ACT5.0[きみはほほえんだ] 12

 9月20日(本祭)──

GM:今日は本祭だよ。中央広場に設けられた舞台では歌や踊りが披露され、通りに作られた露店では、採れたばかりの麦で作ったパンや、たくさんのワイン、あぶり肉にお菓子などが並べられている。特にコーラルおばさんが作った『赤ワインとヨーグルトのクリームを使ったケーキ』は大人気で、長い行列ができている。
 

 そして、いよいよ子供たちの劇が始まろうとしていた。
 

フウゲツ:「お前たちはこの日のために一年間(?)努力してきた。──さあ、アカデミー賞はお前たちのモノだ!」

子供(ヴァイス):「アカデミー賞って何ですかー?」

フウゲツ(シュリ):「お前はそんなこと知らんでよい! 欲しいのは監督賞だ!」

ヴァイス:欲しいのは監督賞と作品賞だけなんだ……。

フウゲツ:ちょっとドキドキしてきました。──さあ、いくぞ!

村長:(舞台から少し離れた祭壇の上で)「お、始まるようじゃぞ」

古の民の長:「我らが『月蛇の民』に伝わる古き物語。いかなるものに仕上がっているか、楽しみです」

『螺旋の王』

螺旋の王:「わたしは何者であるか」
 

 王は問うた。
 

螺旋の王:「月の蛇<ウロボロス>よ、全ての螺旋をしろしめす、新月の蛇よ――わたしは何者なのであろうか?」

月の蛇:「あなたが、そういう問を持つのは、あなたが完全ではないからである」

螺旋の姫:「誰のために唄うのか?」
 

 姫は問うた。
 

螺旋の姫:「海蛇<ヴリトラ>よ、全ての螺旋をしろしめす、満月の蛇よ――わたしは誰のために唄うのでしょうか?」

海蛇:「あなたが、そういう問を持つのは、あなたが完全ではないからである」

 龍に噛まれた『喜』から『哀』がわかたれた。

 龍に噛まれた『愛』から『憎』がわかたれた。

 龍に噛まれた『結』から『裂』がわかたれた。

 龍に噛まれた『光』から『重力』がわかたれた。

螺旋の王:「汝は何者であるか?」

龍:「わたくしは、力であります」
 

 龍は答えた。

螺旋の王:「なんと空しいのだろう。わたしはわたしの求める場所へ、
やっとたどりついたというのに、
この胸を吹き過ぎる空しい風は、いったいどういうことなのだろう」
混沌の魔王:「わが兄弟よ、おまえは、すでに、わたし自身と同じ存在になりつつある」

混沌の魔王:「わたしはおまえになり、おまえはわたしになるのだ」

闇の彼方へ消え去りぬ。

闇の彼方へ消え去りぬ。

(『螺旋王』(夢枕獏 天野喜孝)より)
GM:せっかくだから、判定してみようか。自分で、完成度に見合った判定値を決めて、それ以下をサイコロで振ったら成功ってことで。例えば、完成度にメチャクチャ自信があるから、90以下を振ったら、劇は大成功、とか。

フウゲツ:高みを目指してるから、かなり目標値は高め(サイコロの値を小さめ)に設定しなければ。一般の人は95とかで十分なんだろうけど、クリティカルに近い値を振らないと、俺は納得はいかない。

シュリ:じゃあ……10以下とか?

ヴァイス:それだけの目を振ったら、マジでアカデミー賞クラスだよ。

フウゲツ:ドキドキドキ……。いきますッッ!(コロコロ)──08!!!

一同:ををををををををををーッ!

GM:スゴイなぁ……出るときは出るもんだねー。

フウゲツ:(舞台の上で子供たちと抱き合って)「お前たちならやってくれると信じていたぞ!」

子供たち:「監督〜!」

フウゲツ:夕日を指差して、みんなで涙しながらそっちを見ていよう。

レイチェル:そしていつまでも舞台から降りない(笑)。

フウゲツ:『敏腕プロデューサー』という特技を追加しておこう。

GM:さてさて、それでは本日最後のイベントとなりました。『Harvest Rain(豊饒の雨)の乙女』の選定会でございます。……要は、美人コンテストの延長みたいなものなんだけどね。

シュリ:そっか……じゃあ始まるまでに、レイチェルと買い物にいっておこっと。

ヴァイス:プロデュースするんだ。

シュリ:そうそう。あたしとしてはレイチェルにオシャレさせて、「あの美人だれ?!」という視線を集めてみたいのよ。

ヴァイス:なるほど。

シュリ:あたしは、たぶんこれまでに一度ぐらいは選ばれてるだろうし。今年はいいや。

ユリア:乙女じゃないことがバレてるし。

GM:ふさわしくない、と(笑)。

レイチェル:そうかも。

ヴァイス:……で、今から投票しろって?

