を救えたのかなぁ?」

リトナ:「どうだろう。(窓の外を見て)こんな中を、歩いていくのは不可能だったと思うよ。時間もかなりかかるし」

GM:<混沌の剣>の周囲には、<混沌の闇>も寄ってこない。もし剣がなければ、エスペルプレーナといえど無事じゃなかっただろうね。

ヴァンダイク:有効範囲は半径2メートルだが。

リトナ:狭ッ!

GM:道中特にトラブルはないんだけど……ひとつだけ。キュアの体が、足先から少しずつ消えていっている。

アリア:消える?

GM:消滅してるというか、混沌に呑まれていってるというか。

アルバス:うわー、あんま見たくない光景だな(←昔、同じようなことがあった)。

アリア:あの……それって大変なことなんじゃ。

ヴァンダイク:たどり着く前に全て消えてしまったら、<鍵穴>を失うことになりますな。

ドモ・ルール:キュアそのものもな。

アリア:な、何とかしないと!

リトナ:(考えて)ドモさんを指にはめてみるっていうのはどうかな? 身体の主導権を乗っ取ってしまえば。

ヴァンダイク:指が消えたら、指輪が外れると思うが。

リトナ:そのときは別の手を考えよう。……GM、どう?

GM:指が消えて指輪が取れる(笑)。

リトナ:ダメか。
 

 混沌が、少しずつキュアの身体を蝕んでいく。
 

アルバス:封印魔法をかけたらどうだ? 時間の流れさえ止めてしまえば大丈夫だろう。

リューセ:アルバス、そんなすごい魔法使えるの?

アルバス:オレだってこの5年で成長してる。生体封印だって……。

GM:(首を横に振って)無理だね。封印魔法は<秩序>に寄った力だけど、<混沌収束点>そのものを押さえ込むには、まるで力が足りない。

アルバス:ダメか。

アリア:てことは……

GM:少しずつ、キュアが消えていくのを見ていることしかできない。

 さっきまでこの『船』が速いと思えていたのが嘘のようだ。今はまるで、泥の中を進んでいるかのようにゆっくりに感じる。

 <聖地>に近づくほど、キュアの消滅の速度は上がっているように見える。

 もう……下半身がない。
 

アリア:あうぅ……。

ヴァンダイク:足なんて飾りだから。

一同:(苦笑い)
 

 存在が消える。それが……とても怖い。



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