GM:そういうこと。
 

 さてさて。今年の『Harvest Rainの乙女』は誰に決まるのか……。
 

GM:──じゃあ、エントリーした乙女たちを発表しますか。一番、シルヴァ。

ヴァイス:ばーさんじゃないかー!

GM:でも毎年エントリーしてる(笑)。──2番、トキオさん。

レイチェル:トキオさんはダメ。人妻は……ダメです。

GM:冗談です。2番、ユリア。3番、スノウ。4番、シア。

フウゲツ:そして突如エントリーが決定したヤオ。

GM:大穴だね。

フウゲツ:マジ大穴です。

ヴァイス:突如現れたダークホースだね。しかも自信がついて、アイドルのオーラをキラキラまとってる。

GM:では、5番、ヤオ。そして6番が飛び入り参加の背の高い美女。

シュリ:あたしがプロデュースしたレイチェルよ!

レイチェル:ドレスを着て、とまどっています。

シュリ:しかもミニスカ!

フウゲツ:わお。

レイチェル:ミニスカはちょっと……。

シュリ:じゃあ、ミニスカでなくてもいいわ。――でも下着は黒よ!

レイチェル:……黒……。

GM:以上6名から選んでくれい。ひとり10ポイントあげるから、好きなように割り振っていいよ。
 

 というワケで始まった選考会。プレイヤーたちが投票用紙に書き込む音が静かに響く。
 

GM:(集計して)──では、結果発表でーす! 紅白みたいに、一票ずつ入れていくよ。

<集計中>
シルヴァ:
 ユリア:
 スノウ:
  シア:
  ヤオ:
謎の美女:
●●
●●
●●
●●
●●
●●

シュリ:シルヴァばーちゃん票が入ったんだ。

<集計中>
シルヴァ:
 ユリア:
 スノウ:
  シア:
  ヤオ:
謎の美女:
●●
●●
●●●●●
●●●●●
●●●●●
●●●●●

ヴァイス:お、いいかんじだね。

<集計中>
シルヴァ:
 ユリア:
 スノウ:
  シア:
  ヤオ:
謎の美女:
●●
●●
●●●●●●●●●
●●●●●
●●●●●●●●●
●●●●●●●●●

ヴァイス:3人に絞られたかー。

<集計中>
シルヴァ:
 ユリア:
 スノウ:
  シア:
  ヤオ:
謎の美女:
●●
●●
●●●●●●●●●
●●●●●
●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●

フウゲツ:一騎打ちだ。プロデューサー席でドキドキしてる。

<集計中>
シルヴァ:
 ユリア:
 スノウ:
  シア:
  ヤオ:
謎の美女:
●●
●●
●●●●●●●●●
●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●
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GM:以上!

一同:同点か〜!

GM:おもしろい結果になったねー。──てことで、決選投票だ。今度はひとり5票ずつ。
 

 紙を回収し、一枚ずつ読み上げていくGM。
 

GM:ヤオ3、レイチェル2。……スノウに5。

一同:(大笑い)

フウゲツ:俺です、俺。熱烈ファンを演じてみました。

シュリ:ヴァイスじゃなかったんだ。

GM:ヤオ1、レイチェル4。ヤオ4、レイチェル1。で……ヤオ1、レイチェル4。──てことは……

シュリ:レイチェルだね。

GM:『Harvest Rainの乙女』は謎の美女(レイチェル)に決定ー!!!

一同:おめでとー!(パチパチパチパチ)

GM:毎回おいしい役だね、君は。

レイチェル:……舞台の上でかなり困ってます。

GM:じゃあ、あとは自由に飲んだり食べたりしてくだされ。

ヴァイス:僕は街の見回りに。

GM:ほえ?

ヴァイス:いいじゃんかよ〜。

GM:(にやーっと笑って)まーじめ〜!

シュリ:したいなら、誰も止めないよ。

フウゲツ:ああ、誰も相手をしてくれないからか。

ヴァイス:フ……。……お祭りにも警備員さんとかいるでしょ。そういうことそういうこと。

GM:見回りしていると、ゲインさんに会う。例年より、魔族ハーフや古の民の参加人数が多いらしいよ。

ヴァイス:それはよかった。
 

 日が暮れて、宴はいよいよ盛り上がる。楽しい夜が、ふけていく……



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